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王都編【1】

 自分のことを第三王女と名乗ったリリーという少女は堂々と姿を現す。

 隣には白髪と黒スーツ的な服が印象的な老人が立っている、おそらく執事だかなんかだろう。


「それで、明日わたしの護衛をする冒険者はどこかしら?」


 リリーが口を開く、どうやらギルドには翌日に護衛の依頼をしている冒険者に用があったみたいだ。


 ……ってあれ?確かクーリッシュは要人護衛の依頼を受けたって言ってたな。

 しかもその護衛の依頼は明日って話だった……も、もしかして?


 そう思って俺はクーリッシュの方を見る。

 クーリッシュはまだ俺が降らせた岩の下敷きにされている。

 そしてその近くにいたマーヒィとファリアは気まずい表情を浮かべている。

 あっこれはまさか……本当のやつだ。


「あの……そこです……」


 マーヒィは震えながらもクーリッシュが埋まっている岩山を指さした。


 マーヒィの言葉を聞いて、リリーは一度岩山を見る。そしてその後発言者であるマーヒィを見て、ものすごい勢いで岩山へと視線を動かした。


「……嘘でしょ?」


 リリーは信じきれてはいない様子で言う。


「本当……です……」


 申し訳なさそうな顔をしながらファリアはリリーに向かってそう言った。


「えぇぇぇぇ!!!なんで?なんでそうなるの!?強いって聞いたから依頼したのになんで岩にペシャンコにされてるの!!??」


 発狂するリリー、隣で耳を塞ぐ執事。

 流石に強いと聞いていた冒険者がこんな目にあっていると知ったんだ、無理はない。


「い、いったい誰がこんなことを!?」


 怒りの声を上げてクーリッシュをこんな風にした犯人を探す。

 やべぇ……どうするんだよ……


 そう思っていると周りから静かに目線が集まっていることに気がついた。

 この状況……逃れられなさそうだ……


「……俺だ、すまなかった……」


 周りからの視線で黙っていることを観念してリリーに自白する。


「はぁ!?あなたが……?」


 自白した俺にリリーは疑い半分と怒り半分の感情を向けてくる。

 やばい、相手は王族(?)このままだったら下手したら死刑なのでは?

 そんな不安が頭の中を横切った。


「本当にごめんなさい!!」


 そんな俺の隣にアミが走ってきて、リリーに謝罪を述べた。

 まずいこのままだったら俺どころかアミまで……


「……あなた、その子とどんな関係?」


 嫌な予想をしているとリリーは俺にアミについてを問いただしてきた。

 その声には何故か怒りの感情が消えていた。


「俺の娘だ。」


 俺は堂々とアミは自分の娘だと主張をする。

 その言葉にリリーは悩む表情を見せて、そして……


「わかったわ、それじゃあ代わりにあなたにわたしの護衛を依頼するわ。」


 ん?どういうことだ?

 さっきまでの怒りは完全に消えて、何故か俺に護衛を依頼してきた。

 いきなりすぎてどういうことかわからなかった。


「シツ、あの冒険者達にキャンセル料を払ってあげなさい。」


 リリーは隣の執事にそう命令を出すと、どこから出したかわからないが、袋を取り出してマーヒィの前まで行きその袋を手渡した。

 見た感じその袋の中には多くの貨幣が集まっている様子だった。


 マーヒィは混乱しながらも、執事から袋を受け取った。


「それじゃ、明日よろしくね?あとその子は"絶対“連れてきてちょうだい。」


 そう言ってリリーと執事は馬車にのりこんでギルド前から去って行った。


 取り残された俺たちは一時は唖然としていたが、岩山から怪我したクーリッシュを引き上げて救出して解散となった。


 ──そして翌朝、ギルド前に昨日の馬車が止まっていた。


 一応クーリッシュを怪我させたのは俺だから流石に責任を取らないといけないと思ったからこの仕事を引き受けることにしたのだ。

(まぁ仕事がなかったからちょうどよかったってのもあるけど……)


 一応言われた通り、アミも連れて行くことになった。これはアミ本人からの希望であり俺はそれを断ることができなかった。


 いったいどんなことが待ち構えているのだろう……

 そして俺たちは馬車へと入った、


「まってたわ!わたしの天使!!♡」


 アミが馬車に入った瞬間、リリーがアミに飛びつき抱きしめた。

 これはちょっと面倒な仕事になりそうだ。

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