3 ようじょとの休日
土曜の早朝。
今日は休日の為、学校に行く日ではないが、普段静かなはずのリビングから、何やら物音がたっていた。
こんな時間に誰だろうか?もしかして……空き巣!その考えに至った瞬間、僕は自室に戻ってある物を取り出して、リビングの方へと足を進める。因みに、ある物とは木造のバッドである。
そうして、僕は扉を思いっきり開けて、リビングに入ると、そこには。
さとみ「あっ!おはよーお兄ちゃん!」
さとみが台所で、何かをしていた。
僕はそれを見てあっけらかんとしていた。
そうして、少し前の記憶が蘇る。
流「あーーっ。そうだった〜……、コイツがいるんだった〜……」
今までの自分の行動が全て無駄であった事に恥ずかしさを覚えた僕は、一度バッドを自室に戻した後、リビングに戻った。
そうして、台所にいるその少女に問いただす。
流「おい。なにやってんだお前?」
さとみ「えっ?普通に朝ごはん作ってるだけだけど?」
流「いや、それはなんとなくわかる。なんで作ろうと思ったのか聞いてるんだ」
さとみ「あーそういうことか!あれだよ?一食一飯の恩ってやつだよ!」
流「それを言うなら一宿一飯だ馬鹿」
それに泊める事に関しては強制的だったし…。そうこうしているうちに、ご飯が出来上がった。
さとみ「はい、これ運んでー?」
流「はいはい」
と適当な感じで返答しながら、料理を食卓の上に運んでいく。
なんというか……、質素だな。
と並べられた料理を見ながら、そう思った。
当たり前か。なんせ最近、食材を持ってくる奴が現れないからな。まあ、ご飯と味噌汁がついてるだけマシなもんか……。
そうして、さとみの作った朝ごはんを口に放り込む。瞬間…。
流「んっ!?」
なんだこの味は!?
僕は、さとみが作った料理を一口食べた瞬間、僕は驚愕した。
さとみ「どうしたのお兄ちゃん?もしかして美味しくなかった?」
流「…うっ」
さとみ「……う?」
流「うまぁーい!」
僕は叫んだ。
僕は、あまりのうまさに思わず叫んでしまった。これは美味い!今まで食べてきた奴の中で一番美味いかもしれん。
さとみ「えへへっ、そんなに美味しかったんだね、お兄ちゃん!」
流「あー。美味い、美味いぞさとみ!お前こんな才能があったんだな!」
さとみ「えっ?料理なんて簡単でしょ?」
流「いや、全然。僕料理とか下手だから、成功した試しがないんだよ」
さとみ「へー……」
とまあ、そんな感じで談笑を交わしているうちに、僕らはそれを完食した。
流「ごちそうさま」
さとみ「お粗末様でーす!」
そうしてさとみは、食器を運んで洗い物をする。そして僕は、昨日の晩に回しておいた洗濯物を干すために、ベランダへと向かう。
今日は晴れ晴れとしているため、実にいい天気だ。こんな日に洗濯物を干さないバカはまずいないだろう。そうして、ベランダに出た僕は、次々と洗濯物を干していく。
さとみ「すごい手慣れてるね〜」
いつの間にか、背後からさとみの声が聞こえて少しびっくりしたが、手は止めずに口を動かした。
流「まあそうだな……。たしかに料理は苦手だけど……。それ以外の家事だったら人並みにはできるからね」
さとみ「へ〜……。お兄ちゃんって不器用なのか器用なのかわからないタイプの人間なんだね」
と、珍しそうに僕を見る。
そういえば、今更だけどなんで僕について来たんだろう?単純に興味?いつものほほんとした顔してるからな…、正直わかんないだよな。まあ、聞いた方が手っ取り早いし聞いてみるか…。
最後の一つを干し終わり振り返った後、さとみの方へと向いて、ある事を質問する。
流「なあさとみ」
さとみ「おりょ?なになにーお兄ちゃん?」
流「いや、ふと気になったんだけどさ?お前、僕に最初に会った時、家に泊まるって言ったよな?」
さとみ「うん、言ったね?……それが?」
流「それで、あの時なんで僕の家に泊まろうとしたのかなって思ってさ?」
さとみ「ふむふむ。そういうことね!」
なにを言いたいのか理解したような素振りをみせると、さとみは悠々とした感じでこう告げた。
さとみ「理由は簡単だよ!あなたがお人好しぽかったから、ゴリ押せば必ず泊めてくれるって思ったんだ!」
と満面な笑顔でそう言われた。
そんな顔されたら怒るにも怒れないが、満面な笑みで言うことではないと思った。
さとみ「それと……」
と彼女はそう付け加えて、こう言った。
さとみ「お兄ちゃん面白そうだから、とてもあなたのこと気に入っちゃったんだー!」
……と。なんともおかしな理由だなと、僕はそう思いながら洗濯物を干し終わるのだった。
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