王都編【完】
王都襲撃があった数日後に前国王シュルバンの国葬が行われた。
あれほどの被害があったのにも関わらず、王都に住んでいる住民のほとんどが国王の死を嘆く為に国葬に参加する為に王城に集まっていた。
俺とアミもその住民に混じり、国葬に参加をする。
空模様は鼠色の雲が覆いかぶさっており王都の住民の心の内を表すかのように今にも雨が降ってきそうな暗い感じがした。
シュルバンを乗せた黒い棺桶が王城の中から出てくる。
住民はその棺桶の道を作るようにして道の両脇に並んで一人一人、シュルバンとの別れを告げていた。
その光景を見るにどれほどこの国王が住民達から信頼されていたかが伺えた。
棺桶が進み、次は俺とアミもシュルバンに別れを告げる番だ。
俺とアミはシュルバンに対してはそれ程面識はなかった、しかしアミは涙を流しシュルバンの死を悲しんでいた。
俺もシュルバンが最後に娘達を守るその姿を見て、彼のひととなりが少しだけだがわかった気がしたのだ。
「本当に凄い父親だったよ」
俺は尊敬の念を込めて花を棺桶の中へとしまった。
そのまま国葬は続いていった。
シュルバンの死に悲しむ住民、しかし王城から声が聞こえてきた。
「みなさん!聞いてください!!」
それは王城の前を見渡せる王城のバルコニーには3人の人影が立っていたのだ。
その人達こそが新たに国王に就任したガーラ、ビィアル、リリーの3人が立っていた。
「私達は……先代国王シュルバンから任命された新たな国王です」
緊張を胸にガーラが2人の前に立ち住民に対して演説を始めた。
「まだ私達は先代に比べて未熟者の国王です」
緊張そして不安を抱えたまガーラはさらに語る、己の責務を全うするかのように。
「それでも!私達は国民のみんなが幸せに暮らせるようにしていきます!!
今はまだ未熟だけど……」
ガーラの演説の途中で後ろにいたビィアルが天に手を突き出す、リリーはビィアルの手を支えるように手を出した。
そしてビィアルが空に向かって魔力の球を撃ち放つ。
魔力の球は暗い雲の中へと消えていき……
「必ず先代の国王に恥じぬ様に頑張っていきます!!」
ガーラがその言葉を放った瞬間、薄暗い雲が先程ビィアルが放った魔力の球により晴れ青空が広がった。
そして先程まで雲で覆われていた場所には新たな結界が貼られていたのだ。
リリーの強化魔力によりその結界の効力はおそらくは先代の国王のものより遥かに優れている。
その結界を見た住民達は少しずつ歓喜の声を上げていった。
今はまだ未熟な国王達だが彼女達は先代の国王の娘達なのだ、きっと国王としての責務を全うしてくれるだろう。
悲しさで溢れていた国葬だったが最後は住民に希望を与えて終わりを告げた。
国葬から数日が経ち、俺とアミは元の都市へと帰る日がやってきたのだ。
「行かないでぇぇ!!アミ〜〜〜」
アミにしっかりと抱きしめたままリリーへ泣き叫ぶ。
これにはアミも戸惑いの表情を隠せないでいた。
「大丈夫だよリリー、きっとまた会えるから」
リリーの頭を優しく撫でてあげながらアミはリリーを慰めた。
「ほんと?また遊びに行くからね??」
「うん!また遊ぼ!!」
そんなリリーとアミの微笑ましいような光景を見ながら俺はクーリッシュと話していた。
どうやらクーリッシュはまだ王都をあんまり観光出来ていないようで、帰るのはもう少し後にするようだ。
「2人の王女を護ったんだって?お前が来てくれて助かったよ」
俺は素直にクーリッシュのした行動について褒め称えた。
実際彼がいなければガーラビィアルが危険な目に遭っていたのは間違いはないだろう。
「いやいや、俺はキャンセル料分の仕事をしたまでだよ」
そんな他愛のない話をしているうちに帰りの馬車が到着したのだ。
「龍吾郎様、今回は本当にありがとうございました」
「また来てね!!」
馬車に乗り込んだ俺に窓の外からガーラは感謝の言葉をビィアルはまた来てほしいという言葉を俺に送ってくれた。
「あぁきっとまた!!」
そう言って後馬車は動き出し、王都の出口へと向かった。
俺とアミは馬車の窓から俺達を送りにきてくれた新たな国王達と共に戦った冒険者と王都の兵士達に向かい手を振って別れを告げた。
こうして俺とアミの王都での長い仕事が終了したのであった。




