いざ参らん!
リリスは急な茶会でものすごくバタバタと支度をしていた。やっぱり、侍女を雇うべきだ。優秀すぎてちゃんとできてしまっているから先延ばしにしてしまっていたけれど、もう、リリスに頼り切りではダメだ。誰かいい子雇わないと。
リリスは忙しそうに私に尋ねる。
「セレナ様!ドレスどれにしましょうか。」
色とりどりのドレスが私の目の前に出される。正直別にどれでもいいんだけど、まぁ、でも、万全を期してこれかな。一つ選ぶ。
「まぁ!いいの選びましたね!」
リリスはニコニコして私の選んだドレスに似合うアクセサリーを選びに走っていった。リリスは今は24歳。この三年の間で結婚もして、今は幸せいっぱいという感じだ。実は結婚してもまだこの仕事を続けているのはとても珍しく、なんでも、旦那さんは今とても遠い地で単身赴任中らしい。
この国では、貴族の侍女になれると、大体、良い縁談をその主人から貰える為、良い結婚をするためには手っ取り早い方法とされている。リリスの旦那さんを紹介したのは私の父。もっと単身赴任少ない人にしなさいよ!とも思ったが、おそらくこれもわざと。私にはまだリリスが必要だと判断してわざと単身赴任の人をあてがったのだ。人格崩壊者か、私が良ければいいのか、本当に。
でも、こんなことになってしまったのに、リリスは本当に大変な素振りを見せないで、私が旦那さんに付いて行ってもいい、と声をかけても
「セレナ様とまだ一緒にいられるなんて幸せです。」
と笑顔で言うのもだから本当に敵わない。でも、前世の世界とは違い、この世界ではそろそろ侍女から解放してあげないと、リリスに悪い。まだこの世界では女性の進出は少ない為リリスがどう思っているかは分からないが、親に心配されたりする原因にもなりかねない。
リリスに旦那さんのことを聞くといつもポッと赤くなって
「と、とても、素敵な人です。」
って毎回答えて本当に可愛い。父の紹介だから心配ではあったけど、良い人なら本当によかった。
でも、今も侍女を続けてもらっていることは、話が別だよ、お父様。そんなに好きなら本心は単身赴任にもついて行きたいかもしれないし、私の為にリリスを縛れない。やっぱり私甘えすぎていた。もう、リリスの優しさに甘えるわけにはいかない。ちゃんとリリスと話す!本当はどう思っているのか聞く!そして、侍女探しは優先順位一番だわ。
リリスは沢山のアクセサリーと共に私の部屋に入ってきた。
「さぁ!お着替えしましょうね!」
私が選んだドレスを手際よく私に着せてくれる。
ドレスは両手の袖の長い物で、裾が広がっているやつ。色は控えめに淡い紫色。きっとアイリーンは赤と黒だからかぶらないようにだけしておこう。
ノックの音が聞こえる。
「まだお着替え中ですよ。」
リリスがロイに伝える。
「失礼しました。扉越しにすみません。セレナ様、依頼されていたものが届きました。」
「ありがとう。ロイ。」
私はニヤリと笑みを浮かべた。
準備は整ったわ。行くわよ、戦場へ。
待ってなさい、マクーガル家!!!!




