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旅立ち

私は部屋で荷物を詰めていた。


「そんなに多くは持ってけないよね……。」


うーん。お金と、身分を表す懐中時計、後は救急セットに、あ、あと、弓ね。


私が荷物を詰めていると、アイリーンがノックして入ってきた。


「セレナ。本当に大丈夫?あの、森林国境なんて。すごく危険よ?」


アイリーンはこの二年で本当に美しくそしてたくましく成長したように感じる。あれほど力仕事をヒーヒー言ってたのにもう平気で一人でこなすし、身のこなしもなんだか軽いし、スポーツとかそう言うのやらせたら凄く上達しそう。少し前までは、色んなところにぶつけたらしいあざでいっぱいだったのに、今では全然そんな事もない。


「私も、ついていけない?無理?」


アイリーンは本当に心配そうに私に言った。私が旅に出るなんて初めてだしなぁ。


「ありがとう。アイリーン。でも、人数は少ない方が逆に安全なの。」


森林国境付近では目立たないように行動しなくてはならない。絶対に、()()()()()()()()()()。だから、なるべく人数は少ない方がいい。


私はふわりとその場で回った。


「どう?似合う?」


私が今着ているのはいわゆる国民の普段着で、ドレスとは違う身軽なもの。

あー!ドレスも可愛いけど、コレも着てみたかったんだよねぇ!お腹も苦しくないし、何より身軽!


私がそう呑気に言っていると、アイリーンは真剣な顔で私を上から下まで見つめる。


「やっぱり見えない。ぜんっぜん見えない。」


「は?」


アイリーンは急に私の服を脱がせる。


「きゃぁ!!いきなり何するのよ!」


「この服でも貴族感が抜けない!真っ直ぐな背筋!ツルツルの髪!綺麗な手!だめだめ!ぜんっぜんダメ!」


そう言って服をおそらく何回か洗濯しに下に降りていく。お、追い剥ぎにあった。


私は下着姿で呆然とする。が、なんだか、少し嬉しかった。こんな風にアイリーンと言い合える日が来てよかった。理想はもちろん、貴族同士、親も仲良く、そして私たちも仲良くだが、人生そう上手くいかない。私たちにできることは踠き苦しみ少しでも良い未来を掴み取ろうと努力する事だけ。


だから、私は前へ進む。


「よぉーーーし!私!頑張れ!」


大声で自分を高めていると、窓がスパーンと開く。

えっ?何!?ドロボウ!?


「わぁお!姫さんセクシー!」


窓を見ると、そこにはニッコニコのカイトが腰掛けていた。


え、ちょっと待って、私、今!!!

し!た!ぎ!!!!


「んな!なんですか貴方は!扉から入ると言う概念のない場所で育ったんですか!?」


私が真っ赤で動揺しているのにも関わらずおかしそうにケタケタ笑う。


「だって、なんか一人で喋ってたから面白くて乱入しちゃった!」


「貴方、いったいいつから見てたんですか???」


「うーん。いつからかぁ。俺、姫さんの事()()()()()()からなぁ。」


は??何を言ってるんだコイツは。


「も、もう!いいですから!ちょ、着替えるのででて行ってくださいっ!」


私が背中を押すようにして外に出そうとすると、窓際までは「わわ!」とか言いながらちゃんと進んでくれたが、窓の縁までくると、くるりと向きを変えて、私の腕をぐいっと掴み、顔を引き寄せる。


「ちっ。ちかいです!なんですか!?本当に!」


あまりの近さに思わず顔に熱が集まる。


「ねぇ。姫さん。ほんとに、行くの?」


近距離から真っ直ぐ目を見られると、なんだか心の奥底まで見抜かれているようで、キュッと心臓が痛む。カイトの真剣な瞳は黄金の瞳がさらにキラリと光るようで少し怖さを感じる。いつものワイワイした可愛い声ではなく、囁くようなそんな静かな声。


私は無理やり顔を離した。


「ええ、行きますとも。」


どんな困難があっても、私はカルミア様の隣に立てるのならどんな努力だって出来る。


すると、カイトはなんだか切ないような笑みを浮かべて「似てるね。」と呟いた。

思わず、えっ。と声を発すると、耳元で


「次会うときはお兄ちゃんだからね。」


と囁いて、そのまま倒れるように窓の下へ落ちていった。しばらく、赤面で立ち尽くしていたが、はっと気づき、窓の下を覗くが、そこにはもうだれも居なかった。



ドタバタと、アイリーンの帰ってくる音がする。


「セレナ!こんなにもくたびれた服になったわよ!これなら新品だなんて思われないわ!」


ウキウキで話すアイリーンに、私はヨボヨボ抱きつく。


「なにあいつーー!意味わからなすぎだよーーーー!!」


「え?なに?何があったの?」


私はまさか、下着姿でカイトに会ったなんて恥ずかしくて言えず、口を紡ぐ。

すると、アイリーンは、


「ちょっと、コレ着てみてよ。」


と、もう変装のことで頭がいっぱいで少し笑ってしまった。


屋敷の外でカラカラと馬車の音がする。森林国境の手前の町までは馬車で道を進む。その先はカイトと二人だけの旅になる。


いよいよだ。さっきの感じから不安な気もするのだけれど。


私はアイリーン自慢の少しくたびれすぎな気もする服を身にまとい、髪を一つにまとめた。


「よし!アイリーン、行ってくるね!留守は頼んだよ!」


アイリーンは私に親指をたてて、ニッコリ笑った。


「無事に帰ってきてね。」


「当たり前よ!」

森林国境編は、構想している限りだと、キャラが多くなりそうで今から不安いっぱいな、おにくです。

なんとか頑張って書きます!


いつもブックマーク、評価ありがとうございます!

とっても励みになっております!

目指せ、200ブクマ笑


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