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クーリッシュ苦戦

 城壁上でのハインと魔人との戦闘はハインの勝利で終わる。

 魔人だった肉塊は城壁の上に飛び散り、ハインは息をきらせながらも魔人の死を確認してその場に倒れる。

 

 体が鉛のように重たく、身動きをとる事が出来ない。

 魔人により負傷させられた事に加え魔力の激しい消耗による疲労がかさなったのだ。


「傷を負いすぎて魔力も使いすぎたか……しばらくは動けそうにないな、クソッみんな俺が回復するまで……持ち堪え……」


 ハインはそう言いながら意識を失った。



 ハインが気を失った時、城壁の下パゼレ内部ではクーリッシュと魔人の戦闘が行われていた。


 いや、戦闘と言うよりはクーリッシュが一方的にやられていると言った方がいい。


 クーリッシュは魔人の繰り出す拳に抵抗する事なく受け幾度も深いダメージを負う。

 彼には抵抗出来ない理由があった、それはファリアとマーヒィが魔人によって人質に取られているからだ。


 2人は城壁に魔法で固定され、腹部ら辺には魔法陣及び数字が刻まれておりその数字は変わり続けていた。


「まったく、手応えのない相手だ。まっそれも仕方ねぇか、お前が死ななきゃお前の可愛いお仲間さんはぐちゃぐちゃになって死ぬんだからなぁ!!」


 高笑いしながら魔人は話す。

 魔人が2人に刻んだ魔法陣の効果は、爆破。

 魔人はいつでも2人を爆破させて殺すことが可能だった。

 しかしそれでは面白くないと魔人は条件を提示してきたのだ。


 その条件とは……

 抵抗せずに時間内に嬲り殺しにされろ、それだけだった。

 クーリッシュが抵抗すると魔人が判断した瞬間、2人に刻まれた残りの時間が0になった瞬間、その2つのうちどちらか片方になったら2人を爆破して殺すとの事だった。


 その条件を出されたクーリッシュは抵抗もせずにただひたすらに魔人の攻撃を受け続けていた、彼にとって2人は大切な存在であり失いたくない人達なのだ。


 もちろん魔人が約束を果たす事や抵抗したら2人を殺す事は嘘かもしれない、それでもまんがいちを考えたクーリッシュはそのまま攻撃を受け続ける事しか出来なかったのだ。


 くそっ!俺がもっと強ければ……


 魔人に殴られながらも自分の無力さに打ちひしがれるクーリッシュ。

 

「もう飽きたな、じゃあな!」


 魔人はそう言って拳をクーリッシュの顔面へ叩きつける、更には魔人の魔法によりそのまま拳から爆発してクーリッシュを飛ばした。


 幸いにも爆破の威力は低く、クーリッシュの命を奪う事や顔に深い傷が残る事はなかった。

 ただクーリッシュは飛ばされる最中、意識を失いかけていた。


 ……あぁ、俺はなんて弱いんだ……ごめんマーヒィ、ファリア。ハインさん、ギルドのみんな……龍吾郎さん……


 クーリッシュは意識を失う最中に仲間達に心の底から謝罪していた。


 それと申し訳ありませんユウト、俺は貴方の子孫であり生まれ変わりだというのにこんなにみっともなくて……


 そして今度は伝説の英雄、ユウトに謝罪の言葉を出した。

 クーリッシュが彼の子孫及び生まれ変わりだと自称している人物、そんな彼が今の自分を見たらどう思うか……


『──まったく、違うのにいつまでそう思い込んでるんだ?』


 声が聞こえた……そして次の瞬間には飛ばされていたはずの俺は真っ白な空間に立っていたのだ、そんな俺の目の前に1人の男が立っていた。

 黒い髪の青年、怖いようで優しそうな顔を見ていると何故か気持ちが落ち着いたのだ


「あ、貴方は?」


 クーリッシュは突如として現れた男の正体を尋ねた。


『──俺か?俺はお前らが伝説の冒険者だって言ってる……ユウトだ』


 男は衝撃的な自己紹介をした。

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