序章
それとなく考えたラノベ。
「この右手に集いし火と水と風と土の精霊よ、我が前に立ちはだかりし、この無粋なる者に偉大なる四精霊の力を見せよ!!」
「グラン・・
「ガチャガチャ」
「バタン!!」
「!!?」
えっ、母さん!!
「何してるの?」
な、何って精霊様が降臨中で、と言うわけにはいかない。
「えっ!まぁ・・ストレッチだけど・・」
そう、ストレッチだ。
何と俺が右手を伸ばし左手を腰に置いた時に、母が部屋のドアを開けたのだ。その瞬間を見られ、急に体勢を変えるのも怪しまれる。俺はそのままの状態で答え頷いて見せた。
「そぅ、ならいいけど。就職試験受けるのならいつでも言って、応募用紙を郵便局に出しておくから」
「ああ、ありがと」
別にいいんだけど・・。
「それだけ」
「バタンッ!!」
「・・・・」
その瞬間だけ俺が夢見るアニメの世界の止まない気持ち(思い)は、宙に秒が浮かんだまま止まっていた。
そう高校三年生の俺は今も中二病。別に中学二年生の時にかかったわけではなく、その前の小学生、いやもっと前からずっと俺はアニメの魔法のような事をいつかできるようになると信じていた。
仮に出来なくて思い続けることになっても就職して働けば、誰にも迷惑をかけることはなくアニメに夢中でいられる。
さて・・続きだな。
「邪魔が入ったな。この男、我が母に助けてもらったのを知らないようだな、あ~はっはっはー!」
「な、何ぃ?」
「見て驚くなよ」
精霊様怒っていないだろうな、よかった降臨体勢のまま待っていらっしゃった。
「グランエレメンタル!リ、バースト!!」
四精霊の偉大なる力が時を空間を歪ませるほどの威力の爆炎が巻き起こる。
「ドゴッゴゴゴゴッゴオッゴゴゴッゴ、ガガガガボボッボボッ!!!」
「くぅあああぁ・・・」
「ふっ、やってしまったか」
せっかく長い詠唱魔法を使ってやったのに、急いで逃げなかったのはお前のミスだ。
「トントン」
俺は土埃が起こって汚れた袖を叩いた。
―――――――――
翌日、早く学校に到着した俺は久しぶりに例の続きをした。
もう卒業か・・・・・・おっと、
「来ましたかガブリエル」
「はい、ヨハン様」
「例の事件は解決したのか?」
「そう申しますと、例の首切り事件の事でしょうか?」
「そうだ、目的がはっきりせん」
「その話でございますが人の頭には知識が詰められていると言われています」
「その知識を狙ったと・・?」
「はい、そう思われます」
「そうか、ならその首切りにあった者の職業を調べてくれ。またそれから次に狙われる者を推測して見張りなさい」
「良案です!それではその者に張り付いています。何かあったらヨハン様に連絡しますので」
「わかった」
「ヒュンー」
―――――――――
こうして俺の高校生活は勉強、(空想、夢見る)アニメ、たまにゲームで淡々と過ぎていった。
それから五年が経過する。
最後に序章は入れることにした。