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都市まで歩く


 夕日が沈む空の下。

 なんやかんやあって一緒に行く事になった俺とアミ。


「まぁよろしくなアミ。」


「あっ……はい、えーっと」


 アミは少し頭を悩ませている。


「龍吾郎でいい。」


 まぁ十中八九、俺の名前が分からなかったのだろう。

 俺はそう思って"龍吾郎"と再び名乗った。


「……!はい!龍吾郎さん!」


 アミは笑顔で俺の名を呼んだ

 さん付けはしなくてもいいのだが……

 この笑顔の前だとそんな事言えなかった。


 まぁお互い、ちゃんと名前も呼び合えたし次の問題は何処へ行くかだな。

 どこか近くに寝泊まり出来るような場所はないだろうか。


 もちろん今絶賛竜巻で吹き飛ばされているこの村以外でだ。


 まあこういう時は……


 なんか1番近い街ってどこだ、説明。

 説明に聞くのが早い。


【えっとそれでしたら、ここから南に真っ直ぐ10キロほど歩いた先に街があります。】


 やっぱりこういう時は頼りになる。


 えっと南はこっちかな?

 そう思って森の方向を向く。


【そっちは北ですよ。南は反対側!】


 説明に方向の指摘をされる。

 まぁ助かったからいいんだけど。


「それじゃこっちに行こう。」


 俺はそう言ってアミに促した。


「は、はい……はぁ……はぁ……」


 アミは俺についてこようとするがなんだかさっきより歩くスピードが落ちてきている気がする。

 それに息も上がっているようだ。


 もしかして……


「疲れたか?」


 それもそうだ、今日母親を亡くしてあの森に捨てられてから夕暮れまで歩きっぱなしだっただろうに。


「い、いえ……」


 息をきらせながらアミは答える。

 今にも倒れそうなくらいフラフラなアミをほおっては置けなく。


──マジックオープン!


 俺は目に写ってる魔法を見た。

 そして……


 なぁ説明、この水魔法の水は飲めるやつか?


 水魔法の文字が見えた為、俺は現状魔法に詳しいであろう説明に聞いた。


【大丈夫です。ちゃんと人体には害の無い成分で出来ています。】


 説明が太鼓判を押した。

 今まで説明が教えてくれたに間違いはなかった。

 今回も説明の事を信用してみる。


「アミ、手を差し出せ。」


 アミに手を出してくれるように言った。

 アミは素直に両手を重ねて器みたいにして俺の方に差し出してくれた。


 俺は手をアミが差し出してくれた手の上に置いて。


「──初級水魔法ウォーター!」


 そう魔法を唱えて、アミの手の上に置いてあった手から水が出てくる。

 水はちゃんとアミの手の中に収まった。


「……これって……?」


 アミが不思議そうに俺の方を見て聞いてきた。


「それを飲んで、水分補給しろ。」


 俺の言葉を聞いたアミは嬉しそうな顔をして水を口の中へと入れて飲んだ。


 その後も水を数杯分を飲ませる。


「あ、ありがとうございました」


 水をくれた事に対しての感謝の言葉がアミからされる。


 俺はその言葉を聞き、腰を下げてアミに背を向ける。

 アミは俺の行動に頭に疑問符を浮かべる。


「ほら、俺の背中に負ぶされよ。」


 俺はアミをおんぶする為に腰を下げていたのだ。


「そ、そんな!ここまでしてくれたのに……さらにこんな事まで……」


 アミは龍吾郎の行為があまりにも親切すぎて、遠慮をしようとする。


「いいから、早く負ぶされ。」


 その一言の後、しばらくおぶさる、おぶさらないの口論は続いたが、結局アミは俺の背中におぶさる事に決まった。


 アミを背中に俺は説明が言っていた方向へと歩き出す。


 村を離れて夜の荒野も歩き、その歩いた時間は6時間程だった。

 アミは疲れたのか、俺の背中でスヤスヤと寝ていた。


 そしてついに朝日が登る空の下、目的地に到着した。


 さっきの村の木の柵とは全然違い、強固な壁が築かれている都市が目の前に見えた。


 ここがどんな場所かはわからないが、言ってみるだけは行ってみよう。

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