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ビックバン

 魔王が放とうとしていた魔力は消え、魔王はアミの事を見つめていた。


「……アーミレッタなのか?」


 まるで俺なんて最初からいなかったもののように魔王はアミを見てゆっくりと彼女へと歩みを進めて行く。

 アミと魔王に何か関係が……?脳内に疑問が湧くと共に、俺はアミの前に割って入る。


「お前うちの娘に何しようとしてんだ」


「娘……?馬鹿な、アーミレッタは我の娘だぞ!!」


 魔王を止めようと前に立ち塞がるも魔王は激昂して再び魔力を高める。

 アミが魔王の娘!?だってアミの父親は確か人間だって話だ……そう思いながらアミの方を見る。

 アミは震えながらも目を見開いて魔王へ視線を向けていた、何かを言いたそうな表情をしながら。

 

「アミ、何か知ってるのか?」


 何か知ってそうだと思いアミに聴く。

 するとアミは口を開く……


「アーミレッタ…………私のお母さん」


 アミから出た言葉はその一言だった。

 それを聞いた魔王は動きを止めた。


「母親だと!?まさか、アーミレッタの娘だと言うのか!!??」


 アミの言葉に驚きを隠せない様子の魔王、それもそうだ俺だってその事実を知って固まっている最中なのだから。


「……まぁよい、なら我と共に来い。アーミレッタの娘よ」


「おい待てよ、アミをどうするつもりだお前」


 落ち着きを取り戻した魔王がアミに手を伸ばす、その魔王の行動に俺の体は動き魔王の手を掴んでいた。

 いまさっきコイツはアミを連れ去ろうとした、そんな事を俺は許すわけがない。


「どうするつもり……だと?この娘は我の娘のその娘つまり我の孫である、なら我と共に来るのが当然であろう?」


「今までアミと一緒にいなかった奴がほざくな」

「俺とこの子は血には繋がってない……それでも俺はこの子の親だと、そう思ってる!」


 魔王の目の前に立ち啖呵を切る。

 相手は俺より格上の存在である、それでも俺は仮だとしてもアミの父親としてここを譲る気は無い。


「ならばまずは貴様を始末し、それから我の孫を連れて帰るとしよう」


 再び魔王が戦闘体制に移る。

 俺もアミを守るために魔王を倒す事を決意する。


「アミ、下がってな」


「で、でも……」


「頼む……!」


「……うん、わかった……」


 戦闘が始まるであろう場所にアミをいさせるのは危険だと思いアミに下がるよう促した、最初は嫌がるアミだったが力強く言った事でアミは少し後ろへと下がっていく。


 あの子は頭が良いから自分がどうすれば良いのかわかってくれる……そしてあの子は俺の事を信じてくれたのだ。

 きっと魔王を倒すって……


 だからここでやられるわけにはいかない。

 ここで魔王を倒してあの子が幸せに暮らせるような世界にする。


 だからこそ、俺は……


「おぉぉぉぉぉぉ!!!!」


 魔王の腹部へ突っ込み、ガッシリと掴んでアミと距離を離すように魔王ごと直進する。


「なんの真似だ?」


「はぁ、はぁ、……説明、この魔法の範囲の中に他に人はいるか?」


【……まだアミが範囲内にいます】


「そうか……」


 今使おうとしている魔法は範囲が広い。

 アミがいる今、この魔法を使えばアミまで巻き込まれてしまう。

 だからまだ魔王をアミと引き離す必要がある。


「何を企んでいるかはわからんがこれ以上貴様の好きにはさせんぞ?」


 いきなり魔王が進まなくなり俺の動きは止まった。

 力強く押しても魔王はビクともしない、そうして魔王は攻撃へと移ろうとする。

 このままだと……やられるっ!


【アミが範囲から外れました】


 説明からアミが魔法の範囲から逃れたとの通知が入った。


 

「アミ!逃げるぞ!!」

 

 龍吾郎達から少し離れた場所でアミが手を引かれて龍吾郎から離れていく。

 アミの手を引いているのはリアンだった。

 彼はアミを心配して戻り、そしてアミを見つけてその場から逃げようとしているのだ。


「待ってリアン!お父さんが!!」


「あの人はお前の親父なんだろ?なら大丈夫だ!!」


 そうアミを励ましながら2人は龍吾郎から離れていく……



 そして場面は龍吾郎へと移る。

 アミが範囲から離れた、だからこの魔法を思う存分使える。


「さようならだ……アミ」


「貴様、何をするつもりだ!?」


「一緒にあの世に行こうや──ビックバン!」


 その瞬間、龍吾郎達2人を中心とした半径2キロ半が爆炎に包まれ大爆発を起こした。


 その範囲にある物全てを消し炭にして。

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