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2話 開かれた世界

 ゲームを始め、ギルドに入ったライムは皆とゲームを楽しむ。だがこのゲームには不可解な謎があった。それは、次の街に行くとプレイヤーがいなくなるという謎である。またルーレイファワークのCMがある事を誰も(ギルド内)知らなかった。

2話 開かれた世界



 Meellの番号交換でゲーム活動が本格化しそうだから、俺はヘルプにある説明書を一読し基本を頭に叩き込んだ。分からないことをチャットで皆に聞くなんて楽なことをしていたら、抜け落ちたりすることも考えられる。手抜きはなし、基本操作はしっかりできないとな。

 毎日、仕事が終わり家に着いてからタップでメニュー、スキルの技・魔法を切り替え、タップを二回、決定でスキル発動を練習する、また走る練習として、歩きたい方向にゲームのライムをスワイプし、すぐタップを二回入れた。するとその方向にゲームのライムが走った。スマホゲームで勝敗や強さを左右するものとして、主に操作時間による経過時間と正確性が関係あるからだ。



 翌週の土曜日、午後五時。接客・サービス、販売業などで働く人は、土曜日の仕事は聞くまでもなく忙しいと答えるだろうが人員的な事を言えば土曜は余裕があった。その理由は学生・土日アルバイトがたくさんいるから。


俺のスマホが17:00の数字を並べる。


Meellを立ち上げる。



シロップ こんにちは(=^・・^=)


アッキー 待ってたよ(゜-゜)


シロップ 気持ち悪い、モンスターみたい


アッキー ははははは、待ちあぐねてモンスターになってた


シロップ ストーカーアッキー


アッキー 安全だよ


シロップ スモーカーアッキーOoOoO


アッキー 恰好良いニックネームだね


シロップ 胡散臭いって意味(怒)


モニカ  お待ちどう?おっ、シロップも来てるのねー


シロップ 悪い?


モニカ  いいよ、ただ早いなって思って。お節介だったかな?


アッキー モニカさん僕もいるよ


モニカ  わかってる


アッキー 久しぶりだけど、みんな元気だった?


ライム  ゲンキー!


みゃあ  私も元気。何かみんな変てこな挨拶だね==」


アッキー 僕の事かい?


シロップ おっさん、分からないの?   


アッキー ふはははは、驚いたかな?僕あっ(げん)きーだから


シロップ くだらな


アッキー HaHaHa、”い”はどこにいったんだい?


ライム  面白いな


モニカ  アッキー君は案外、笑キャラだからねぇ


アッキー みんな元気でよかった。あぁ・・


みゃあ  なんかあった?アッキー


アッキー ぼ、僕?僕はこの通り。アッキッキー、ただはしゃぎすぎてしおれただけ


ライム  空元気(からげんき)かアッキー?


モニカ  それより今日のイベントだけど、どこにする?


ライム  どうしようか


アッキー 僕はいつも通り安全圏でいいと思う


ライム  俺はレベルが上がったからレベルに合う所


みゃあ  私はみんなの好きな所で良いよ


シロップ 高難易度の所希望!


モニカ  まとめると前回よりも強い場所ね、そしたら難易度を1上げたダンジョンへ行きましょう。並び替えで安全・危険度も調整できるから自分にあった場所を選んでね。


ライム  Good job


モニカ  うんうん


モニカ  シロップは先頭よ、ダメージとか率先して喰らってって


シロップ 分かってる(汗)


モニカ  じゃあ、決定~


アッキー 僕は一番後ろの方でお願いしようかな


みゃあ  私は中間がいい


モニカ  それなら私は二番手にしようかな


ライム  俺、三番手行きましょうか?


みゃあ  ライム君は私の後ろ、まだ私よりレベル低いし


ライム  でも俺ナイトです


みゃあ  そうだったね。それじゃー私はその後ろにしよう。ところでアッキー君は戦士なのに一番後ろでいいんですか?


アッキー そうだった、戦士が一番後ろなんて変だ


モニカ  いいよ、バックアタックとかあった時の受け身役で。それに戦士は魔法防御が弱いから、魔法で狙い撃ちされる事もあるし


アッキー 鈍感でゴメンm(__)m


モニカ  いいよ水臭いヽ(^o^)丿


アッキー なかなか強い戦士になれないな


みゃあ  アッキー君何かありました?なんでも言って下さい。みんな相談に乗る優しい方です。もしお休みを取りたいなら・・


アッキー 気にしなくていいよ、ありがとう


モニカ  では夕方六時になったらゲームを起動しイベントへGO。時間は四十五分、何かあればMeellでメールを送って


みゃあ  はい、そうします


アッキー Y


シロップ やあ


ライム  オッケー


 こうしてMeellで連絡を取り打ち合わせをする、時間がくるまで準備をした。昨日、俺は十分に基本操作の練習をしていたので、時間が来るまで別の事をしていた。


 夕方六時になったのでゲームを起動。


 Now Loading… 


 昨日は宿屋でセーブして終わった。そして宿屋から出発。街と外なら、どこでもセーブできるのでとても便利である。



「ピポン!」

 Meellにメッセージが入る。


「なんだ、急用か?」


 Meellも起動した。




みゃあ  はい、そうします


アッキー Y


シロップ やあ


ライム  オッケー


 さっきまでの文が残っている。


 その下に・・。




     ねえ、空を見て



と名前が空白のまま文が入っていた。


モニカ  あなたは誰ー?Meellは名無しで文入れれないはずよ


シロップ 名前なし


アッキー それはゲームの操作で空を見ろって意味かな?


ライム  現実にある空を見ろって意味じゃないか?おそらくみんな室内でゲームしてるから


シロップ 見れない


ライム  俺は玄関の近くにいるから見てみます


モニカ  ほっとけば、勝手に割り込んできたんだから


みゃあ  天気とかで変わるんですかね?


 上を見ようと思った時に俺は悪寒が走った。上を見上げると、お化けでもいるんじゃないかと想像してしまったからだ。確かに人間の顔だけとかいたら怖いな(笑)

 夕方で辺りは暗くなってきていた。俺は恐る恐る空を見上げた。


 ・・・・・


 何も変わった事はない。




ライム  空を見たけど何もなかったよ




     上よ上


モニカ  おいおーい、勝手に入らない事、少しは答えなさいよ!


アッキー もう、ほっとこう


ライム  見たけど誰もいないぞ、まさか俺の周りにいて驚かそうとか?


シロップ イタズラだ




     上をみればいいだけ



 上か?俺は一応また上を見上げてみた。







あ、


  れ



 すると平衡感覚が失ったせいか紅掛空色の空が回って落ちてきた。


 上を見ている?周りの風景が全て一色、上空と変わらない空であるのが横目に入った。そこから広がるのは無限に広がる空と雲、見渡す限り全ての空間が空色だった。足元は空色、浮かんでいて足の下も空の光景、まるでブランコを漕いで前に回った時に視界に入る光景と同じだ。頭がグラっと揺れたような感じがする。脳が揺れると言った方が合っているのかも。


「■■」


 そして視界が落ちた。突然電気が消えたかのように見えなくなる、さらに眠りにつく瞬間のように意識が薄れていく。


 嘘だ、嘘だ、目を瞑っては目を開けた、意識の中でそうして必死に夢から幻覚から覚めようと試みた。


 起きろ、何か俺の身に起こったのかもしれない。起きろよおい、こんなエントランスで寝て誰かにスマホや財布を盗まれたら、頭を打ったら、轢かれたら、死んだら、大変だから・・さ・・・。




 おき・・。



 意識が完全に闇に落ちた。




 俺の目が開いた。いや目は開いていたのかもしれない。俺の意識だけが落ちていたとも考えられる。その場合でも完全に闇に(ひた)っていたわけだが。



 眠ると言うのは空白の時間と同じように思う。

 しかし自分の時間も流れていき、周囲の人や物事は動いているわけで変わっていないのは自分だけである。

 ただ体の状態は同じとは言えない、食べ物が消化されていくし疲れもとれていく。それで何日も経つなら俺はみんなから遠ざかる。



 ―――――。


 俺は上を向いたままだった。訂正する、俺は前を向いている。変わった事は俺の体が地を背して空を見ている事、つまり体の姿勢が意識がおちた時と違っている事である。

 背中は土のジメジメとした冷たさを感じていた。しかし大地から背中を押されているというか、支えてもらっているという安心感・安定感がある体勢なので気持ちは落ち着いていた。


 寝たまま頭を左右に少し動かし、辺りを見渡す。


 どうしてだろう、さっきまでエントランスの上、植木の囲いの近くに座っていたはずなのに。


 目を閉じる瞬間まで、俺は必死にもがいていた。目を閉じて眠ってしまったら、何の抵抗もできなくなるから。

 多少の眠気なら起床時間の要領で目を覚ませたのだろうが、あれは眠気というより意識低下と言った方が合っている。



 ・・・・・ここはどこだ?


 ここは広大な砂地であった。



 木々がほとんどなく砂漠にでも連れてこられた感じがする。

 少しある木は根元から枯れ果て、上に残っている枝は萎んでいた。砂漠地帯なのか水分が足りないのか塩分が多いのか、色々な理由はありそうだが砂が原因なのが(うかが)い知れる。


 俺はこの景色に見覚えがあった。


 さっきまでやっていたルーレイファワークの世界と同じだ。

 ただグラフィックといった画像ではなく現実の像。砂、風、温度などとともに俺の体がその中にあった。俺自身も服も変わっていない。太陽を探したがあいにく空は暗く霞んでいた。ゲームの世界では天気は、その時々で変わる設定で共通点があるとは言えない。

 風で砂が舞い上がり耳に砂が押し寄せる。耳の中で砂がガサゴソと虫のように動き回り音を立てた。


 俺は急いで起き上がった、この殺風景に安堵の憑代なんてものはない。

 土に背中をつけていて、もし土の中に何かいたら俺はどうなる?未知の生物・細菌・ウィルスがいたら免疫抗体を持たない俺は病気に侵されるかもしれない。自分の国ならいいが他の国なら捕食関係(食物連鎖)が変わることがある。特にこの時間は夜行性動物の行動時間だ、おれは格好の餌食だ。


「チャララ!」


 メール音?のような機械仕掛けの音が聞こえた。


 そうだ!


 ポケットに手を突っ込んでみたがポケットには何も入っていなかった。あの時、持っていたスマートフォンがなくなっている。誰かに盗まれたか?そこらに落ちていないか一応見たがなかった。


 メール音がどうして聞こえるんだ?もしかして、この中の音か?まさかそんなはずはない。しかし、この砂地がある場所を自分の記憶から考えると、ゲームの中の世界以外に全く心当たりはなかった。俺は砂地のある場所に住んでいないし移動するにも時間はそんな経っていないはず・・。

 ゲームをしていた夕方の時間帯と、この場所の時間帯は明るさからして同じだと思う。


 しかし、ここには誰もいない。


 広大な砂地が辺り一面に広がっているのに、町や人っ子一人見当たらない。ただそれでも人が見つかる可能性は否定したくない。



「おーい、誰か、誰かいないか!!」

 歩きながら大声を出して助けを求める。



「おお――――い!」

 ダメだ誰もいない、ここであきらめてたまるか。



「お――――――――――――い!」


 ・・・・・やはり物音ひとつしなかった。



 音に反応するモンスターや動物がここに存在したら、間違いなく俺の居場所が知られると思ったので止めることにした。


「もし近くに動物がいたら死んでいたかも」



 そして次に、臭いに敏感な動物が風で運ばれた俺の匂いを嗅ぎ取り近づいてくるのではと思い、俺は早歩きになった。


 ここにいては危ないと自分の頭の中で勝手に思いこんでいた。


 なんとなく草の生えている方向を避けるように歩いた。動物やモンスターは木や森がある場所に多い、だからそれに近い場所の危険性が高いと考えた。見渡す限り何もないし、小さな木があってもヘビがいそうだ。


 俺は歩いた。ずっと前を見て歩いているが、同じ風景なので途方にくれてやる気がうせてしまう。


 ただひたすら何かこう神様みたいなものを信じて歩いた。


「はぁはぁ」

 何でここにきたんだろう。


 足元を見て歩いては、これから進む先のほうを見て歩く。


 心の中では「なーんもなかった」と「ああ町があったぞ、人がいたぞ」という結果の葛藤を繰り返している。


 一時間ほど歩いて砂地の上に座り十分位休憩、再び歩く。


 だんだん暗くなっている。砂が少し開けた空に太陽みたいな恒星があるのが二つ見えた。少し明るい光ともう一つはその半分くらいの光。光を放つ物体の比は2:1である。


「はぁ~」


 早くどこか休める所を見つけなければ、



「ふう」




「すぅ~」




 何kmも歩いたところで気づいた。この砂地がものすごい広いことに。



「広い」



「どこか」



 どこか


 もう真っ暗であった。時間の感覚なんて夜になれば分からなくなる。体内時計から予測しようにも規則正しい生活習慣とは言えないので全然分からない。


 どこか


 さっきまであった頼りの光球は、もう沈んだのか見えなくなった。


 ここでは絶対に休めない。


「ふぬーっ」

 口を開きたくない、あまり植物がないからか夜なのに乾燥していて水分を取られる感じだ。それで鼻呼吸をするが砂が鼻の中に入る。


 ああ、何で。


「さぁ」

 あきらめるのは早い、そんなこと考えたらきりがない。



 足元を見てひたすら歩き、前をみて確認する。



 何かないか、


 足元を見て前に進む。


 穴や崖に落ちないように、


 足元を見て、そして前に進む。


 足元を見て、そして前に進む。


 !!?

 チャットとMeellメールアプリの表現方法を分けました。:がつくかつかないかだけです。

 修正していて脱字でなく脱けている文が見つかって、読者に苦労させたなと思いました。読み返しても見つからなかったのは、本人は頭で思っている文を読む時につぎ足しているんです。

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