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夏!海!クラーケン!?

 青い空!白い砂浜!暑い日差し!そして目の前に広がる広大で綺麗な海!!

 俺達はビーチへと来ていたのだ!


「わぁぁ、これが海……綺麗」


 初めて海を見たのか目を輝かせながらアミは海を見つめていた。

 そんなアミに後ろから近づいて行ってる人影が一つ……


「海もそうだけど、アミの方が綺麗だよ!」


 アミの背後からこの国の国王の1人であるリリーが抱きついて来たのだった。


 そうこの夏のバカンス、来たのは俺とアミだけではない……

 リリー、その執事のシツ、更にはクーリッシュおよびその仲間のファリア、マーヒィ更にはギルドで受付をしているエノンもなぜか同行していたのだ。


「なんでお前らまで来てるんだよ」


 結構な人数の同行者に思わず突っ込んでしまう龍吾郎。


「た、たまたま有給が取れたのでちょっと気分転換に……」


「たまには羽目を外すのも大切だからな!」


 エノンは少し申し訳なさそうにクーリッシュは悪気もなさそうにそれぞれの理由を述べていた。


「まぁこんな広いビーチに2人だけってのも寂しいしな」


 辺りを見渡して、自分達の他に人がいない事を再確認する。

 そう今回はバカンスと言っても本来は仕事の為にこのビーチに来ていたのだ。


 なんでも最近になってこの近海に巨大なイカ、クラーケンが出没し一般人に危害を加えているようでその影響もありこのビーチには一般人が来なくなってしまっているのだ。


 なので今回の俺の仕事はその元凶たるクラーケンの討伐、との事だった。


 といっても今はそれらしきものが海には見られず、ごく普通な感じのビーチに見える。


 それにしても……やはりビーチという場所だからなのか女性陣はもう既に遊ぶ気で水着に着替えているようだ。

 この世界にも水着という概念はあるのか……


 クーリッシュの仲間である金髪のマーヒィは胸部が大きく谷間が強調されるような明るい色の水着を選び、逆にファリアはマーヒィとは対照的で少し細身であり黒のビキニタイプの水着を着用していた。


 そしてエノンだが、胸部はマーヒィ程ではないが全体的に体型が良く黄色の花模様が特徴的なパレオタイプの水着を着ていたのだ。


 全員が全員の体型を認識してそれにあった水着を着ている、まぁ男としては少しばかり目のやりどころに困ってしまう。


 それに対してリリーおよびアミの水着は健全に布面積が多い物になっている。

 まぁ流石にあそこまでの子供に対して劣情を抱くなんて事はないだろう。


 女性陣は全員揃って男性陣を置いて行って海に入り楽しそうに遊んでいる。

 アミもリリーと楽しそうに水の掛け合いをしておりその光景は微笑ましいものだった。


【見すぎですよ、ロリコンなんですか?】


 保護者目線で2人を見ていると説明が俺がまるでいやらしい目で見ているかのように問い詰めてきた。


「いや、保護者として見守ってただけだ!」


【はいはい、わかっていますよ】


 俺が強く否定すると、説明は少し煽るかのような態度で返事を返した。

 最近ちょっとフランクになりすぎじゃね?


「「きゃーー!!」」


 説明と言い争い?をしていた時だった。

 海の方から女性の悲鳴が聞こえて来たのだ。


「どうし……なっ!?」


 俺が海の方を見るとそこには……白く巨大なイカ、クラーケンに襲われているマーヒィとファリアとエノンがいた。


 クラーケンは物凄く大きく、人の何十倍ほどの巨大な体を誇っていた。しかし龍吾郎が驚くべきはそこではなかった。


 なんとクラーケンの伸びた脚に3人は拘束されており、更には水着もズレたり脱げかけたりして水着に隠されていた部分が見えてしまっていたのだ。


 もしかしてクラーケンによる被害ってこれのことかぁ……


「ちょっっ!?」


「み、見ないでください〜!」


「早く助けてください」


 3人はクラーケンに拘束されたまま、助けを求める。

 しかし男性陣俺とクーリッシュとシツはというと……捕まっている3人に目を向けれずにその場から動けずに助けられないでいたのだ。


「わわっ!こっちに来る!!」


 そしてクラーケンは3人だけでは飽き足らず、リリーとアミの方へと脚を伸ばしたのだ。

 いや流石にそれは……


「それは流石にまずいだろ!!」


 俺は即座にアミとリリーの元へ飛び2人に向かってくるクラーケンの脚を攻撃した。

 攻撃をくらったクラーケンの脚は弾かれるように引いていった。


「この変態イカがっ!!──ファイア!!」


 俺はすぐに追撃の魔法をクラーケン本体に繰り出した。

 魔法は見事にヒット!しかし……


「効いて……ない!?」


 クラーケンは全くダメージを受けている様子はないようだった。


「なら!もっと魔法をくらわせてやる!!」


 そうして俺は更に魔法をクラーケンに対して撃った。




 そして夜になった。

 あの後何度も魔法を当て、クーリッシュも参戦したがクラーケンを倒すまでには至らず、クラーケンは拘束していた3人を離してそのまま戻っていった。

 つまるところ俺達の敗北である……

 俺達は全員ビーチにて作戦会議を行う事にしたのだが……これといった案は出てこなかった。


 そもそもエノンの話によるとクラーケンは水の中なら力が上がるようで、なので俺が放った魔法も効かなかったらしい。


 更にはクラーケンは自ら水から出ることは無いらしい、耐久性も上がっているため魔法で無理矢理打ち上げるような事も出来ないし、何かを囮にしての作戦もおそらく無駄だろう……

 いったいどうしたものかと俺達は頭を抱えて悩む。


「うーん、水ごとクラーケンを陸に上げられたらなぁ……」


 そんな時、リリーが口を開きボソッと発言をする。


「水ごとって……そんなの出来るわけ……」


 リリーの意見を否定しようとした時、俺の脳内にとある考えが浮かんだ。


「いや、アリだと思う……ナイスだ!」


 ようやくあの変態イカにお灸を据えるときが来たようだ。

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