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対偶関係。  作者: ちゃぶ
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その空間の広がり

スマホが無事に開いたので、地図アプリを使い、北川高校と調べる。


なるほど。今現在は8時5分。

この家の最寄り駅までは徒歩で4分。電車に乗っている時間が16分、降りた駅から高校までが6分で合計26分と、結構近い。


高校にはたぶん8時半までに着けばいいだろうから、、って遅刻確定か!?


いや、ここは8時40分本鈴と仮定するべきだ。アプリのルートも家を11分発として高校には37分着としている。きっとそうだろう。


それにしてもこの時間での登校とは。ギリギリにかつ余裕に登校するタイプの人間か。僕とそっくりだな。まぁしょっちゅう遅刻はしたんだけどね。

それにしても急がないと。あと5分で家を出ないといけない。


我が妹によると、今日は始業式らしいから、持ち物自体は筆記用具と財布ぐらいでいいのかな?その他があった場合は、知らん。


筆記用具は机の上に筆箱が置いてある。

財布は…床に散らばった教科書に埋もれている。

それらを急いでリュックに放り込んで、家を出る。

時間は8時9分。急がないと遅刻だ。


「いってきまーす」


やれやれ、制服を着ていたのがせめてもの救いだな。

それにしてももうちょっと早く起きて欲しかったな。電車通学なのに朝ご飯の時点で7時54分だなんて。

せめてあと5分もあればこの美少女の姿を舐めまわすように見てやったのにな…


おっとそんなことを考えている時間すらない。僕からすると初めて通る道なんだ。


地図アプリを見ながら、小走りで駅へと向かう。


ウヘヘ、ウッヒャアーッ!! ウワァッッ!!?


なんだなんだ、この湧き上がるような気持ちは。

何も無い道でこんなにテンションが上がるなんて!

美少女JKになると走るだけでこんなに楽しいのか!胸が揺れている感覚、これだけで1日中愉悦に浸れそうだ!

なんだか知らんがみなぎってきた!

走れる、永遠に走れるぞォーッ!!!


駅までは近いこともあってか、3分とかからなかった。初めて通った道のはずが、みなぎっていた為なのか迷うこともなく、あっさりと駅に着いてしまった。


ハァ、ハァ

何がみなぎってんだよ。ふつうにめっちゃ疲れんじゃん。


アドレナリンが切れたような気がした。


息を切らしながら財布を開けるが、定期券らしきものが見当たらない。


マジか、初手から定期忘れ?

ギリギリ勢なだけある。いや、この場合忘れたのは僕なんだろうけど。


あ〜、たしか僕が高校生の時もたまに忘れてたっけ。それで往復800円ぐらい払う羽目になったり。懐かしいな。


今回は地図アプリによると片道230円。安いですね。


ガタンゴトン ガタンゴトン


電車の音が聞こえてきた。急がないとまずいぞ。


幸い券売機も現実に即して殆ど同じ。ここまでの景色も現実にありそうな感じだった。


切符もスムーズに買えたので急いで改札を通り、既に列車が到着しているが、どうやら間に合ったようだ。


さっき走った時の汗が電車に乗ってから出始めた。上下色々と蒸れる感覚があるが、速い鼓動と罪悪感でじっくり楽しめない…


焦った割に、電車が動き出すまで2分ぐらいの猶予があった。


車内はそれなりに混雑していて、座ることは出来ない。特有のシートの匂いというかこの長時間書いだら頭痛くなりそうな感じ、苦手なんだよなあ。


電車内で立つ時はいつもロングシートの端にある棒にもたれなから景色の流れを見る。そうすると1年も経てば流れる景色の全てに馴染を感じる。

今回は全て初めての景色だ。

初めての世界で、全てが新鮮。

窓から差し込む光が足を熱く照らす。

全身が暖かくなり、頭がポカポカしている。


あれ〜なんだかボーッとしてきた。。

瞼が重たい。力が抜けていく。

寝たい…眠たい…


カクッ


ハッ!!あぶない!

ここで寝たら絶対に現実に戻っちゃうやつでしょコレ。ここで終わってたまるか。


良くは分からないが、そんな気がしたので寝るのは避けることにした。

もっとも、電車内で立っているのでそうそう寝れはしないだろう。

てか夢の中で眠いって矛盾してないか?まあいい。


少し意識を強めに、焦点を合わせ、再び目を窓に向ける。


今までの景色は流れ去り、左右を木々が目まぐるしく後退してゆく。

どうやら山を抜けるようだ。


少しすると木々は薄くなってゆき、周囲の景色は先程とは変わり、田園風景となった。


するとここで停車。

1駅だけで一気に雰囲気が変わった。


いいよな〜田舎の学校。

田園風景に囲まれながらの学校生活。


自分が高校生の当時は毎日朝から学校に行くことは苦痛とも言えたが、今となっては懐かしい。

それにこの世界での住んでいる家の辺りは割と発展している街のようだったし、不便はないだろう。


と、この駅で同じ制服を来た少女が乗ってきた。慌てている様子はない。それ以外に学生らしき人は見当たらない。本当にギリギリなのか、そもそも遅刻しているのか。


乗ってきた少女の姿を横からチラチラとうかがう。


ポニーテールの似合う、すらっとした感じの子だ。可愛い。

今の自分があの制服を着ていると思うと、なんだか恥ずかしなぁ。


チラ…….アッ!!!


目が合ってしまった。。

めちゃめちゃ見てたのバレたかな…

大丈夫大丈夫。今の僕もJKなんだ。ならば対等。目が合うということはあちらも見てきたということ。なんの問題もない。

でもなんか気まずいから逆側向いとこう…


僅かな停車の後、電車が発車する。


ここからは特になんの特徴もなく同じような風景が続く。

田畑と瓦屋根の民家、山。

都会で生まれ育った僕にとってはそれでも心が落ち着くように感じられた。


次の駅でも学生らしき人は乗ってこなかった。

この次がいよいよ高校の最寄り駅だ。


正直ここまでリアルだと、夢なのか転生したのかもよく分からない。

でもなんの不安感もない。これからの展開を疑問も持たずに楽しみにしている。


思い出してみると、昨日というかさっき?交通事故にあった訳でもなし、無事に布団に入って謎の現象に襲われはしたが、あの時点で既に夢だったかもしらないし、死んだとは考えにくい。


まあ、なんでもいいや。夢でも転生でも、せっかくのTSなんだから、なるたけ楽しもうぜ。


と、ここで目的の駅に到着。

駅舎のすぐ左側に高校が見えている。

生徒の姿もちらほら。


これからどうなるんだろう。

期待から不安が生じたが、これは負のものでは無かった。

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