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魔王の復活

 真夜中、俺の家に勝手に入ってきていたクーリッシュから聞かされた言葉は意外なものだった。


 それは古くから封印されていたという魔王が復活して……というものだった。

 確かに起きて瞬間、辺りに邪悪な魔力が濃く漂っているのに気付く。

 この邪悪な魔力はどうやら魔王から発せられているものでしかもこの魔力は相当遠くから放たれているらしい。


 この異変を察知したギルドは急いで冒険者達を集め対策を練るようで俺もそれに呼ばれたようだ。


 こうして俺は夜にギルドへと行く事になりそのままギルドへと辿り着く。

 中には恐らくギルドから声のかかった冒険者達がいてギルド内の空気はピリピリと緊張と不安で張り詰めていた。


「みんな、集まってくれたか」


 そんな空気の中1人の男が現れる。


「アイツは?」

 

 俺はすぐ隣にいるクーリッシュに小さな声で男の事を尋ねる。


「あの人はハイン、このギルドのギルド長をやってる人だ」


 俺の問いに簡潔に答えてくれるクーリッシュ。

 そしてハインは辺りを見渡してから口を開いた。


「みんな聞いての通り魔王が復活した。根拠は今も漂う邪悪な魔力、これは魔王の伝承に記載されている魔王が存在している証拠である」


 ハインは声を高らかに冒険者達にこの状況を述べた。

 その言葉に他の冒険者達も納得しているかのような空気を出す、少し見ただけで冒険者達のハインへの信頼度が伺える。


「情報では魔王は現在、ここから相当離れた北西におり、まだ我々のパゼレへは来ないだろう」


 ハインは魔王の現在地を皆に話す。

 ハインの口ぶりから察するに魔王はかなり離れた場所におり、俺たちのいるパゼレはまだ安全という雰囲気だった。


「しかし、魔王の対策についてはまだ他の都市はもちろん我々には思い付いてはいない……なので今は俺が選んだ人だけで対策を取る、他の冒険者のみんなはいつでも戦闘に参加出来るよう準備は整えてくれ!以上解散!!」


 ハインはそう言い、クーリッシュ達を含めた数人でギルドの奥の部屋へと入っていった。

 残された冒険者達もいつでも戦えるようにその場で武具の手入れを行い始める者と帰宅する者とで別れる。

 

 俺にはそういった武具はあまり持ち合わせてはいない……準備といっても特に俺が出来る事がない、仕方ないので俺も一旦帰宅する事にした。


 自宅へ帰る頃には日が昇っていた。

 街でも魔王が復活したとの噂で持ちきりで騒然としていた。

 街の人達には、[魔王復活を信じない者][魔王の恐怖に怯える者][神がどうとか言い振興を募る者]と言った感じでちょっとした混乱になっていたのだ。


 そんな風に賑わいを見せる中、俺は素早くその場を抜けて家へと着く。

 家に着くとそこにはアミとリリーがいた、どうやら孤児院から帰ってきたみたいだった。


 アミは俺が帰ってきた事に気付くとすぐに俺の元へと駆け寄り俺に抱きついた。


「だ、大丈夫だった?」


 心配な様子で俺を見つめてくるアミ、それを後ろで見ていたリリーが。


「魔王が復活したって噂を聞いてアミが心配してたのよ」


 とアミが心配している理由を教えてくれた。

 アミはただ黙って俺に抱きつき頭を埋めていた。何かアミに違和感を感じるがアミの不安そうな感情を察して言及するのをやめる。


「魔王は今は離れた場所にいる、だから大丈夫だアミ」


 俺はアミを落ち着かせるように頭を撫でて優しい口調で話す。

 その言葉を聞いたアミは俺に抱きつくのをやめて。


「そう……ですか」


 アミの表情は安心という感情とあと一つ何か別の感情が入り混じったような複雑な表情をした。

 

「あぁ、大丈夫だからリリーと遊んできなさい」


 俺は一旦アミをリリーに任せる。

 2人は俺から少し離れた場所に行きたい遊び始める。


 その間に……


「説明、今の魔王達の状況ってわかるか?」


 俺は自分の中にいる説明に魔王達の状況について聞く事にした。

 この世界の事についてはとりあえず説明に聞けば問題は無いと思ったからだ。


【そうですね……先程のハインの言う通り、魔王軍はここから76キロ程離れた場所にいます。魔王軍の現在の総勢は……数万の魔獣、中にはとびきり魔力の高い配下、魔人もいます】


 説明はそう魔王軍の場所とその数まで俺に教えてくれた。

 数万の魔獣……?そして更には魔人までいるというオマケ付き……

 魔王軍のあまりの戦力に俺は唖然とする。


 そんなやばい連中とはあんまり戦闘はしたく無いな……

 このまま平和だと良かったのに……俺は楽しく遊んでいるアミとリリーを遠目で見ながらそう考え込んでいた。


 するとアミが魔法で水の塊を出す、リリーもそれに応じて魔法でアミの作った水の塊を大きくしていく。


 ある程度水の塊が大きくなっていきそして大きく音をたてながら水の塊が破裂した。

 2人は水の塊が破裂した事に驚いたが、その瞬間に俺はアミの魔力が水の塊が弾けると共に拡散したのを感じた。


 そして次の瞬間……


 ──見つけたぞ、今行く。


 何かに囁かれ、背中に悪寒が走る。

 何かとんでもないものに見つかった、そう俺の本能が告げる。


「説明……今の魔王軍の様子は?」


 俺は嫌な予感を感じながら恐る恐る説明に魔王軍の現在について聞いた。


【魔王軍は進行方向を変えました……】


「……その方向の先は?」


【ここ、パゼレです】

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