裁判と判決、何かがちぎれた
「これより、大罪人キメヤ・ローズの裁判を始める」
大罪人とか言うなよ、俺は何もしてませんよ?
『うぉぉおおおおおお!!!!』
こら観客、やめなさいよ、俺が可哀想でょ?
「静粛に、これから証拠を出します、その証拠に対して異議があった場合、『異議あり』と発言ください」
「わかりました」
全部異議しかないんだけどさ
「因みに、嘘をついても【嘘を見抜くアイテム】がありますのでご注意を。3回反応した場合にはすぐに【無期懲役】判決となりますので」
「わかりました」
早くしてください
「まず1つ目、ここに国王の亡骸の一部の写真があります」
そういって、上にある謎の白いパネルを指差す、するとそこに写真が映し出された………だが
「この切れ味、とても普通の剣では出来ません。ですがあなたの魔剣ではどうでしょうか?竜だけでなく、謎の集団の鎧もいとも容易く切断したあなたの魔剣なら」
「異議あり」
「どうぞ」
「たしかに私の魔剣であれば、とても綺麗に人の体を切断できるでしょう………ですが、」
その写真
「流石にそこまで一直線に斬ることは出来ません」
雑コラすぎない?
映し出された写真、それは写真を真っ二つに斬った物だ
流石にバレないような工夫はされていたが、明らかに雑コラだった。
いや、この出来栄えで雑コラって言ったら雑コラが泣くだろう
「…………」
そりゃならないさ、本当だもん
だが、次の瞬間目を疑った
ーーチリーン
耳では無い、目を、だ
なった瞬間、置いてある台から手が伸び、その手が無理矢理鈴を鳴らしたのだった
ざわつき始める
「待ておかしいぞ、今台から手が伸びて鳴らしていた!」
また手が伸び、
ーーチリーン
「嘘をついてもわかるのです、この【アイテム】さえあれば、ね?もう後がありませんよ?どうするのですか?」
裁判長が勝ち誇った顔でこちらを見てくる。
くそっ、こいつもグルだったか!!
俺は心の中で吐き捨てる
その後、頭の中で悩んだ結果、絶対大丈夫なところで異議を唱えようと言う事にした
「2つ目の証拠だ、事件が起こった時間、あなたは家にいたそうですね?それだと証人がいませんから、本当に家にいたのか怪しいですね?」
こいつは何を言っているんだ?俺にはツヤリ達、妹が居て、一緒に住んでいると言うことを知らないのか?
「異議あり、その時俺は妹達と一緒にいた。妹達を呼んでくれればわかるはずだ」
周りが静まり返る、どういう事だ?
「くふふふ………っ!!」
誰の笑い声だったのだろうか、俺はその笑い声がした方向を見ようとした………その時
『あはははははははははははははははははははははは!!!!!!!!』
会場が笑い声に包まれる、一体どういう事だ?説明してくれ、訳がわからない
「あは、ふふあは、ふあははははははははははははは!!!!」
笑っているのは裁判長も例外ではなかった。本気で訳がわからない
その時、台座から手が伸びた、手も若干震えている
ーーチ、チリーン
「はは、はは………ふぅ、判決を言い渡す。有罪で【無期懲役】」
ひと仕切り皆が笑い終わった後、俺は連れて行かれた。
外へ向かう途中、未だ悩み続ける俺に、答えを告げるかの如く言葉が聞こえて来た
「いやぁ、笑った笑った……まさかまだ知らされてないなんてな」
「ほんとだな、王都なんてこの話で持ち切りなのに……
『エリカ・ローズ氏、ダスト・エータリオン氏と結婚、他の妹達も結婚決定』なんてな」
その話を聞いたその時、何かが自分の中で千切れたのを感じた




