表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/62

決戦の為の準備

 魔王軍が侵攻方向をここパゼレへと向けた。

 そう説明は俺に告げた、何かの勘違いかそれとも目的地はここでなく別の場所に行ってくれるのを期待していたが、魔王軍が進路を変える前に聞こえていた声。「見つけたぞ」

 あの声は多分……


 そう考えを巡らせて俺はギルドにまで足を運ばせていたのだ。

 ギルド内はさっきまでと同様に冒険者達が魔王軍対策を個人やチームなどで練っていた。

 さっき作戦会議に呼ばれたクーリッシュの様子は見当たらないため、まだ会議は終わっていないのだろうと理解した。

 クーリッシュがいるなら話は早い。

 そう思った俺は魔王軍の事を伝えるために会議が開かれているであろう部屋の前に行き扉を叩く。


「どうぞ」


 部屋の中から了承の声が聞こえる。

 俺はそれを聞いてから扉を開け部屋へと入った。


 その部屋にいた10人の冒険者達の視線が俺に集まった。

 多分全員が全員、ハインにその実力を認められた冒険者達なのだろう。

 その10人の中にはクーリッシュもいた。

 

「おや、君は龍吾郎さんじゃないか!」


 部屋に入った瞬間にハインは嬉しそうに俺に近づき話しかけてきた。

 

「よ、よく俺をご存知で……」


 俺はハインのグイグイ来る態度に少し戸惑いながらもハインに返す。


「君の事はクーリッシュから聞いていてね、かなりの実力者だと聞いてるよ

君の事は頼りにしてるよ」


 ハインはクーリッシュに目線を向けながら俺の問いに答えた。

 まさかこんな偉い人に覚えてもらってるだなんて少し照れるな。


「それで、要件を聞こうか」


 とりあえず落ち着いたらところでハインは俺が来た目的を聞いた。

 俺はハインやそこにいる冒険者達に魔王軍の事について話す。

 魔王軍の総数や今現在魔王軍がこちらに向けて進行して来ているという事実を。


 話し終えた後、語られた事に場は凍き。


「何をデタラメ言ってんだ!!」


 すぐに部屋に集められた冒険者の1人が反論してくる。

 それに反応して他の冒険者達も声を上げた。


 確かに割と新参者である俺の言うことなんて信じられないだろう、イタズラに場を混乱させる事を言ってると思われているだろう。


 けれど魔王軍が近付いて来ているのは事実だ、俺はなんとしてでもこの事を事実として彼らに伝えなければいけない。


「本当の事だ、嘘じゃない!」


 俺は彼らに必死に訴えかけ口論になろうとした時、俺の話から黙っていたハインが口を開いた。


「……魔王軍のことは事実なんだな?」


 静かに一言だけ言葉を発する。

 先程まで口を開いていた冒険者達はハインの言葉を聞くようにハインが喋り出した瞬間に全員黙った。


 ハインの目は鋭く真っ直ぐに俺を捉える。

 正直言って恐怖を感じるくらいには威圧感が発せられていた。

 けれどこんなところで臆している場合ではない、そう思い俺はハインへ一歩踏み出した。


「あぁ、事実だ」


 端的にハインへ事実を語る。

 それを聞いたハインは悩み事をするかのように目を閉じて手を頭に置いた。


「そうか……わかった。とりあえず使い魔で魔王軍の現在の様子を見て本当かを確かめよう。

けれど本当だった場合の事も考えパゼレの防衛強化も行う、それでいいか?」


 と提案を出してきた。

 使い魔というものはわからないが、確かにハイン自身が確かめてくれてしんじてくれるなら問題はない。

 なんならその間、魔王軍が来ていると想定して都市の防衛についても考えてくれるのだ。

 これは心強い。


 ハインの提案に俺に対して反論して来た冒険者達は口を閉じ黙り沈黙の時が流れた。


「俺はそれでも構わない」


 沈黙を破ったのはクーリッシュだった。

 ハインの意見に対して同意を行う、それを聞いた他の冒険者達もこの2人が言うなら……という感じです賛同し始めた。


「理解してくれてありがとう、それじゃあ早速使い魔を放つ。速ければ数十分で魔王軍の動きがわかる!」


 ハインは冒険者達に感謝の言葉を述べ、部屋の窓の近くまで行き、そこに止まっていた鷹に自分の左手を突き出して寄せた。


「魔王軍の動きを見て来てくれ」


 そう鷹に話しかけて、ハインは鷹を飛び立たせた。


「アレがハインさんの使い魔だ、あの使い魔と視覚を共有して情報を得てるんだ」


 鷹とハインについての関係がわからない様子だった俺にクーリッシュが教えてくれた。


 それからしばらく時間が経過した……

 ハインは使い魔と視覚を共有しているためなのか集中しているようです黙っているためクーリッシュや他の冒険者達でパゼレの防衛に関しての話し合いが行われた。


「とにかく外壁で──」


「防衛の配置は──」


「他の都市にも協力要請を──」


 などと言った意見を交わし合っていた最中だった。


「──なんだとっ!!??」


 使い魔を通して魔王軍の様子を見ていたハインが突如大声を上げた。

 その声に対して、俺達はすぐにハインに視線を集中させた。


「ま、まさか……本当に魔王が!?」


 1人の冒険者がハインに聞く。

 ハインはこちらをゆっくりと向き、そして俺を見た。


「龍吾郎さん、貴方の言ってた事はほとんど合っていた……」


 ハインから出された言葉、それは魔王軍がこちらへ来ているのだとここにいる者達が察した。


「貴方は魔王軍の兵力が数万と言っていたね……私が今見たところ今の魔王軍の兵力は数十万程に増えていた……」


 突如跳ね上がる魔王軍の数にその場にいた者達は戦慄した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ