清楚ヒロインに転生したが汚く生きる! ―後日談―
今作は『清楚ヒロインに転生したが汚く生きる!』の後日談です。
あらかじめ前作の『清楚ヒロインに転生したが汚く生きる!』を読破することをオススメしたいですが、自分が執筆する作品は世界観が狂っているのでめっちゃオススメとは言い難いですが、まー、読んでくれたら嬉しい……かな? チラッチラッ|д゜)
私はリリアン。誘拐触発犯罪者多発不可避漫画『攫って! 王子様!』の清楚系ヒロイン……の転生者である。前の名前は忘れた。何だっけ。
そんなことより私は今、とぉんでぇもぉなぁく疲れている。
というのも、一国の王子であるエリックに、毎日毎日ストーカーの被害を受けているんだ。
事の始まりは今から四日前。
極悪淫乱系ヒロイン――グロリアにいじめを受けた私は、トル〇ード投法でメイドを撃退し、対伊〇馨護身術ジャーマンスープレックス改をグロリアにお見舞いした。……あれ、対吉田〇保里護身術だっけ。ま、いっか。
まー、要するに、私は清楚系ヒロインとしてあるまじき戦闘術ではしたない姿を公衆の面前で晒したんだ。
すると、その現場をたまたま目撃した一国の王子――エリックが、「拙者、泥まみれになってプロレス技をしてくれて、ぱぱぱ、パンチラしてくれる女性が、すすす、好きなのでござるよ」と変態ムーブをかましてきたんだ。
これにはさすがの私ですらドン引き。
結婚拒否をし、エリックとの面会も全面拒否したのだが……あー、思い出すだけで寒気がする……。
ともかく、これから日記に書くことはここ四日間の出来事である。
転生して二日目。
馬の鳴き声で起きた。
リリアンの家では馬なんか飼ってないないのだが……。
聞き慣れない音に私は疑問を抱きつつ窓を開けると――
「そなたは美しい」
エリックがいた。
「そなたはア〇タカじゃないんで森に帰ってください」
私は即窓を閉めた。
すると、エリックは諦めまいと「そ・な・た、そ・な・た、そなたは美しい、開けて!」と窓を叩き、リズムを刻みながら抵抗する。
さすがにきもかったので、その日は家に引きこもった。
転生して三日目。
『パリーン』というガラスが割れる音がして飛び起きた。
驚いた私は、目をこすり視界を定めると、頭にガラスの破片が10個くらい刺さった変態エリックさんがいた。
「やあ、リリアン殿。今日も美しい」
変態エリックさんはさも日常かのように、頭から血を垂らしながら爽やかな挨拶をかましてきた。
私はなぜ変態エリックさんが部屋にいるのかわからずあたふたしていると、割れた窓が視界に入った。
そこでようやく私は気付いた。
コイツ、窓を割って不法侵入したんだ。そこまでして私に会いたいのか……。
そんな熱意が私にあるなんて素敵! ……なんて思うわけもなく。
「デテイケ!」
ダー〇ライさながらの低音ボイスで、変態エリックさんを外に放り投げた。
そして、その日は窓を壁にする工事をした。
転生して四日目。
日照権を失った私の部屋は朝でも暗闇のせいで睡魔が大量発生し、メイドが起こしに来てくれるまで私は寝ていた。
果たして、これは部屋のせいなのかそれとも日頃の疲れのせいなのか。
ともかく、朝からエリックがいないだけでも私の心は安らかで、すぐに腹が鳴ったので食堂へ向かった。
すると、
「やあ、リリアン殿。」
聞き覚えのある変態さんの声が。
私は恐る恐る声のする方を見ると、食卓の上で横たわっている変態さんがいた。
「今日の朝食は私だ」
変態さんはさも日常かのような発言をすると、両手を広げ、さぁ食べてくださいと言わんばかりの態度を取った。
……つか、なんで当然のように家にいるんだよ、コイツ。
さすがに嗚咽が漏れそうだったので、ダストシュートした。
ちなみに、何で家に不法侵入していたかというと、昨晩から朝にかけて家の前で私を出待ちしていたので、見兼ねたメイドが入れたらしい。厄介ファンか、そして入れるな。
メイドには変態さんを見つけたら即刻お帰り願うよう指示した。
そして、転生して五日目の今日。
今日は珍しく、朝から変態を見ていない。
食堂にもいなかったし、メイドに指示したのが功を奏したか。
どうやら不法侵入はしていないらしい。
だが、油断は禁物。
今日は大事をとって家に引きこもった。
そのおかげもあってか、今日は変態に会うことはなかった。
……ようやく諦めてくれたのかな?
やっとこさ私の転生スローライフを送れそうだ!
明日からが楽しみだなー。
追記:そういえば、朝に起こしに来てくれたメイドが「やあ、起きて」といつもと違ったハスキーボイスを耳元に囁いてきたのはなんだったのかな……。
今作は前作の『清楚ヒロインに転生したが汚く生きる!』のご感想で賜りました「続きが読みたい」のご要望にお応えしまして執筆致しました後日談でした。前作よりも短く簡潔仕上げましたが、楽しんで頂けたら幸いです。