王都編【4】
「ジャーン!ここが私の部屋だよ、入って!」
王都リズンバル内にある王城、その城の1室第3王女のリリーの部屋にアミは招待されていた。
天井は高く派手な灯りが付いており、床にはふかふかの毛皮が敷かれており豪華な装飾が施された机や椅子が部屋の中に置かれていた。
今まで自分が見た事のない豪華な部屋を見てアミは目を見張った。
「さっ!こっちきて!!」
リリーは部屋の中に入り、アミに近くにくるように提案する。
「あっ……じゃあ……」
アミは戸惑ったが相手はこの国の第3王女こういった言うことはきいておかければと考えてリリーの提案に承諾しリリーの近くにまで行く。
「すわって!!」
機嫌が良いのか、笑顔で椅子に座るようにと話す。
「じゃあ……お言葉に甘えて……」
アミはリリーの言った通り、椅子に腰を下ろす。
「もう、敬語は使わなくてもいいのに」
リリーがアミに敬語を使われて少しムッとする。
「ご、ごめん……なさい。リリー……様」
怒らせてしまった?と怯えながら返答を返す。
「様もいいの!……なんか気分悪そうだけど、大丈夫?私でよかったら話聞くわよ。」
アミが顔色の悪くなったのを見てリリーは心配する様子を見せる。
今アミは落ち込んでいる。
このリリーのほぼ初対面のアミに対する溺愛はアミにとって困惑を生んではいるが、原因は他にあった。
この事を他の人に話すのを躊躇うアミだったが、雰囲気に流されて話すことにした。
「私、龍吾郎さ……お父さんに頼られてないんじゃないかって……」
アミは自分の胸の内を明かした。
リリーはアミの言葉に静かに口を閉じて聞く姿勢をとる。
ここ最近、龍吾郎はアミをほとんど一緒に仕事に連れて行かなかったり、リズンバルにくる途中に襲われた時も頼りにされていなかった。
それがアミの落ち込む理由だった。
自分は龍吾郎によって救われた、だからその恩返しがしたいけれどどうすればいいかわからなくなってしまっている。
その事をアミはリリーに話したのだ。
「……なるほどね。凄いのね……アミは」
アミの話を聞いたリリーは一言アミに称賛の言葉を送った。
「えっ?」
思いもよらぬ言葉が聞こえてアミは驚いた表情でリリーを見た。
「私と同じくらいの歳なのにそこまで考えれるなんて凄いわよ!」
リリーは目を輝かせアミを誉めていた。
「そ、そうかな……」
まだ自信が湧かないのか、アミはまだ不安そうにしている。
そんなアミの手をリリーは握った。
「えぇそうよ!アミは凄いわよ!なんたって私の友達だもの!!」
リリーはアミの両手を包み込むように握りながら顔を近付けた。
その明るく優しい表情のリリーにアミは少しだけ、救われたような気がした。
「と、友達だなんて……恐れ多い……」
アミは明るい表情のリリーから目を逸らし謙遜する。
「も〜そんな事言って!」
そんな話をしながらも2人はしばらくの間楽しく会話をしていた。
──
リズンバルから離れた森の奥、そこには古びた大きな館があった。
しかしその館には人がいないという訳ではなかった。
「首尾はどうだ?」
館には多くの人が集まっていた。
開けた広い場所、多くの人が部屋の脇に並び玉座に注目していた。
そこの玉座に位置する場所に座っている男は目の前にいる跪いている男に聞く。
「はっ問題はありません。計画は順調に進んでおります。」
跪いている男は玉座に座っている男にそう報告した。
「そうか、ならば良い。……数日後の王位継承、その日をもってこの国は我らのものになるであろう。
みな、気を引くなよ。」
玉座に座る男がこの場にいる者にそう注意を促した。
「「「はっ!!全ては魔王様復活のために!!!」」」




