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王都編【11】

 俺は玉座の部屋で緑色の光に包まれた。

 あの緑の閃光は爆弾と咄嗟に思って死を覚悟していた。


 しかし気がつくと俺はさっきまでのいた部屋とは別の場所に飛ばされていた。

 ここは王都の端にある家屋の屋根のようだ。

 その証拠として遠くの方で王城が見える。


 それにしてもさっきの光はいったい……

 

【先程の光はおそらくワープ系の魔法でます】


 疑問に思っていると説明が推察混じりに答えてくる。

 ワープ系?なんで!?あそこに爆弾の一つでも放り投げていたらそれで王族とその他の人は皆殺しにできたというのに。


 何か俺たちを殺せないわけでもあるのか?

 というよりアレは誰が……?


【それはおそらく──】


「ようこそ、お強い護衛さん」


 説明がなにかを伝えようとした時、後ろから声が聞こえてきた。

 すぐに振り向いて俺に声をかけてきた人物を見る。


 そこにいた人物は見たこともない不思議な男、銀の髪をオールバックしており黒のコートを着飾った男だった。


「誰だお前」


 この状況で俺の前にいる奴なんて警戒するのは当然だ、俺はまずこの男の正体を探るように問いかける。


「そうですね……言うなれば私はこの世を支配する者、ハーゲルンという者です。」


 右手を胸に当て、深々とお辞儀をするハーゲルンという男。

 この世を支配?何言ってんだ??


「虚空の森での貴方の戦い、見させてもらいました。とてもお強いですね」


 ハーゲルンはそのまま言葉を続ける。

 虚空の森での事を知っている……?だとするとコイツは。


「あの魔獣達、お前のか」


 俺はこの男が虚空の森に魔獣を放ったと想定し、ハーゲルンに問いかける。


「あの魔獣達は私の仲間の物です。

まぁそんな事より貴方、我々の仲間になりませんか?」


 魔獣の事について語ったハーゲルンは唐突に俺を仲間に誘い出した。


「なに?」


「貴方はお強い、こんなところで腐らせておくのはもったいないと思いましてね。

どうせ王女達も雇われてるから守ってるだけなんでしょ?」


 どうやらハーゲルンは俺を訳のわからない事に巻き込みたいらしい。

 

「わるいが俺は別にこのまま娘と平穏に暮らしたいだけだ。それさえ叶えば俺は腐ってても構わない。

それに王女には俺の娘の友達もいるんでな、お前らとなんか組まねえよ。」


 コイツの目的がなんなのかなんて俺には皆目検討もつかない。

 だが一つだけ言えるのが、コイツは碌でもない奴だ。そんなのに付き合ってやる道理はない。


「そうか、残念だ……

ではここでお前を殺す」


 俺の言葉を聞いたハーゲルンは口調を変え俺に殺意を向けてくる。


 ようやく本性出したって訳か。

 だが他の光に飲まれた連中はどうなっているんだ?

 

──


 王都大通りにて、国民的の前に国王とその他の兵士達が突然現れた。


「な、なんじゃこれは!?」


 動揺する王とその兵士達、そしていきなり現れた国王達に国民も驚く。


「国王様!?」 「なぜここに!?」


 しかしそんなゆっくりと驚いている場合ではなくなる。

 突如として、謎の集団が現れる。

 ここら辺では見たことのない者たち、白のラインが幾つも入った黒のコートを身に纏ったその連中はいきなり国民に対して攻撃を始めた。


 王都内にいくつもの火の手が上がり、国民たちの悲鳴が聞こえる。

 そんな中、王都にいる兵士たちは。


「こ、国王様をお守りしろ!!」


 と国王を取り囲むように集まり、国民よりも国王の安全を優先する。


「馬鹿者どもっ!!ワシのことなんてどうでもよい!!国民達を優先せよ!!」


 国民達の悲鳴を聞いてもなお、国王の元から動こうとしない兵士達に向かってシュルバンは叫ぶ。


「で、ですが……」


 兵士の1人が国王の言葉に対して反対意見を語ろうとした。

 たしかに国民よりも国王の命を優先した方がいい、誰もがそう思うだろう。

 この国王を除いては。


「大切なのは"もう長くはない“ワシではない!!これからを担う民じゃ!!」


 国王は兵士達に対して一喝する。

 その国王の言葉を聞いた兵士達は震え上がる。

 

「……お前ら行くぞ!!」


「そっちは住民の避難を!族には俺たちで対処する!!」


 即座に兵士達は住民の避難を優先する部隊、攻めてきている連中を食い止め、鎮圧する部隊に別れる。


 兵士達が一丸となってこの事態に対処をしている、その光景を見ながらシュルバンは。


「どこにおるのじゃ、ガーラビィアルリリーよ。どうか無事で……」


 そう願うばかりであった。


──


 王城の一室にて2人の少女達が突然姿を現す。

 その少女達はリリーとアミ。

 あの煙幕の際にリリーが咄嗟にアミに飛びついて一緒に緑色の光に飲み込まれていたのだ。


「お、おかしいわね。さっきまで私たちみんなと一緒にいたはずなのに……」


 状況の飲み込めていないリリーが先程自分達がいた部屋ではないと気付き、周りを見渡しながら困惑している。


「とりあえず、みんなを探そう?」


「うん……」


 アミはリリーに提案して2人は歩き出す。

 そこは先程の部屋の一段下の階の部屋、物置部屋になっており人はいない。


 部屋を出ると2人はすぐに外の異変に気付く。

 悲鳴やら何が爆発する音が街から幾つも聞こえてきて、2人は窓から外を見る。


「なに……これ……」


 その光景は幼い2人には馴染ませてはいけない光景。

 見る限りあらゆる場所で人を殺し、人に殺されている戦場のような光景だった。


 そしてそんな中、攻めてきている集団の何人かが王城へと走ってそのまま王城へと駆け込む姿が見えた。


「は、はやく逃げないと!」


 その光景を見たアミはすぐさまリリーの手を引いて王城の上層を目指して逃げる。

 

 そんな時にアミの脳裏には龍吾郎の安否が過ぎる、どうか無事で……そう願うしかアミには出来なかった。


──


 そしてここは王都リズンバルのどこか。

 太陽の陽が届かない路地のような場所に彼女達は飛ばされていた。


「……ここは?」


 目を覚ましたのはガーラは体が少し浮いている違和感に気付く。

 その違和感の正体にガーラはすぐに気付いた、自分の護衛をしているアーサーが腰を持って支えてくれていたのだ。


「あ、ありがとうアーサー。ここは……どこかしら?」


 ガーラのその問いかけにアーサーは答えない、静かに左手でガーラの腰を持ってガーラの上半身を地面に付けないようにしているだけだった。


 だがアーサーはいきなり右手に普段アーサーが使っている短刀を持つ。


「な、何してるの……その短刀は?」


 再びガーラはアーサーに問うが一向にアーサーは口を開こうとはしない。

 静かで異質な光景にガーラは恐怖を覚え始め、とある疑惑が浮かぶ。


 まさかさっきの煙幕と謎の光は彼アーサーの仕業ではないかと。


 そんな事を考えていた時、アーサーがその手に持った短刀を振り下ろした。


 ガーラは咄嗟に目を瞑る。

 しかし振り下ろされた瞬間、ガーラは金属同士のぶつかり合う音が聞こえた。


 ゆっくりと恐る恐る目を開ける。

 アーサーの短刀はガーラではなく、ガーラの首元まで迫っていた別の刃を防いでいたのだ。


「おい……なんの真似だ……」


 アーサーが口を開く。

 静かにしかしその言葉には怒りの感情が込められていた。


 ガーラは別の方向から自分の首を狙った刃の先にいる人物を見た。

 そこにいたのは……


「──ユザっ!!」


 自分の妹、ビィアルの護衛をしているユザだった。

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