王都編【3】
王都リズンバルの入り口の門をくぐって王都の中に入った。
王都は都市バゼレとは違い華やかで活気があふれた街並みであり人々が賑やかに辺りを行き交っており、ものすごい発展を魅せていた。
馬車から見ていると大人から子供までが街中にあふれており、賑やかな雰囲気を出していた。
何かお祭り事だろうか?
【どうやら2日後の王位継承のため盛り上がっていると思います】
突然説明が脳内で語り出した。
王位継承?なんだそりゃ??
【どうやらここの王は王位を自分の子供、王女達のいずれかに継承したい様です。
王位継承はその儀式……というより、祭りみたいな感じです】
説明による解説がなされる。
王位……か、ということはこの俺の目の前にいるリリーがもしかしたら王になるって事か!?
【その可能性もあります……ですがリリーは第3王女なため、王になる可能性は低いと考えます】
そうか……まぁ、こんなわがままな感じの王がいたら結構大変そうだしよかった。
「すごい人ですね……」
リリーからようやく解放されたアミが窓の外の人達を見ていた。
「そうでしょ!なんたって、そろそろ王位継承の日ですもの!!」
アミに対してグイグイとくるリリー
その後リリーはアミについて王位継承の簡単な説明をして、俺達はリズンバルの中心にある巨大な城へと着いたのだ。
「ようこそ!ここがリズンバル城よ!!」
リリーはアミにそう紹介するというよりアミの手を引っ張って馬車から降りた。
俺と執事の方もその後に続いて馬車をおり、城に入って行く。
「おかえりなさいませ、リリー様」
城の門をくぐり、内部に入るとこの城で働いていると思しき多くの召使いがリリーの帰りを迎えていた。
「さっアミ!私の部屋に来て!!」
そんな召使いたちの迎えを無視して、リリーはアミを自分の部屋へと招待する。
「あら?帰ってきたの?バカ妹」
自分の部屋へと行こうとしたリリーの前に人が立っていた。
「げっ!?お姉様!!」
リリーは動きを止めて、前に出てきた人物に対して反応する。
リリーの前に立っているのは1人の金髪ウェーブの女性と少しぽっちゃりとして執事服の青年だった。
リリーが姉と言ったことから、この女性は第1王女および第2王女のどちらかなのだろうか?
「げっ、とはなによ。せっかく久々の再会だから会いに来たってのにその態度はないんじゃない?」
リリーの態度に物申す女性。
周りの召使いの人達はそれを止めずにただ見ているだけである。
流石のリリーも言い返せず、たじたじになっていた。
「ん?なによその子?」
その女性はリリーがくっつけているアミに気付いてリリーに聞く。
「何って……私の可愛いアミよ」
リリーは目の前の女性を睨みつけながらアミを抱き寄せた。
それを見た女性は……
「えっあなた……そういう……」
少し足を後ろに引かせながら言葉を詰まらせた。
「なに?他にないなら私自分の部屋に行くけど……行きましょアミ!」
女性の態度が変わった瞬間を狙ってか、リリーはアミの手を引きながらその場を後にしたのだ。
「えっ……とあの子のご家族ですか?」
リリーが去った後、少し動揺しながらも女性は俺の元に近づき訪ねてきた。
「……まぁそんな感じです。」
気まずそうな女性に引っ張られて俺も同じ反応をとった。
「私の妹がごめんなさい……自己紹介がまだでしたね。私はビィアル、第2王女です。」
ビィアルはリリーとは違い、丁寧かつしっかりとした謝罪をして自己紹介を行った。
「別にあなたが謝ることではないですよ、私は悪希 龍吾郎あなたの妹の護衛でここに来ました。」
相手が自己紹介をしたからには、こちらもそれに相応しい挨拶を返すのが道義というもの。
俺もビィアルに自己紹介を行う。
「よろしくお願いします、こっちが私の護衛のユザです」
「ども……」
ビィアルは後ろにいる自分の護衛を俺へと紹介する。
しかし当の本人は無愛想で素っ気ない返事を返した。
「……そういえばビィアル様が第2王女ってことは第1王女は?」
とりあえず俺はその護衛のユザの事は置いておいて、まだ見えていないもう1人の王女の事を聞いた。
「ガーラ姉様なら、明日には虚空の森を出てリズンバルに着く予定よ」
ビィアルは親切にも俺に教えてくれた。
虚空の森?随分と物騒な名前だ……
「虚空の森って……危険そうな場所だな。」
俺は心配そうに呟く。
「大丈夫よ!あそこ魔獣が出ない事で有名だから何事もなくくるわよ!!」
ビィアルは心配なさそうに話す。
これっていわゆるフラグ、という物ではないか?
まぁ何事もないように祈る。




