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伝説の冒険者ユウト!?

 目の前にいる男を見ている。

 彼のその普通とは違う雰囲気が俺の目を奪っていた。


「俺はお前らが伝説の冒険者だって言ってるユウトだ」


 そして次に彼はそんな自己紹介をしたのだ。

 彼の語ったその名は俺の憧れでありいずれ目指す到着点、彼の伝説を聞いてから俺は彼に憧れていき冒険者になり大勢の人のために戦った。

 最終的には周りからは伝説の冒険者ユウトの生まれ変わりだとか言われて俺もそれを間に受けた。


 そんな俺の前に俺が憧れた人の名を語る男が現れたのだった。


「ユウト……?な、なんでここに貴方が!?

はっ!魔人は?マーヒィやファリアは!?」


 俺は彼の名前に驚き体が固まったが、すぐに俺の置かれていた状況を思い出し取り乱す。

 しかし俺が今いる場所はさっきまでの城壁近くではなく、何もない白い空間だった。


「その事は今は気にしなくてもいい。ここは君の精神世界、そこに俺がお邪魔してるだけで外の世界での時の流れはまったくないだから安心してくれ」


 俺が取り乱している為にユウトと名乗った男は冷静に俺を嗜めるように話す。

 俺は彼の言葉によってさっきよりは落ち着きを取り戻す、そして俺は疑問に思っている事を口に出した。


「それで貴方が本当のユウトだとして……なんで今ここに?」


 それはいきなり現れた彼の事、彼の事を信頼していないとまでは言わないがそれでも彼の事を警戒するのは当然の事だった。


「まぁ言ってしまえば情けないお前を見かねて……ってやつだ、後は……】


 男は少しばかり呆れながらそう言った。

 情けない……確かにさっきまでの自分を振り返るとそうだ、仲間も救えずにただ敵にやられているだけの自分は情けないものだった。


「情けない……確かに俺は情けなかったです、貴方……ユウトの子孫で生まれ変わりだと言うのに……」


 俺は男の言葉を遮りつつ自分が情けない事を口に出して認める。

 目の前にいる男が本当にユウトなのかは知らないが、俺はユウトの子孫で生まれ変わりである事も話す。

 その時だった


「そう!それだよ!!」


 突然男が大声で叫んだ。

 いきなりの事で俺の体はビクッと反応する。


「お前の精神世界に来た目的の1つ、それはお前がいつまで経っても俺の子孫〜だとか生まれ変わり〜だとか言ってるのを注意するためだ!」


 男はそう言って俺に詰め寄る。


「えっ……違うんですか?」


 俺はつい敬語で男に返した。


「あぁ家系図的には俺と君はガッツリ離れてるし!ユウトは輪廻転生拒否られてるし!だから君が俺の子孫だとか生まれ変わりだとかって言うのはまったく違うんだよ!」


 男は強い口調で否定をする。


「え、え……っと」


 その目は真っ直ぐであり、ふざけて言っている様子はなく、そして俺にはその言葉が嘘ではないと思え怯んだ。


「強く言い過ぎたな……まぁとりあえず今まで俺とお前とは関係ない、それだけだ」


 男は俺の事を見て流石に言い過ぎたと感じたのか謝罪をしてきた。

 それにしたって何故今俺はこんな事を言われなければならないのだろうか

 俺は早くマーヒィやファリアを助けに行かなきゃならないと言うのに……


「話は終わりですか?それなら早く元に戻してください、あの2人を助けなきゃ……」


「どうせ言っても殺される無駄な行動なのにか?」


 俺はユウトと名乗る男はとの話を終わりにしてここから出してくれた頼もうとした、それを言いかけた時に彼から一言言われたのだ。

 それに対して俺は怒りの感情を出そうとしていた、2人を助ける為の行動を無駄だとコイツは言ったのだ。


「まぁそんなに睨むな、言っただろ?今は関係ないって」


 俺の怒りに気付いたのか男は弁明してさっき俺に言ってきた言葉をまた言う。

 確かに俺とユウトは今は関係と彼は言った。


「次の世代を担うお前がこんなところで死ぬのはお前が勝手に名を語ってた俺の沽券にも関わる、だから……」


 男はそう言って俺の目を真っ直ぐ見据えた。


「──お前に力を貸そう」


 彼は俺にそう言った、そしてその時俺の意識が段々と遠のいていく……


「もう時間か……いいか!力の解放の仕方は──」


 男がそう言っている最中にも意識が無くなっていった、だがしかし彼が言っていた力の解放の仕方が俺の中に刻まれていくのが感じられたのだ。


 そして俺は再び魔人の前で意識を取り戻す。

 魔人やマーヒィ、ファリアを見るに男の言っていた通り時間が全く進んではいなかった。


「さぁ!俺に殺されろ!!」


 そう叫びながら魔人は俺に向かって殴りかかろうとしていた。


「クーリッシュ!」


「私達の事はいいからお願い逃げて!!」


 そんな中2人の叫び声も俺の耳には入っていた、この2人にはもう心配はかけさせない。

 その意思で俺はユウトと名乗る男から教わった事をやる。


「我、神の力を抑え込まれていた者」


 右手を前へと突き出し詠唱を開始する。

 それと同時に俺の足元に魔法陣が展開される、物凄い威圧感、並の人間なら耐えられまい程の重圧、俺でさえ潰れそうな程だ。

 けれども俺は詠唱を止めない、2人をこの世界を護る為に!


「その力をこの世界を護らんが為に解放する!

──神性擬似的接続、我が真名は──!!」


 詠唱の最後の方で激しい砂埃が舞い上がり、恐らく魔人や2人には最後の部分は聞こえていなかっただろう……


「お前、何しやがった?」


 けれど……


「テメェ今すぐ人質の2人を……」


 魔人は俺の意味のわからない行動に不思議さと得体の知らないものに対する恐怖心が湧き出す。

 そしてそれに対して2人を爆発させ殺そうとした時だった。


 2人は爆発しなかった、それどころかタイマーが止まっていた。

 どうやらこのタイマーの解除方法は。


「あれぇ?なんでタイマーが……それに世界がズレて……」


 魔人がそう言い切る間も無く、体が縦真っ二つに破れたのだ。

 俺は詠唱が完了して砂埃が舞い上がったと同時に魔人をぶった斬っていた、どうやらこの魔人のタイマーは魔人の死によっても止まるようだ。


 砂埃が晴れ、クーリッシュが出てくる。

 出てきたクーリッシュには外見的な変化はない、しかし彼の魔力には神が宿っていたのだ。


 かつていた神のその一部、大体は8分の1位の力の劣化版ではあるがその力はここにいる誰にだって負けてはいない。


 拘束も解除されたマーヒィとファリアはクーリッシュへと近づく、魔人を倒した彼は空を見上げていた。

 いつものは違う様子の彼に声をかけようとした2人、しかしその直前に。


「もう大丈夫だ」


 彼は私達を見る。


「後は俺が片を付ける」


 そう言った瞬間、彼は消え彼の魔力は城壁の外側、魔獣や魔人達の方へ向かっていたのだった。

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