都市バゼレ
長時間歩いてようやくたどり着いた街。
街の周りを灰色で分厚く高い壁で防御を固めている、非常にいい感じの街だと見える。
なぁ説明、この街はどんな街なんだ?
【都市バゼレの説明を致します。ここ都市バゼレは冒険者ギルドを中心とした都市であり、ここを拠点とする冒険者が多いことで有名です。】
冒険者……よく知らないが、まぁ街に入ってみればわかるか。
どうやら街に入るには壁に備え付けられている入り口で検問を受けなければいけないらしく、入り口付近には多くの街に入る目的の人が並んで列を作っていた。
俺はアミを背に乗せて、その列の後ろに並んで検問の順番がくるのを待った。
その間、並んでいる他の連中がこちらをジロジロと見ているのがとても気になったし、ムカついた。
「んっ……あれここは?」
アミが起きたのは1時間くらいが経って俺たちの検問の順番がもうすぐというタイミングだった。
「あぁ、そろそろ街に入るぞアミ」
ひとまずアミを背中から降ろして、遂に検問の順番になった。
3人の検問官は俺達の事を怪しそうに、恐怖していながら見ながら危険物がないかを調べた。
「このバゼレには何を?」
検問官の1人がこの都市に来た目的を俺たちに聞く。
「ここで仕事もらって、ここで生活したいと思っている。」
俺は簡潔に答えた。
「それで貴方とそこのお嬢ちゃんの関係は?」
別の検問官が俺とアミについての関係性を探ってきた。
どうする?下手に他人とか答えて、誘拐犯扱いされないだろうか。
アミが半魔人という事がバレないだろうか?
昨日の村の連中の態度を見て、俺はアミが半魔人だと知られるのを恐れた。
「まぁ、親子……みたいな感じっす。」
はぐらかしながら、答えた。
その時のアミの表情はどこか嬉しそうで、目を輝かせていた。
「はい、わかりました。それでは都市バゼレへようこそ。」
そう言って検問官達は俺たちを通してくれた、なんとか都市には入れたようだな。
そして俺達はバゼレへと足を踏み込んだ。
様々な屋台が出て賑わいを見せる街道、都市の人々が笑い楽しそうに暮らしていた。
アミもこの見た事のないような光景を見て、あちらこちらに視線を移しては目を輝かせっぱなしだった。
それで俺、これからどうすればいいんだ?
ここで仕事を見つけるって言ったって、俺がこの世界で何が出来ると言うんだ。
【でしたらまずは、冒険者ギルドに行って昨日手に入れた魔石をお金に換算してくるのはどうでしょうか?】
冒険者ギルド、確かこの都市で中心となっているところか、昨日倒した魔獣から出た魔石をお金に変えてくれるのか。
それで冒険者ギルドってどこだ?
【この道をまっすぐ行けば着きます。】
ざっくりとしたナビゲートだが、これまででもこの説明に助けてくれたし、信じてみるか。
「アミ、行くぞ。」
俺は辺いったいを見回しているアミに優しく声をかけて、冒険者ギルドへと進もうとした……その時だった。
「待てーい!そこの魔人!!」
進もうとした俺達の正面に青年出てきた。
金色の髪、蒼い瞳の顔をして体を鎧で纏い手には青年の背丈と同じくらいの巨大な剣を持っていた。
魔人と言っていたが、まさかアミが半魔人だとバレたのか!?
「その少女を離せ!凶悪そうな顔の魔人め!!」
……あれ?
凶悪そうな顔、少女を離せ……そしてこの青年は俺たちを指差している。
まさか……
「いや、ちょっ待っ……」
「問答無用だ!この悪党魔人!!」
俺の言葉を聞こうとともせず、剣で斬りかかろうとする青年。
しかし、その時2人の女の子が青年の傍に出てきた。
2人とも青年と同じくらいの年だろう。
「ちょ、ちょっとクーリシュ!」
ポニーテールの少し強気そうな少女が青年をたしなめる。
「その人は……」
メガネをかけて、三角帽子を被って杖を持っている少女が心配そうに止める。
「止めないでくれ!2人とも!!あの少女が危ない!覚悟しろ魔人!!」
2人の女の子の静止を無視して、青年は俺に斬りかかってくる。
ていうか……まず……
──マジックオープン
「そもそも……俺は……」
「俺の一撃を喰らえ!この魔人!!」
「魔人じゃねぇ!!」
再び敵意を剥き出しにして不当な扱いを受けた俺はまた……
「──初級風魔法ウィンド!」
手を青年に突き出して、風魔法を放つ。
流石に人相手なので威力は昨日のよりも下げてある。
「な、なにぃぃぃぃぃ!!!」
いきなりの攻撃で青年は俺の出した風魔法に直撃してどこかへ飛ばされていった。
「あぁ!クーリシュ!」
「どこ行くのー!……あっごめんない。」
飛ばされた青年を追って2人の少女は謝罪の言葉を述べて去っていく。
残された俺とアミ、結構な数の通行人が俺達の事をガン見してくるので俺達もその場をそそくさを去った。
少し、人気の無い場所にとりあえず着いた。
どうするか、俺とアミはやっぱり他の人から見て勘違いされやすいのか……
「アミ、ちょっとここで待っていてくれないか?」
「いいですけど……どうかしたんですか?」
不思議そうな表情で俺を見つめるアミ、2人でここら辺を歩いてさっきみたいな変な奴に絡まれたくない。
「まぁな、でもすぐ帰ってくるから待っててくれよな!」
そう言って俺はアミを人気の無い場所に置いて冒険者ギルドへ向かう。
「はい、いってらっしゃい」
笑顔で見送ってくれるアミを背にして。
冒険者ギルドへ着き、中へと入る。
中はいろんな年の奴らがテーブルに座っていたり、奥にあるカウンターに行ったりしていた。
「それでよ……」
「俺次の依頼終わったら……」
「近頃ここらで小さい子を狙った誘拐事件が……」
中にいる奴らのいろんな会話が聞こえてくる。
それはそれとして、俺は奥にあるカウンターへと足を運び、魔石の換金ととりあえず冒険者になる手続きをしようとした……が。
「も、申し訳ございません。冒険者になるにはそれなりの功績が必要でして……魔石1つでは冒険者に登録するのは難しくて……」
俺の風格を見てか怯えている、小麦色の髪の受付の女性はひとまず俺が冒険者になる事が無理だと告げた。
仕方ないので、魔石を換金してもらい銀貨3枚を受け取った。
冒険者ギルドからアミのところに戻るまで、俺はもらった銀貨を見ていた。
銀貨って相場わかんねぇな……
【貨幣について説明致します。貨幣の種類は主に4つあって、銅貨・銀貨・金貨・大金貨の4つです。
まぁ銅貨10枚で銀貨1枚、銀貨10枚で金貨1枚、金貨10枚で大金貨1枚と覚えてればいいです。】
……まぁ貨幣については軽くわかった。
それにしても暮らす家どうすっかな〜。なぁ説明、この辺で安めの物件あるか?
【いや、私スー○じゃ無いんですから……でも野宿の為の魔法なら……】
説明は某引っ越し会社の名前を挙げながら物件を拒否した。
まぁ仕方ない、一旦は野宿でもするか。
それ用の魔法もあるって言うし。
そろそろアミがいたところに着くな。
「お待たせ、ちょっと今日の事なんだ……が」
俺はその場所について目を見開いた。
なぜならここにいるようにと伝えていたアミの姿が見つからなかったからだ。