無一文魔王
人間としての理が倫理ならば魔族は、どんな理を持っているのだろう。
答えは簡単、何も違わない。魔族も人間も何も違わない。大体魔族も人間も元は同じ種族なのだから、変わる方が可笑しいと言うものだ。
つまり、魔族も人間に、人間も魔族に成りうるという事だ。
幾度と無く通る道筋。分かってはいたが、こうなってしまう。魔王だと知った瞬間みんな命乞いの言葉から始まる。私が……怖いんだ。
「なんで?どうして怖がるの?私が何をしたっていうの?魔王ってなんなの?」
繰り返す自問自答は、風の音に虚しく消え去る。
とりあえず、仕事を見つけないと、生きていけない。冷静になり今すべき事をする決心をする。他の村を当たろう。仕事探しに…。
そういえば、人間の中から勇者が選ばれたらしい。
私を殺す為の勇者の名前は、優神黒兎……もしあったら殺される。
怖い。怖い。怖い。怖い……
死ぬのが怖い。
でも、生き続けるのも辛い。
誰か、助けてくれないのかな。
私は、一人なんだ。
「おーい」
ふと、声が聞こえた。人間の声だ。
「君、レヴィアルって街知らない?」
三十代後半という所だろうか…髭を生やしたおじさんは、私に質問してきた。
「えっと……知り……ません。」
そう言うと、おじさんは困った顔をして
「実は、道に迷っちまってねぇ。」
と少し笑いながら、言った。
「そう…ですか。」
「所でお嬢ちゃんこんな所で何してたの?」
おじさんは、私の身長に合わせる様に膝立ちして
聞いてきた。
「……」
正直に言うか少し迷った。
「……仕事先が……クビになって。何処に行こうか迷ってて…」
気まぐれだった。何故私が魔王だとバレる危険を
犯してまで話したのか、よく分からない。
「そうかい……その年でもう仕事を……」
おじさんは少し悲しそうな目をした、、、人間は、こんな顔もするんだ……
呆気に取られているとすぐ顔を戻して元の陽気なおじさんになった。
「じゃあ俺は道に、お嬢ちゃんは人生に迷っちまってるって事だな!ハッハッハっ!」
この笑顔も、私が魔王だと知ったら…キエサルのだろう。
「お嬢ちゃん、そしたら俺と一緒に働かないか?」
…どういう事だろう理解が出来ず聞き直した。
「えっ?」
なぜ?どうして見ず知らずの赤の他人にそこまで尽くす事が出来るのだろうか。
「俺は、レヴィアルで鍛冶屋をしててな。こんなジジイなんで、よって来るのは武器を求めてくる髭男だらけなんだよ……そこで、お嬢ちゃんに看板娘をやって欲しい!」
何を言ってるか分からない。でも、仕事なら、なんでもしないと…生きれない。
「やります。」
そう言うと、おじさんは驚いた顔をした
「ホントにいいのかい!?」
やらなきゃ死ぬんだ。ならどうな仕事だろうとやってやる。
「はい……それで……カンバンムスメってどんな仕事…なんですか?」
おじさんは、ニヤリと企み笑顔を見せると
「着いてから説明するよ。」
と言った…少し嫌な予感がした。
「は、はい…ありがとうございます…えっと…」
名前を聞いていなかったことに気付き、おじさんが名乗る。
「俺の名前は、エルド=リディ=クレイブランス
エリスと読んでくれ、よろしく頼むよお嬢ちゃん。」
ここから、私の物語が始まる
to be continued...
ーーーーーーーーーーーーーーー
アドバイスとかお願いします。