最後の魔人
俺達3人は最後の魔人と戦うべく相対する。
周りにいる魔獣達は他の冒険者達で抑えてくれており俺達はそちらへ意識を割く必要はなく思う存分魔人へと集中出来る。
「マーヒィ頼めるか?」
「はい、任せてください!──強化魔法ストレングス!」
マーヒィが魔法を唱える、その魔法は俺の身体能力を向上させる強化魔法。
それにより俺の身体能力は上昇する。
「これで突っ込む、ファリア援護を頼む」
俺は2人に対して真っ直ぐ突っ込むという作戦を伝えて、ファリアにもそのための援護魔法を頼んだ。
「わかった、──岩石魔法フォールロック!」
ファリアは魔法を唱え、魔人の頭上に無数の岩が現れ下へと降り注ぐ。
魔人はその攻撃を回避しようと動く、その瞬間に俺は奴へ距離を詰める。
マーヒィの魔法によりすぐに間合いを詰めようとする、しかしそれを見越していた魔人もファリアの魔法を回避しつつ俺の攻撃を迎え撃とうと相対する。
この勝負おそらくこの一撃が勝敗を分ける。
互いに繰り出すのは高威力の攻撃、それにより勝者が決まる。
俺は今残っているすべての力をこの一撃に込める。
相手もそれを理解したのか同様に魔人の魔力も高まっていた。
俺達は止まらない、相手を殺す。その行動を完遂すべく進み続ける。
周りの魔獣と冒険者達が激しくぶつかり合う音が聞こえる最中の決着。
それはほとんど一瞬で終わった。
最大限に引き上げられた魔力による攻撃のぶつかり合いそれは一閃の元終了する。
魔人とクーリッシュ、互いがすれ違いそして背中合わせとなった。
あまりにも膨大な魔力のぶつかり合いに戦闘している最中でも動きを止めて2人を見る冒険者や魔獣の姿があった。
「…………人にしてはよくやった方だ」
魔人が口を開いた瞬間にクーリッシュの肩に魔人に受けたであろう傷から血液が噴出し肩膝を地面に付ける。
この瞬間を見て、魔人が勝利した……そう両陣に思われていた。
しかし……
「あぁ……でもこれは……」
クーリッシュが対して返答する最中、魔人の体に右肩から左脇腹にかけて大きく深い傷から血が噴き出て魔人はうつむせになり倒れる。
「俺達みんなの勝利だ!」
剣を高らかに掲げて俺はそう宣言する。
「うぉぉぉぉぉぉ!クーリッシュに続けぇぇ!!」
その宣言が周りに聞こえたのか冒険者達の動きが活発化して魔獣達を狩る。
あれだけ多くいた魔獣が冒険者にやられたり魔人が倒された事で逃げたりして数が減っていった。
そんな優勢な状況の中俺は違和感を感じていた。
辺りを見渡しても魔王が見当たらないのだ。
そして場面は都市内へと移る。
「そうか……魔人が全員やられたか……」
静かにそう語る。
「だが、問題はないだろう……何故なら、まだ我がいるからな」
そこにいたのは都市に堂々と立つ魔王とそのすぐ近くでボロボロになって倒れている龍吾郎がいたのだ。




