汚れたお茶会③
ブワッと銀のティースプーンは黒く変色する。
マルクスとクラメールはなにが起こったのか分からず、呆然とその場に立ち尽くしていた。
アイリーンは気が抜けたように椅子にストンッと腰を下ろした。
「私とアイリーン様の食器が入れ替わっていたようですね。」
私がそう言うと、マルクスは呆然としながらも頭を働かせようと目をシパシパさせる。
「ほら、ここ。私の食器は全て紫のラインが入っています。ティーカップのみが入れ替わっていました。」
マルクスはラインを確認し、なにが起こってのかわからないという顔をした。
きっと本当に理解ができないのだろう。まさか、アイリーンが私の身代わりにティーカップを入れ替えた、なんて思考はきっとこの両親からは出てこない。
ポヤポヤと、なんで入れ替わっていたんだぁとか考えているのだろうな。本当に愚か者である。
「ところで、マルクス様、クラメール様。私の飲むはずだったティーカップに毒が入っていたようなのですが、どう言うことでしょうか?」
びくりと2人の肩が揺れる。
「納得できる説明を要求いたしますわ。」
ピシャリと伝えると、アワアワとするだけで口からは言葉と認識できるものがなにも出てこない。私は仕方なく、ロイに手をかざした。
スルッと剣を抜いて、瞬く間にマルクスの首元に剣が突きつけられる。
ヒィ!っと声を上げて床に座り込み、ブルブル震えている。
「人を殺そうとしたのにもかかわらず、殺される覚悟もなかったのですか?」
私がそう尋ねると、マルクスは大声で叫んだ。
「私はなにも知らないんだ!!アイリーンなんだ!アイリーンが毒を入れたんだ!!」
私は信じられない言葉に、なんと言っていいかわからず、立ち尽くした。
ロイは目に見えて怒り狂っており、剣を強く握りすぎて剣先が震えている。
「そうよ!こいつよ!こいつが全部悪いのよ!」
クラメールもそう叫び、私はいよいよ、ロイにGOサインを出してしまいそうなほど、怒りで震え上がった。
「その女を捕らえなさいっ!」
クラメールが叫びあのキングサリの護衛がアイリーンを捕らえようと凄い勢いで動く。
私は、本当に、我慢の限界だった。
『ロイ!!!!!!!!!!!!!』
私が大声で叫ぶと、ドカァァーンという大きい音を立てて、私の目の前でキングサリの護衛が派手に床に倒される。
「アイリーンがやったと言うのなら私が捕らえます。」
ロイはアイリーンを捕らえた。しかし罪人のようにではなく、美しい令嬢をエスコートするかのように、跪き、手背にキスをして、サッとお姫様抱っこをして、風のように連れ去った。
呆然とその様を眺めるマルクスとクラメールの所まで行き、私は、耳元で囁いた。
『素敵なプレゼントをありがとうございます。このお返しは近いうちに届けさせますので楽しみにお待ちください。』
そして黒く変色したスプーンをさし出した。
出来るだけ恐怖をしみ込ませるように、にっこり笑顔で目の前にポトンと落とした。
ヒィッと2人は縮こまったが、ほんとうに、知ったこっちゃあない。
私はそのあと、キングサリ様の護衛にも声をかける。
「キングサリ様に伝言を頼みますわ。」
護衛はウウと、ロイにやられ唸っていたが意識はある様子のため、そのまま続ける。
『近いうちに会いにいかせていただきます。』
そう、お伝えしていただけますか?と聞くと、ウンウンと首を振るので、そのままロイの元へ向かい、屋敷を後にした。
お茶会はここで終わりです。アイリーン編はもう少し続きます。
カルミア王子出番が少ない!!!




