11 一緒に……寝よ?
僕は今ある少女と同棲をしている。
それはこの、東本さとみという幼女っぽい姿をした妖怪少女である。何故、この子が僕についてくるのか…。それは、彼女のことが見えている僕が珍しいからついてきているという感じらしいのだ。そして、昨日僕はその真相についてを知った。それは、僕に霊感があるからなのだと……。根拠は無いが、多分そうなのでは無いかと思っている。
そして早朝、僕らはいつも通りに学校に向かっていた。
さとみ「学校楽しいよねー!また真紀ちゃんと話せるわけだしさー!」
流「まあ…そうだな…」
別に学校は人と話すための場所じゃないのだが……。まあ、人によっちゃあコミュニケーションの場だと言う人もいるから、別にいいか。感性は人それぞれな訳だしな。
と自分の中で納得する。
………そういえば、親父の靴無くなってたな……。
と、思いながら……。
□□□数時間後
そこからだいぶ時が流れ……、放課後。
今日も僕らはその部室に足を運んでいた。さぼろうと思ったのだが、その前に先を越されてしまい、結局サボることはできなかった。
彩芽「聞いてください!今日はちょっとした噂話を耳にしましたよ!」
席について早々、騒がしい彩芽先輩。
そんな先輩に向けて、僕は興味なさそうに返事を返す。
流「ふ〜ん」
彩芽「なによー、もうちょっと興味くらい持ってくれても良いじゃない!」
流「だってどうでもいいし……」
因みに、今日は幸兎達は部活には来ていない。彩芽先輩からは、習い事があるからという理由らしい。くそっ、僕もそう言っとけばよかったなと、心の中で後悔する。
流「まあ……、流石に可哀想ですし…聞くだけ聞きますよ?」
僕がそう言うと、先輩は嬉しそうに高らかに口を開いた。
彩芽「そりゃあよかったー!それでは話そう…、この学校の七不思議の一つをーー!!」
流「そういうんのいいんで、さっさと言ってください」
暑苦しいと思ったのでそう辛辣めに言った。
彩芽「もうちょっと乗ってくれよ……、まあいいや!それで、その噂だけど……」
そして、先輩はゆっくりと口を開いてこう告げたのだった。
彩芽「どうやら、夜のこの学校で、急に音楽室の楽器たちが一斉に演奏を始めるんだってさ!」
流「………」
彩芽「なんか反応してよ!」
流「ごめん……嘘にしか聞こえなかった」
彩芽「マジの話だよ!!」
それでも全然信じられなかった。まあでも、嘘でも信じてるフリをして誤魔化すかな。
流「あーはい、ソウナンデスネー」
と適当に流しながらそう相槌を打った。
その間、さとみが一人寂しそうにしていたので……その後は、僕が話し相手になったのだった。
□□□帰宅
そして、部活が終わり家に帰ってくると。
親父「やあ、おかえり!」
流「帰ったんじゃなかったのかよ!」
そこに当たり前のように帰ったと思われていた親父が、腕を組みながら威厳のありそうな座り方で椅子に座っていた。
一つ言わせてもらおう、ハッキリ言ってダサいぞ親父。
親父「そうかそうか、パピーはカッコいいか息子よ」
こいつ読めてるようで読めてないな…うん。
前回はあんなに僕の心を見透かしてたくせに、途端に当たらなくなったな。と、冷たい目で親父を見ながらそう思った。
流「なんでまだいるんだよ、早く母さんと仲直りして来いよ」
親父「それ……なんだがな……」
流「どうしたんだよ?」
と歯切れが悪そうに言う親父に、僕が聞いてみると。
親父「ちょっとさ……帰りにくくてさ?」
流「知るかボケ」
そんなこと知らん。自分でやったんだから自分でやれ。と、引き続き冷たい目で睨みつけながらそう心の中で呟く。
親父「うっうぅ〜…さとみ君、息子が冷たいよ〜!」
親父がさとみに泣きつく。
さとみ「可哀想だねお父さん、お兄ちゃんは本当に冷たいね」
さとみは、泣きつく親父を慰めながら優しく頭を撫でる。
流「おい?なにちゃっかりそっちの味方になってるんださとみ?」
いつの間にかそっちの方に下っているさとみに対して、僕はそうツッコミをした。
親父「どうだ息子よ、羨ましかろ〜?」
流「いや、全然。あとキモイぞ親父?」
親父「ガァーーーーンッ!!!」
そう言って擬音を発する親父に、僕は呆れたようにため息を吐くのだった。
□□□
それから数時間が経過し、僕は自室でスマホをつついていた。やっているのはアプリゲームで、少し前からハマっている戦略系ゲームである。これが案外面白く、ハマっている。何より、キャラクターが全員可愛いのだ。ハマって当然だと言えよう。
んで、僕が楽しくゲームをつついていると……。こんこんっと、ノックをする音が聞こえる。次に、ノックをした人の声が聞こえてきた。
さとみ「ねえお兄ちゃん、入ってきていい?」
と、その言葉に僕は断るわけでもなくすんなりと了承した。
流「あー、いいよ」
さとみ「ありがとう…」
そうお礼の言葉を述べると、さとみは僕の部屋に足を踏み入れた。僕は横になっていた体を起こしてさとみの方へと再度視線を向けた。
流「でっ…、何の用だ?」
さとみは、滅多に僕の部屋に入って来なかったため、何か用があって来たということが容易に推測ができる。
さとみ「眠れなくてさ…」
流「なんだ……、怖い夢でも見たのか?」
僕がそう聞くと、さとみは首を横に振って否定する。
さとみ「違うの、実はさ……お父さんのことで」
何をやらかしたんだあの親父は?いや、まだ断定するときでは無いな、とりあえず話を聞こう。
さとみ「お父さんね、リビングでテレビ付けてサッカーの中継を見てるんだよ。私が寝てるリビングで…」
あーなるほどね。
実は、今さとみが寝ているところはリビングの窓際で、念のため用意しておいた敷布団を敷いて寝ている。そして親父は、そのリビングのソファーで寝ることになっているのである。だから眠れないのであろう。
あの親父、少しは考えるっていうことをしろよな。
さとみ「それでね、だから……その…」
さとみは、恥ずかしそうにモジモジとしながら視線を逸らす。その顔が、わずかながら赤く染まっていることに気づいた僕は、何故か緊張をしてしまっていた。
さとみ「その〜……えっと〜……」
しばらくの間それが続き……やがて、やっとの思いでさとみはそれを口にした。
さとみ「一緒に寝てもいい……かな?」
とそんな尊すぎる顔で言われた瞬間、心臓の鼓動がやや速くなる。どういうことだ?一緒に寝るってことは、一緒にこの狭いベッドで一夜を過ごすってこと!?
そんなやましいことを考えるにつれて、僕の動悸はさらに激しくなる。だけど、頑張って僕は心を落ち着かせながらこう言葉を口にした。
流「あっ、あー……別にいいぞ?」
……と、すると……。
さとみ「えっ!本当にー!?やったーー!!」
彼女は、喜ばしそうに飛び跳ねながら回り出す。そして、ドアの前でピタリと止まると、僕にこう言うのだった。
さとみ「それじゃあ、リビングにある布団…、ここに移動するね!」
さとみはそう言い残すと、僕の部屋を後にして、颯爽と布団を取りに行くのだった。そして僕はと言うと……。
流「………へ?」
と、そんな素っ頓狂な声をあげながら思考が停止していた。そして同時に、やましい方向にしか考えられなかった自分に、恥ずかしさを覚えてしまった。
流「何考えてたんだろうな…僕」
と誰もいない部屋の中、そう静かに一人つぶやくのだった。
それからしばらくして、僕の部屋に敷布団を敷いて寝る準備を終えたさとみは、すぐに布団の中へと潜って眠ろうとしていた。
そして、僕はまたスマホを開いてさっきのゲームの続きをしていた。
流「やばい、このままだと詰むな………」
さとみ「何やってるの?」
流「うわぁ!?」
ゲームに集中している中、急に話しかけられた僕はびっくりして思わず変な声を出してまう。
さとみ「いや……、そんなに驚かなくてもいいじゃん……?」
唖然とした表情で言われる。
さとみ「まあいいや、それでその機械はなんなの?」
と言ってさとみは僕が持っているスマホに指をさした。僕はそれを、簡単に説明してあげた。
流「これはな、スマホって言って所謂携帯ってやつで……、遠くの人と通話したりメールを送ったりできる便利な機械だよ」
と僕がそう説明すると…。
さとみ「へ〜……。じゃあ、携帯があればあなたとどれだけ離れてても会話ができるんだねー!」
流「まあ、そう言うことになるな。だからって授業中に家の電話でかけてくるなよ?」
さとみ「わかってるって!お兄ちゃんだって忙しいわけだし、それくらいはわきまえてるよー!」
流「ならいいんだ」
さとみ「携帯か〜……、よし!」
さとみ「ねえお兄ちゃん!明日ちょっと出かけてくるね!」
といきなりそんなことを言い出すさとみに、僕は疑問に思いながら質問をした。
流「どこに行くんだ?」
さとみ「秘密!」
と言われてしまい。そのあと、さとみはすぐに布団にくるまって寝息を立てたため、聞くことはできなかった。寝るの早!というツッコミは置いといて……。
いったいさとみは何を考えてるのか、それが気になってしまい結局眠れたのは午前2時ぐらいだったとさ。
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