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リアル? 1

 Meell交換後、連絡しあい初の土曜日のことだった。庄は、まだ次の街に行ってないが消えたプレイヤーと同じような出来事が起こった。

 足元を見て、そして前に進むと、そこに足があった。


 さらさらな砂地と石だけではない。


 おまけに靴もある。


 靴?誰の靴だこれは?


 俺はまだ踏んでいない砂の上の足の出所を視線を移し辿った。足から膝、太もも、股、腹、胸、肩、頭、全部ついている。


 そこに立っていたのは一人の女だった。ロングヘアーに綺麗な顔と変わった目をしてローブに身を包み、砂避け靴を履いて、四角形の飾りがついたワンドを持っていた。


 いつからそこにいたのか、意識が朦朧となりながら歩いていたので突然現れたように感じられた。しかし瞬時に現れるはずはない。


 もう一度足、体、頭があるのを確かめる、間違いない人だ。


 呆気にとられていると、


「ザッザッザッ」

と、こちらに歩いてきた。


「ピンポーン!正解です」


 ライムのホッペに人差し指でぷにっと頬を押してふふふっと笑いながら言う。


「自己紹介します、私はエリスという旅の者です。偶然あなたを見つけたので急いで駆けつけて来ました。何の返事がないのも仕方ありません。しかしあなたの冒険はすでに始まったのですから早く歩きましょう!」


 顔を近くで見ると無垢な白肌が、荒れた地から想像できないほど滑らかに見えた。目は澄んでいて瞳は青に白が混ざっている。


 ・・・。


「待ってくれ」


 俺はまだ何も言っていない。


「はい、まだ止まっていたいと?」

 大人びた笑みから歯が見えた、白く健康的な歯が一層状況を不可解にする。


 俺は顔が近いので照れてはにかみ、顔をひいてしまった。


 ゲームの世界なら歯を磨くにしても歯は少なからず黄ばんでいるはず。それがこの女の歯はホワイトニングでもしたかのように真っ白、この場所に不釣り合いなものがこの女にはあった。それでいてシニカルな態度をとられるから余計に焦ってしまった。


 目が覚めた。俺は、


「止まっていたいんじゃない、聞きたいんだ。何が正解なのかを?」


「それはゲームの中の世界ということです」


「どうしてゲームの世界の中にいることになるんだ?以前の世界はどうなったんだよ。おい、どうして俺はこんな所へ連れてこられたんだ?」


「あなたが未来の扉を開きたいと思って、このゲームを始めたからです。私は何もやれとは言っていません、それで今更逃げ出そうなんて非常識・無責任にも程があるわ。

 どうしてもここが嫌で元の世界が好きというのならお好きに。ただ、そうなると元の世界で悪い事が起こる事があると、一つ忠告しておきます」


「わざわざ教えてくれてありがとう、ところでお前がCMで俺に呼びかけた司祭の女なのか?」


「C、Mって何?」


「分からないか。それなら一度家に戻りたくなったらどうすればいいんだ?」


「分かりません」


「何だそれ、戻せないなら戻る方法とか知らないか?」


「分かりません」


「俺の仕事はどうしてくれるんだ」


「諦めて下さい」


「そんな明日は仕事なんだよ」


「これも一緒よ。例えばこの世界であなたが支払うもの、時間つまり命が対価、普通に仕事するのにもゲームをするのにも時間が必要になる、仕事と何ら変わらない」


「それじゃあモンスターに襲われたらどうなるんだよ?」


「それは簡単、元の世界で熊に襲われたらどうなる?良くて怪我、悪くて死亡ね」


「なんだよ。お前が言ってる事、極端すぎないか?」


「一緒よ、あなたの周りの人も戦って怪我ですまなかったら死よ」


「同じか」


「ぺ


 ちゃり」


「おい何するんだ!やめろよ」

 ライムのホッペに唇をそっと当てたエリス。口を離す時に唾液がついて細い糸をひいた。間違いない頬が濡れているのは唾液がついている証拠、少し冷たいし。


「何ってキスよ」


「わ、わかってる。だから何するんだ」


「悪魔のキスか、死の接吻かと思った?」


「ええ、毒入れてるんじゃないか?」

 ハンカチを持ってないので、俺は頬を手で拭った。


「大丈夫よ、怪我のうちに入らないから」


「え」

 もしかして好かれたのかな?声に出さず怪我の意味を頭の中で考えていた。


「あれあれ、でも恋も病。あー、でもこの場合の恋って私の病気の方で」


「えへ」


「えへへ」


「えへへへヘ~」


 エリスという女は下を向いたまま顔を赤らめていた。髪の毛で目元が見えないから、どんな表情になっているのか分からない。プルプルしているから、罠に引っかかった馬鹿な俺を笑うのを必死に堪えているのかもしれない。あんな冷たかったのにどうしたんだ。


「お、おい?」

 腹を抱えて中腰姿勢でエリスが動かなくなったので俺は声をかけた。


「ぶふっ、くすくす。なぁ、何か用?」

 腹に手を当てウィンク状態でエリスがこちらを見る。


「やっぱり一腹盛りやがったな、お前」


「いいえ」


 何でキスをしたのか分からないが俺は運が悪ければ死ぬかもしれない。さらに言えば、これが最初のイベントで既に死亡ルートに導かれてるんじゃないかと思う。


「どうしてキスをしたんだ?」


「言えない」


「じゃあ、なんで笑った?」


「それも言えない」


「ふっふ~ん、まあいいけど。それはそうと俺はこれからどうすればいいんだ?」

 それでもゲームなら、助かるルートもあるはず。


「それはさっきの続きよ。さあ街に急ぎましょう」


 そうだった、街があるのを願って俺はここまで来たんだった。ということは街の場所を知っているんだな、もし言うとおり街が見つかって、それらしい物があればゲームの世界が本当ということになる。俺はそれも考えなくてはいけない。

 だが逆にいなければ俺が騙されていることになる、その場合はさっきの口づけで死ぬ可能性も高くなる。


 俺たち二人はだだっ広い砂地を踏みしめ街のありそうな方向へ歩いた。

 エリスは勝手に歩いて行く、横に気を取られた俺は途中止まった。砂が靴の中に入り足裏マッサージ状態になって痛かったからだ。靴を脱ぎ叩いては砂を出す。


「ねえ?ところでさぁー、あなたの名前聞いてなかったよね。あなた名前なんてい言うの?」


「名前?」



「名前はライム」

 本名を教えるわけにもいかず、というか教えたくなかったのでゲーム名で答える。


「ライムか、なんか微妙ね」


「ほっといてくれ。おとなしそうな顔してズバッと言うよな」


「良い名前ね、とか言うんじゃないかと思って期待した?」


「してない」


「嘘ぉ」


「嘘じゃない、ほとんど本当の事しか言ってない。どちらかというとエリスの方が嘘つきだと思うぞ。さっきも言わないとか、まだ信用してないのがバレバレだ。悪いが俺もまだ信用できないことあるから!」


「そう、私の事そんなふうに思っているの」


「え、いやそんなのは売り言葉に買い言葉だろ」


「いいえ。私はあなたからすると嘘つきなのね、そんな信用されないなら抜けさせてもらうわ。嘘つきの私と歩きたくないのは明らかですから!」


「ま、待ってくれ!」

 ここに置いて行かれたらまずい。ここはエリスのほうが詳しい世界だ。右も左もわからない俺より知っているエリスといる方が断然有利に事が進む。


「何?」 


「俺が悪かった」

 ここは我慢だ。


「認めるのね」


 そう答えたエリスの顔が無表情で恐い。だが何か笑っているような顔にも見える。エリスと話すとペースというか主導権を握られてしまう。


「そういえばさー、迷子の男の子が砂地にいなかった?」


「それもしかして俺の事を言ってるのか?」


「――」


「おーい?」


「なに」


「何で無視してるんだよ」


「別に」


 俺を試しているのかもしれない。俺はそのまま突っ込まれキャラとしてエリスと話した。


「・・・」


「・・」

 何も言わないので答えられない。とにかく状況を馬鹿にしたいようだ。さっきのこともあるから何も返せない。



「さっ、着いたわ。あそこに見えるのが目的地よ」


「おおおおー!」

 あれは正しく光、それも点在するものがいくつも。街があるのに違いない、ここから1km程か?」


「行こう!」

 俺は走った。


「待って!」



「いいから早く」


「ちょっ、ちょっと待ってよー!」


 俺は嬉しくて急いで街まで走った。これで、この世界についての情報が入る、もしかしたら戻る方法がわかるかもしれない。


「はっはっ」


「はぁはぁ、ちょっ」


「はっはっ」


「あんまり急ぐと転ぶわよ!」


「はぁはぁ、大丈夫」


 途中、何度も転びそうになりながらも俺は走った。暗いのには、もう足が慣れている。慣れてきたので砂地に(つまず)くことはない。


「はっはっ」

 後ろを振り返るとエリスがついてきていた。


「はっはっ」

 まさかここで死ぬことはないはずだ。


「はぁはぁ、待ってって言ってるの!」


 俺は止まってエリスを待った。どうせなら二人で行った方がいい。実は偉そうなこと言ってエリスも迷子って事も考えられる。あの体力のなさが親についていけない迷子と同じだ。


「はぁはぁ、もう勝手に走って行くんだからー」

 エリスは前のめりになり両手をひざに付きながら垂れていた。


「はあはあ、それが待ってられますか?っと、おっ?」

 街まであと100mという距離から中で人影が見えた。何か持っているのか、すぐに消えたが。


「もう少しだ」


 せっかく人がいたのにいなくなりそうだと思って、また走った。


「いやっ、街は逃げないから。はぁはぁ」


「エリスは体力ないんだな。はぁ」


「はへぇ、体力は必要ないから。ふう~ぅ」


「はぁ、じゃー何があればいいんですか?」


「ちぃ、ちしき。んーすう、はぁ~」


「そうですか、ふうぅ」

 俺は、街まで駆け足した。


「おおっ~!やっとついたな。はぁ~」


「はぁはぁ、ちょっと早すぎ。お願いだから走らないで」


「いやぁ、早く実際の街をこの目で見てみたくて」

といいつつ、俺の頭ではまだ自分のいるのがゲームの世界であることを否定していた。




 街の入り口の前で立ち止まり街の外壁を見ると、街は塀で囲まれていた。


「あ、あったりまえでしょーふぅ~」


「どうして囲まれているんだ?」


「そ、そんなの簡単ん。ま、街を囲むのはモンスターだけでなくぅ、他の街の人や砂、風を遮断するため

よぉ」


「へぇ、そうなんだ」

 エリスは酸素マスクが必要なくらい息切れが激しかった、可哀想に、この世界にはどうやら酸素マスクはありそうにない。まさか息切れでエリスさんが死ぬってオチとかは・・・・、俺がまた迷子になるからそんな想像は止めだぁ、と俺は頭を振った。


 街の入り口の看板にはサンサンドと名前が書いてあった。ゲームの街の名前と同じ。外から分かるようになのか入り口はランプで照らされている。エリスは入り口から少しいったところから動こうとしなかったので呼吸が整うまで、じっくり街を見ていた。


 エリスがこちらを見る。


「どうした?」


「何を考えているの?」


「いや、エリスを待っていたんだ。これからどこへ行けばいいんだ?」


「もう真っ暗でどこもやってないわ、やっているお店と言えば酒場くらい。宿屋に行こうにもお金がないし」


「お金、持ってないの?」


「ない」


 それでエリスは、どうやって生活していたんだ?

「それじゃ街の中で寝るか?」


「それはできない。モンスターには襲われないけど盗賊か他の冒険者に襲われる危険性があるわ」


「そうですか」

 冒険者に!ここの治安は悪いようだ。


「ゲームの中と同じなら・・」

 俺は歩いた。ここら辺にあるはず・・・あった。入り口からまっすぐ行った場所に宿屋があった。


「すみません、俺たちお金がないんです。冒険者なので明日から稼いで毎日泊まりに来ますので、今日はどこかに泊めさせてもらえませんか?」

 俺は宿屋の主人に交渉の余地があるか尋ねた。


「んー悪いね、それは先に働くしかないな。悪いが帰ってくれ」


「そうですか、わかりました」


「エリス、悪いダメだった」

と入り口を見て俺はエリスに言った。


 スッ・・


 エリスが俺を素通りする。

 書きためていたものを修正したのですが、きりがありません。もっと言葉巧みに表現したいと思いますが単語が見つからず。

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