表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/113

突然の呼び出し

時飛びます。

そんなこんなで、実はもうあのパーティーから一年が経とうとしている。すごく唐突に感じるかもしれないけど、私にとっては本当にこの一年は過酷で、お父様が雇っている家庭教師からの、勉強や、マナーレッスンに加えて、自らも家の本を読み尽くし、さらには外に出かけて図書館などでも多くの時間を過ごした。ロイにしごかれ弓の練習もしたし、そして、この国の街の景色を沢山、沢山みた。


セザールの歴史を学び、文化を学び、国民性を学び、人や街や自然と関わって、更にこの国が好きになった。この国は半分海に面していて豊かな海洋資源と観光が盛んだ。また、大きな土地を生かして農業を盛んに行なっている。そのため我が国の食品の自給率はほぼ100%に近く、とても安定している。大きな災害も少なく、他国の人々は口々にとても良い国だと言う。


しかし、問題のない国などなくこの国にも沢山の解決すべきところが沢山ある。私がこの一年で考え、思いつくものは、医療、宗教、そして隣国ラグーン国との関係である。あ、他にも沢山あるだろうけどね。そして、もちろんそこら辺は王が私よりも遥かな知識や知見を持って考えているのだろうし、私が何かできるわけでは全くない。この国の王は本当に優秀だ。しかし、この国を思うと何か、私できることはないのか、と、強く思うのだ。


そんなこんなで割と勉強を頑張り、あ!そうだ!あとは、弓のお稽古もとてもとても頑張ったのだ。


実はロイはかなりスパルタで、あんなに、


「絶対だめですぅ!!」


って、ぐちぐち言っていたくせに、私が何かするたびに、


「違います。もう一度。」


「ダメです。それでは全然ダメです。」


って、スパスパ心を抉っていくものだからびっくりしちゃった。でも、そんな中でもやっぱり優しくて、最初、弦で指をボロボロにしたときは、毎日苦しい顔で私の手を見つめていたくらいだ。このキャラ、人気があったわけだなぁとすごい実感した。


最初は弓の弦を弾くことさえも出来なくて、腕まわりの力をつけるところから始めて、柔らかい弓で沢山沢山練習して、今では普通の弓も行けるように、少しずつだけどなってきている。果たしてこの技術がなんの役に立つのかは全く分からないし、なんなら役に立たないのかもしれないけれど、でも、続けていこうと思う。


そしてなによりも、私はロイととても仲が良くなったと思う。前世では、ただ真面目キャラだなぁとゲームで感じていた印象だったが、今では、ただの真面目キャラというだけでなく、この世界で生きてるのだなぁと思う。当たり前なのだけれどね。ただのスチル絵とはやっぱり違うじゃない?ロイの笑顔や姿を見ると、生き生きして見えて、とても嬉しく思う。


ってぇ!私、このままだとロイフラグが立つ可能性あるわよ!?気をつけて!!!


はぁ。心配することが沢山。正直、今の私は9歳で、19歳の彼にどうこうなるとかは考えられないから今は考えないことにしよう。と、思うことにする。


というより、そんなことよりも、もっと重要なことが私にはあった。


そう。そうなの。問題はそこ。この一年。勉学に励み運動もしたしマナーも身につけてきた。でも一つだけ達成できていないことがある。それは、カルミア様と全くお会いしてないのよーーー!!!!!!!!


あの誕生日パーティー以来一度も!全く!何も!ないの!やっぱりカルミア様ルートなんてこの世に存在しないのだろうか。どうして………。こちらから軽々しく会いに行けるような存在ではないし、自分のことは努力できても、やはりこればかりはどうにもできない。


ど、どうしよう。他の婚約者たちともうイチャイチャしてたらどうしよう。ううう。辛い。怖い。あの時は強がったけど、他の人にとられるのはやっぱり絶対にいや。本当に本当に好きなの。ゲームの時はもちろん推しとして好きだったけれど、あの時、あの場所で一緒にお話しした時にまた惚れ直したの!素敵な方だなぁって一目惚れしたの!


あーーーー!!!!


ベットでバシバシ枕を叩くと、コンコンと、扉のノックの音が聞こえた。


「セレナ様?だ、大丈夫でしょうか??」


あ、やば、聞こえてたかな。


「あ、なんでもないです。大丈夫です。」


焦って声をかけると、部屋の外のロイが失礼しますと、扉を開けた。


「スヴェン様より急ぎの連絡がありまして」


あら、珍しい。今は、確か王宮で単身赴任中だし、私になんのようかな。もしかして、他の婚約者より出遅れてる叱責とか!?


「な、なんて、どのような内容でしょうか…」


「明日王宮に来て欲しいとのことです。」


「!!!!????」


え!うそ!王宮に!?もしかして、もしかして、カルミア様に会えるチャンスかもしれない!?


落ち着いて、お父様の呼び出しの件はカルミア様と会えるわけではない用事かもしれない。そうよ、、。その可能性だってある。


でもでも、でも!!!やっぱり!たまたますれちがっちゃうかもしれないじゃない!?


こうしちゃいられない!


「リリース!リリス!大変よ!緊急事態よ!ド、ドレス!私に似合うドレスはどれぇー!」


リリス、おそらくお忘れかと。侍女です。最初に出てきた。存在が空気すぎましたね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ