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開 戦 ! !

 城壁の上の兵士達は目撃する。


 到達は4日後と言われていた魔王軍、それが1日はやくパゼレへと到達している事を。

 距離はまだ離れてはいるが都市へ到達するまで後数時間というところか……いや、今はそんな目測が正しいという保証はない。


 すぐさま魔王軍到達の情報は通達される。


 それにより冒険者達が慌しく動く、予定より早い到達によりただでさえ間に合うかどうかもわからなかった迎撃準備を今から起動出来るようにする事は難しい。

 城壁も完全には出来上がってはおらず、耐久性に不安を感じさせていた。


 更には人員も不足している。他の都市から来ている冒険者達は多少なりとはいるが、それでも王都や他の都市からの援軍は来ておらず現在の戦力はおよそ3千ほどだったのだ。


 本来なら絶望するものが多くても仕方のない状況だ。


 しかしパゼレの冒険者のギルド長であるハインはこの状況下でも絶望する事なく、自分に出来る仕事を行う。


 ハインは魔王到来の知らせを聞き、予測よりも早いと動揺したがすぐに落ち着きを取り戻して使い魔を使い王都や他の都市へ魔王軍の到達の事とすぐに援軍に来てくれるようにと事を伝達した。


 その後もハインはすぐに城壁へと向かう。


「何やってる!大砲の準備を行え!!」


 ハインは地面に足をつけても30mの壁の上にいる冒険者に聞こえるように指示を出す。


「こんなところで諦めるな!諦めるのは自分が何も出来なくなった時だけにしろ!!」


 ハインは冒険者達に向かい激励し冒険者達の士気を上げた。

 ハインの言葉を聞いた者達は立ち上がる、このまま魔王軍に殺されるよりも諦めずに抗う事を選んだのだ。


 そうして城壁の上の大砲は上にいる冒険者達により準備が進められ、他のやつらは城壁の外にてパゼレに入ってくる魔王軍達を止めるために戦闘準備を行った。


「砲撃!準備完了致しました!!」


 その中で城壁上の大砲に付いている冒険者達3名が今出来るだけの数の大砲の準備を終えた。

 

「よし!指示があるまで待て!!」


 大砲の準備を終えた冒険者達にハインはそう告げる。

 魔王軍との距離はまだ少し離れている、ここから大砲を撃ったところで命中はしないだろうなので引き寄せる、大砲が直撃する箇所まで。


 魔王軍は止まらない。

 ただひたすらにこちらへと進軍してきている、刻一刻と奴等はパゼレへと近づいてくる。

 冒険者達も開戦の時まで都市内部や城壁の外にて敵を迎え撃つ為に待機する。

 魔王軍の中央奥にいる一際悪辣なオーラを放つ魔王本人に怯えながらも、それでも魔王軍を滅ぼす為に戦おうとするのだ。


 そしてついに戦いが始まろうとしている、未だ戦場に到着していない者はいるがそれでも魔王軍はこちらの大砲の射程圏内に足を踏み入れた。


「撃てぇぇ!!」


 ハインの指示により大砲が魔王軍へと発射され着弾する。


 結果は命中、前列の魔獣の何匹かが吹き飛ぶのが視認されている。


「まだまだ撃てっ!」


 ハインの指示は続き再び大砲が魔王軍へと発射されまた魔獣を数匹撃破する。



「アレが邪魔だな、片付けこい」


 こちらに向かって砲撃してくる城壁上の大砲を見ながら魔王は言う。

 

「はっかしこまりました」


 魔王のすぐ側に控えていた魔人の1人が返事をしてその場から去った。



「よし!更にもう1発!!」


 城壁の冒険者達は砲撃をしようと準備を行う。


「よぉ、死ねや」


 声と共に何かが城壁に降り立ったの冒険者達は感じ取った。

 そんな時、砲撃の準備を行なっていた冒険者の1人の頭部が宙を舞った。


「まずは1人」


 城壁に降り立ったのは魔人。

 その魔人の手に付いている刃のような物に恐らく先程の冒険者のものと思われる血がついていた。


 それを見た他の城壁上の冒険者はいきなりの事に動揺して発狂する。

 そして発狂している最中にまた1人腹部を刺し切り裂かれ真っ二つにされた。


 残るはあと1人、恐怖で腰が抜け上手く立てずに這いつくばって魔人から逃げようとする。

 しかし魔人が逃すはずもなく、2人を殺した刃が残る冒険者に向けられた。


「させるかっ!」


 しかし魔人の攻撃は異変を感じて城壁の上に上がってきたハインにより止められたのだ。


「ここは俺に任せてはやく退け!」


「……!ありがとうございます!!」


 ハインは魔人の攻撃を受け止めながら生き残った冒険者に向かって言い放つ。

 その言葉を聞いた冒険者もハインに従うように城壁から降りていった。


「貴様は俺が倒す!!」



 ハインが魔人と戦闘を行っている最中にも魔王軍はパゼレへと迫ってきており、冒険者達もそれを向かい撃とうとして走り出す。


 そんな時だった、魔王の前にいる魔獣や魔人が退き、魔王への道が開いた。

 当然魔王を撃つチャンスとして冒険者達は魔王へと駆ける。


「邪魔だ」


 何故魔王が部下達に道を開かせたか、そんなの考えればわかる事だった。

 魔王の突き出した手から高密度の魔力が真っ直ぐ放たれる。


 魔王自らの攻撃が多くの冒険者達を巻き込み絶命させたのだった。



「くそっ!出遅れた!!」


 パゼレ内にて魔王軍が来ている城壁に向かい走っている3人の人影があった。

 その3人はクーリッシュとその仲間達だった。3人は魔王軍との戦闘に出遅れ今戦闘に加わろうとたった今城壁に辿り着いたところだったのだ。


 ──だが


「なんだ……これ?」


 そこでクーリッシュ達が見たものは……巨大な穴が開いているはかいされていた城壁だった。


 先程魔王が放った攻撃により城壁には大穴が空き、魔王軍がパゼレに攻めてくるのを防ぐ事は出来なくなっていた。


「なんっ……ガッッッ」


 その光景に驚愕し城壁に近づいた瞬間、クーリッシュは顔面に爆撃のような強い衝撃をくらい、吹き飛ばされた。


 「「クーリッシュ!!」」


 クーリッシュの少し後ろにいたマーヒィとファリアは吹き飛ばされたクーリッシュを心配し後ろを振り返った。


「さーてと、楽しませてもらおうか〜」


 そして振り返った2人の後ろには1人の魔人が立っていたのだ。

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