7 仲間?
この物語は、不定期投稿になります。
気分次第で続きを出します。
やあみんな、はじめまして。俺の名前は高尾幸兎と言います。ちょっと有名な幸運男です。おっと……、だからといって裕福とかではございませんよ?悪魔でとてつもなく運が良いだけです。そんな俺ですが、少し前にある少女と関わることになりました。
それは………。
??「ねぇ〜〜…!卵焼き食べさせて……!」
俺の隣でフヨフヨと飛んでいるこの貧相な胸を持った女である。
??「今なんか失礼なこと思った…?」
ドスの効いた声で彼女は圧をかけながらジト目で睨みつけてくる。
なんで心読めるんだよ妖怪かよ!
あっ、妖怪だったわ…と勝手に自己完結する。
コイツの事を説明すると……。
この少女の名前は霊山真紀。不幸や不運をもたらす妖怪らしいのだが……、まだこれといって特別不幸なことは起こっていない。
その理由は、彼女の不幸より俺の幸運の方が上回ってるからであると彼女に言われた。なので、彼女はいつも俺についてくるのだ。
出会い方はたしか………そう、あれは最近の金曜日のこのぐらいの時間の時だった。
ーーーーーーー先週の金曜日
たまたま屋上近くの階段で、一人寂しく菓子パンを食べていた時だった。その時、いきなり屋上のドアが開く音が聞こえて、気になって立ち上がった瞬間、目の前に現れた彼女に驚き、階段から転げ落ちて気絶した。
それが真紀との出会いである。
ーーーーーーー現在
今となってはとんだ迷惑なものだがな……。
真紀「卵……いただき。ぱくっ…!」
幸兎「あっ!それ最後の卵焼きー!」
真紀「別にいいじゃんか?あなたのお母さんがよく作ってくれるんだから、別に減るもんじゃないでしょ?」
幸兎「…減るわ!俺はな、毎日毎日母さんの卵焼きを楽しみにして、噛み締めながら食べてるんだぞ!」
真紀「卵焼きくらいでそんなに怒らなくてもいいじゃんか?………あっ」
すると、真紀はなにかに気付いたのか、向いの方向に視線を向けていた。どうしたのかと思った俺は、真紀の方向にゆっくりと視線を向けると、そこにいるはずもない誰かがそこにいたのだった。
□□□流視点
彼らが、僕に向けて視線を合わせる。
完全にバレたと、僕は確信した。
流「…ヤベ」
さとみ「見つかちゃたね」
流「普通に言えよあざといかよ」
自然とそう口に出した幼女に、思わずツッコミをしながら目の前の二人に視線を戻す。
すると、彼らは僕らに気付いたのか歩み寄って来た。あと残り1メートルといったところで足を止め、その場で座り込んだ。すごい緊張感と、息を呑む音だけが空気に残る。やがて、目の前の男はこう告げた。
幸兎「頼む!!さっき一人で喋ってたことは黙っててくれ!」
流「………は?」
と、そんな素っ頓狂な声が思わず漏れ出る。
しばらくの間、思考が停止する。
結局、頭の整理が追いつかないまま思考が回転しだした。回っても何一つとして納得の行く理由が出てこなかった。そして、僕は困惑気味に口を開く。
流「あ、え?へっ、え〜〜っとぉ??どういうこと?」
さとみ「すごい混乱してるねー!おもしろーい!」
楽しんでないで助けて!?と心の中でそう呼びかけるが助けはなかった。
すると………。
幸兎「……ん?」
幸兎が急に顔を上げると、何か違和感を持ったのかさとみのいる方向に視線を動かす。
そして、また僕の方に向き直りこう問いかけて来た。
幸兎「なっ、なあ……?」
流「なっ、なんでしょうか?」
僕は緊張気味にガチガチと返事を返す。
幸兎「この少女って………、妖怪か?」
流「はい……妖怪です」
という質問に、僕は呆気にとられながらそう返答したのだった。
□□□
それから、僕らはいろいろと話し合い、結果、仲良くなった。
流「そうか……お前もいろいろと苦労が絶えないな……」
幸兎「お前もな…同士よ」
今、僕と幸兎との間には、強い絆が生まれていた。お互いの苦労を話し、分かち合い理解しあった結果、この絆が生まれたのだ。
幸兎「今から俺たちは、妖怪が見える者同士という繋がりで、硬い友情が生まれた。なので、今から俺たちは親友だ!」
流「あぁー!………えっ?」
唐突に正気に戻る。
ついつい流されそうになったが、純粋にいきなり親友っておかしくね?僕は熱くなった頭を冷やすべく、冷えたお茶を少し口に含んで冷やす。
そういえば、どっかのテレビで欠伸をする理由についての話をしてたことがあったな…。
あれはたしか……、脳の温度を冷やす為だったな。理屈は簡単で、欠伸をする時に取り入れる冷たい空気が血管に伝わって、冷えた血液が脳に循環して冷やされるらしいのだ。専門家による結果なので少し信用している。
流「いきなりマブダチってのは違う気がするのだが?」
幸兎「…ん?そうか……、俺は別にそんな気はしないけど……嫌だったか?」
流「いや別に、そういうわけではないけど……」
幸兎「ならいいじゃねえか?友達ってのは多い方が良いだろう?まあ、俺にはあまりマブダチと言える友達が居たことないんだけどな……」
そう言って笑いながら寝転がり始める。
やっぱりあれだな……、コイツ陽キャだな。
別に嫌じゃないけどちょっと苦手なんだよな〜…。でも、仲良くなっちゃえばどうってことないな……、とそう思うのだった。
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