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王都編【10】

 ついに王位継承の日がやってきた。

 この国、レイセゼレの今後の国王が今日決まるのである。


 その日俺とアミは護衛としての立場で王位継承の瞬間を近くで観れるそうだ。


 流れとしては……昨日俺達が集められていた国王がいた部屋で今の国王が次期国王を任命、その後外に出て民衆に対して正式に次期国王を発表する流れだそうだ。


 王位継承が行われる部屋に行く際に窓の外を見ると、王城前に集まって次の国王の発表を今か今かと待ち侘びている多くの民と王都の警護を行なっている兵士達が多数見受けられた。


「き、緊張するわ……」


 俺の前を歩くリリーは心配そうにつぶやいた、アミはそのリリーを落ち着かせるかのように隣を歩いている。

 その近くを守護する様に俺とシツが並んで部屋へと向かう。


 そして部屋の前の扉までたどり着き、扉を開け部屋の中へと入る。


 部屋の中には国王や王女達からの信頼を得ている少数の兵士や護衛がもう既にそろっており玉座までの道を開けて整列していた。

 ビィアルのお付きのユザ、ガーラのお付きの黒髪の青年。

 確か名前はアーサーとか言ったか?


 そしてビィアルとガーラ達も同様に着いていたみたいで2人とも前方の玉座の前の方で並んでいた。


 玉座にはまだ王の姿が見えなかった。

 おそらく王は後ほど来ると思われる。


 リリーはそのまま真っ直ぐ前へと行き、他の王女達と共に並び立つ。


 部屋中に緊張感が充満する。

 兵士の間でも次の国王が誰になるのか、そんな話題で持ちきり状態だったという。


 政治のガーラか

 魔法のビィアルか

 それともリリーか


 今日はその次期国王の任命がされる。


 そして少し遅れて扉が開かれる。

 この国の王たる者シュルバン・リズンバル

 彼の入場だ。もちろん護衛の騎士も8名ほどつれての登場だ。


 ゆっくりと王は歩みを進め王女達を通り過ぎて玉座へとたどり着き王は玉座へと腰を下ろす。

 王に仕える1人の騎士が前へ出て高らかに宣言を行う。


「今から国王シュルバン様による次期国王の選定となります」


「ご苦労」


 宣言を行った騎士を労うかのように国王が言葉を発する。


「此度は皆集まってくれた事に感謝する。ではさっそくだが次期国王を発表しようと思う」


 国王の発言にその場全員に緊張が走る。

 しかしその緊張のせいでその場にいる全員は国王の言葉にしか意識が向いていなかったのだ。

 もちろん龍吾郎も含めてだ。


「次期国王は──」


 なので国王が後継者を発表しようとした時、足元に何か球体が転がってきていても誰も気付けないでいたのだ。


 その球体はパァンッ!と音をたてて爆発する。

 球体が爆発して残るのは灰色の煙だった。


 突如として鳴る破裂音、そして立ち込める煙。この部屋にいた者たちを混乱させるのには充分な出来事だった。


 なんだこれは!?と龍吾郎も驚きを隠せないでいる。

 そして龍吾郎はアミを探す。

 アミは確か、リリーの頼みによりリリーの近くにいたはずだ。

 

 そう思い龍吾郎はリリーのいた方へと駆け寄ろうとした時だった。

 部屋の中心で緑色の光が出現する、その光はその場にいた者達を飲み込んで行った。

 それは龍吾郎とて例外ではなかった。


 そのまま光は部屋にいた者全てを飲み込んだのだ。



───


「始まったか、どうやら順調らしい」


 王都リズンバル付近にて王城を監視していた男はそう語る。

 彼の背にはおよそ1,200の仲間達がいた。

 男は振り返り仲間達を向いて宣言する。


「貴様らっ!これより王都を攻める!!ただ貴様らの役目は陽動だ!その事を胸に刻み暴れまくるがいい!!!」


 その言葉の後に1,200もの軍勢は雄叫びをあげ王都へと突撃していく。

 たとえ結界があったとしても、その結界は悪意を持つものを感知するものであって、悪意を持つものの王都への侵入を防ぐ効果などなかった。


 ましてや国王、及びに結界が弱まっている現在なら結界の突破など容易であろう。

 そうして雑兵は王都へと入っていった。


「さて、俺は1番厄介な男の相手でもしようかお前達も適当に暴れてこい四天王」


 彼は残っている4人の男達にそう命令をする。


「わかりました」


 命令を受けた4人はそのまま各自散る。

 今回自分達がする事は陽動、及び厄介な相手の足止めである。

 それはこの軍勢を仕切っている男も例外ではない。


 なぜならもう本命は王都内に潜り込ませているからだ。

 

 さて今回の彼ら逆賊の王都襲撃の本当の目的、それは王位の奪取であった。

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