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第六十四話:どうしようもない彼は意外とイラッとするドヤ顔がうまい




 「……リヴァよ、力を貸せっ! 『ランダム転移』っ!」



『飛翔』のスキルが、のっちゃん的にはうまくいった事もあったのでしょう。

所謂属性魔法、精霊魔法と呼んでもいいスキルを使う際、その属性を司る精霊的な存在に対し、ちょっと乱暴に命令すると意外とうまくいく事をとっちゃんは覚えてしまったようです。



この世界では属性のことをフォームと呼称してはいますが。

ファミリアの性質をなど表す事はあっても、曲法能力者の間ではあまり重要視されていない事柄でした。


つまるところ、12種類あるらしいその属性は、ここではない別の世界の概念なのですが。

見て体験して問答無用で自分のスキルとしていろいろ覚えてしまうのっちゃんにしてみれば、そんな事気づきようもないというか、そんな事は関係ない、と言う事なのでしょう。


しかも、大分前にマナからラーニングして覚えた『空間転移』かと思いきや、明らかに初出のスキルを使ってきました。

 


 

 《   名前:『のっちゃん』

    職業:異界の旅人(異世界人)

    状態:小疲労、微興奮


    生命力:156/200(+12)

    精神力:1730/1900(+92)

    攻撃力:18/18(+2)

    守備力:14/14(+3)

    敏捷力:330/330(+100)

    知力:35/35(+5)

    運力:33/33(+3)


    取得スキル



    完全言語把握能力(レベル∞)

    身体能力向上(レベル4)up!

    ステータス鑑定(レベル3)up!

    逃げ足(レベル5)

    挑発(レベル∞)off

    身代わり(レベル3) off

    空間転移(レベル2)up!

    精霊化『火』(レベル1)

    飛翔(レベル3)up!

    部分獣化(レベル1)

    氷魔法初級(レベル1)

    自爆(レベル1)

    九十九神(レベル4)up!

    念話(レベル3)up!

    暗視(レベル1)new!

    ランダム転移(レベル3)new!



    取得ギフト


    『星を撒くもの(スターダスター・マイン)』

    『現に戯れしもの(リアル・プレイヤー)』

    『#$$レ+*‘レ&#|¥ラ¥(~*#グ・%%ル&’#“ダ&=+*ー)』    》







咄嗟にのっちゃんの許可も得ずステータスを見てみると。

確かにここまでの道行きで覚えたらしい『暗視』や、モンスターのテイマー的な意味合いもあるらしい『九十九神』のレベルが上がっている中、明らかにあの、理由と仕組みがわからないと言っていた『横隔膜の間』での死に戻りめいた繰り返しと経験により覚えたスキルがありました。



―――『ランダム転移』。


なんでも、過去の曲法において似たような効力をもつものがあったようですが。

人の能力を見たり受けたりするだけでなく、トラップに類するものを体験する事でも新しいスキルとして昇華できるようです。


気づけばギフト……ルプレやマインなどお構いなしというか、実はのっちゃんの真骨頂は身に得た経験をすぐさま糧にできるところなのかもしれません。


鬼……しもべの居ぬ間になんとやら、でしょうか。

いつの間にそんなスキルを、といった風にルプレ&シャーさんとともに行く末を見守る中、のっちゃんそのものを表しているかのような、七色に輝く靄は、のっちゃんの手のひらから放たれるやいなや、まさしく意思を持つかのようにヴィロデさんとフィナルさんのもとへと向かっていきます。




リヴァよ、あいつを狙えっ、赤い武者風のやつだっ!」


思えばその時、のっちゃんはらしくないことの連続でやけっぱちになっているというか、現実主義なところをルプレに貶されてからどこか突き抜けてしまった部分があったのかもしれません。


その場ののっちゃん以外の誰もが、決死の思いでいるヴィロデさんもろともなどと思っていた中、そんなものはガン無視だ、とでも言わんばかりにスキルの概念……その一種に語りかけていました。


恐らく、のっちゃんはギフトとスキルの違いをいまいち理解していないのでしょう。

あるいは、ルプレやマインがそうであるように、スキルにも意思があるのだと思っているのかもしれません。


故に、のっちゃんがそう叫んだ時には。

そんな都合よくフレンドリーファイアを避ける展開になるなどとは思ってもみなかったわけですが。





「グゥおおおォォ……ぬぅっ、これは面妖なっ、フィナルが消えたっ?」


まさかスキルが本当に意思を持っているのか。

あるいは、のっちゃんがそう念じただけで都合よく敵性だけにスキルをぶつけることができたのか。

ヴィロデさんにも、確かにその七色の靄は降りかかり当たっていたはずなのに、急にフィナルさんだけいなくなったものだから、虚をつかれたたらを踏むかのように前のめりに転げていくヴィロデさん。



「……これもある意味戦わずして勝つ、というやつでやんすかね?」

「まぁ、主さまらしいっつーか……果たして門番さんのいなくなった扉はどうなるんだろなって話だよなぁ」



呆れ以上に感心した様子のシャーさんと。

言われてみればもっともなことをぼやきながら、しっかりちゃっかり飛び上がってヴィロデさんを助けに行くルプレ。


そんなルプレの言葉を受けて、確かにこの場の最後の番人とも言える紅さんがいなくなって、あまりにも大仰に過ぎる扉を開ける術を聞き出す事すらままならなくなってしまっている事実に対し、どう対処すべきなのか、何か考えがあるのか。

そもそも流れに乗ったままの行き当たりばったりの結果が今であって、この先どうするべきなのか何も考えていないんじゃないのかと。

そこのところどうなのかという意味を込めてのっちゃんを見据えると。



そこには分け身で同一のものである私ですらイラッとくる、ドヤ顔を。

そんな事もわからないのかね、とでも言いそうなのっちゃんがそこにいて……。



  

   (第65話につづく)







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