第一話 新たなる土地
ザーー、、ザーー… 浜辺に打つ波の音、その音は昨日まで起こっていた戦いを忘れてしまう様な平和な音であった…
「総統閣下、アルゼンチンに到着致しました」
「あぁ、ここから我等の再興が始まるのだ」
スゥーッ… その場で一度深呼吸をする
(火薬の臭いもなく、これが自然だけで創る空気か…)
「総統閣下、これからどうされますか?」
「うむ、先ずは身を潜めなければならん、ほとぼりが冷めたら行動を開始するとしようか」
「承知しました、この先のジャングルに密かに建設しておいた施設があります、そこに行きましょう」
「あぁ、それとこのUボートだが…」
「どうされますか?」
「可能な限りこのまま党員の脱出の任務を続行しろ、最後はバルト海で自沈だ」
「ハッ!」
そう命令を下した私はジャングルに隠された建物に行く
ザクッ!ザクッ!ザクッ! 私が行く道をSS隊員が掻き分けていく
「総統閣下、見えました」
「ほう、これが…」
私の目の前には石造りで出来た建物が映る
「少々小さくはないか?」
「ご安心ください、そこはただの入り口に過ぎず、本命は地下にあります」
「地下とな?」
「はい、総統地下壕に負けず劣らずの出来栄えでございます」
「では早速見せてくれたまえ」
「はっ、こちらへ…」
そうして私は建物の中に入るとそこには確かに地下へと続く階段があった
「なるほど、確かに地下壕そのままだな」
「はい!お喜び頂けて光栄です…」
「よし、早速復興の第一弾として情報収集に努めよ、世界の情勢を鑑みて行動開始だ」
「ハッ!」
そうして私は疲れによりベットで眠る
(ユダヤ共は私が死んだと思っているだろう、だが今に見ていろ、必ずやその息の根を止めてやる、誰一人残らず…)
〜1ヶ月後〜
「総統閣下、大まかな情報が掴めました」
「よし、では報告しろ」
「ハッ!、先ずベルリンは陥落、シェルナー元帥がアルプス要塞に移動途中捕まりそのままドイツは降伏しました」
「ふむ、引き付け役はその役目を果たせなかったか」
「また、ヒムラーは自殺、マンシュタイン゛元゛元帥とその他将校は逮捕され裁判にかけられたようです」
「ヒムラーが死んだか」
「はい、イギリスの取り調べ前に歯の青酸カリを使ったようです」
「なるほど、他にはあるか?」
「どうやらソ連と連合国との間に亀裂が走りそうです」
「何?どういうことだ?」
「我が国の分割や統治方法で少々揉めているようです」
「やはり資本主義者や共産主義者共は我がドイツという共通の敵が居なくなった途端互いを攻撃する愚かな者たちか」
「はい、実に滑稽と言わざるを得ません」
「だがこれはチャンスだ、連合国とコミンテルン共が睨み合っている間にアルゼンチンを掌握するぞ」
「ハッ!ハイル・ヒトラー!」
そうして私のアルゼンチンでの活動が始まったのだった…