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第四十一話:どうしようもない彼の、今更な新スキル考察



しばらく見ないうちに、新しく増えたスキル。

その理由を述べよ。

のっちゃんにしてみれば、大好きな物語のような展開だったのかもしれません。

のめり込むように、心うちにまで呟いて答えを出そうとしていました。

マインとしては、前置きみたいなものですぐに解説するつもりだったのですが。

折角ですのでのっちゃんの答えを待つことにしましょう。




(……そうか、わかったぞ。これっておれがここに来て、見たり食らったり、つまりは経験というか、体験したやつなんじゃないか? よくわからないのもあるけど、『空間転移』とか『自爆』とか、そんな感じするだろ)

(ええ、お見事です。その通りですわ。恐らくご主人様に限らず能力を与えられし転移者は、その経験によりスキルを覚えていくのでしょうけど、ご主人様はどうやらその才能の突出しているご様子。これは逐一ステータスチェックする必要がありそうですね)



もしかしたら人の能力をラーニングするものが、未だ名も出ないオーヴェのギフトとしての力なのかもしれません。

マインとしては、のっちゃんにまずその事を真っ先に進言したかったのですが、のっちゃん自らが気づき求めない限りはそう言うわけにもいきません。


あの時のような、思いもよらないイレギュラーなどもう懲り懲りというか、起こらない事を祈るばかりです。

……なんて思っている時点で、もしかしたら旗が立ってしまうのかもしれませんが。



それを考えると、確かにのっちゃんの言うとおり、いたずらに心内など読んでもらってもいいなんて言えなくなりそうですが。

マインは気を取り直して、本題と言うか恐らくのっちゃんも期待しているでしょう、新しく覚えたスキルの解説に入る事にしました。


 


(うーむ。確かに知らないうちにこれだけ増えてるとその方がいいかもなぁ、めんどいけど)

(そうですね。ステータス閲覧もそうですけど、折角新しく覚えても鍛える努力をしなくてはレベルが上がりませんしね。その面倒さが、鍛錬なのかもしれません。……そんなわけで、わたくしが分かる限り新たに発現したスキルについてアドバイスしたいのですがよろしいですか?)

(ああ、よろしく頼む)


 

少々前のめりな、のっちゃんのリアクション。

やはり新しいスキルについて、なんだかんだ言っても期待感があったのでしょう。


マインとしても似たような感情があるので、載せられる形でテンションをあげつつ。

ついさっき我が儘で死に戻りを与えてしまった、ぎくしゃくした関係などとうに忘れて解説に入りました。



まずは、のっちゃんの一番身近にいる、能力持ちし人物……マナから得た能力ですね。

『空間転移』、『飛翔』、『部分獣化』、『氷魔法初級』の四つになります。

 

『空間転移』は、文字通りマナが何かしら身を削って使っていた【リィリ・スローディン】なる魔法から得た力なのでしょう。

あるいは、のっちゃんが帰りたいがために罠に嵌った、地下の怪しいロボット達によるものの可能性があります。


後で試してみないとはっきりとは言えませんが、覚えたてでレベルが1なのでマナが使ってみせたものに比べれば効果は小さいと思われます。

恐らくは、自分の見える範囲に移動できる、くらいが関の山でしょうか。


まぁそれでも使いようによっては有用である事は間違いありません。

密かにのっちゃんも嫌いじゃない漫画的バトルのお約束として使えそうです。



『飛翔』と『部分獣化』は、のっちゃんを色々な意味で揺さぶる? ためにちょくちょくマナが出したり引っ込めたりしていた翼や猫耳によるものでしょうか。


あの天使のように大仰な翼の方は、抱えられてではありますが移動に使って(使われて)いたため、感覚として覚えそうな感じはわかりますが。

猫耳に対しては素っ気無いふりをして、その実興味津々で見ていただけにもかからわずの習得です。


見ただけと言うよりは、自分もつけたいと思ったから習得できたのでしょうか。

聴力上昇などの効果はありそうですが、そうなのですかと聞いてもそんなわけがなかろうと返ってきたため、真相は闇の中になってしまいましたが……。



『氷魔法初級』は、同じくマナが切羽詰って使った【ルフローズ・アブソリュート】なる絶対零度の凄まじい魔法の事でしょう。


『空間転移』とは違い直接受けたり触れたりしたわけではありませんが、鬼気迫るマナのその瞬間は、忘れたくても忘れられません。


マナに言わせれば忘れて欲しい黒歴史なのかもしれませんが、。

ある意味しっかりのっちゃんの身に記録されてしまったと言えるでしょう。

とはいえこれも、初級とあるように同じような効果は望めず、使う事によっての今後の成長に期待といったところでしょうか。


 


お次は『精霊化・火』です。

これはきっと、意思あるマグマの災厄、【ボレロ・アンフラメ】の核となるガーディアンとの戦いによるものか、あるいは地下の胡散臭いロボット達の罠に嵌って飛ばされ、マグマにダイブし触れた事によるものなのでしょう。

 

どうやら災厄は、それぞれに属性のある精霊的な存在であるようです。

恐らくは、よくのっちゃんが星になって飛び散っていくように、あるいはマグマゴーレムのようであったガーディアンのように、レベルアップの果てにはマグマそのものになれるのかもしれません。

これも、使って鍛えて徐々に、ですね。


そう考えると、あの虫の大群の災厄【ノーマッド・レクイエム】にももう少し触れ合っていればなにかスキルを得ていたのでしょうか。


マナから得たスキルと違って目の当たりにしただけでは駄目だったのは、スキルを得たいというのっちゃんの選り好みに関係しているのかもしれません。

有用ではあるのでしょうが、虫のスキルはちょっと……と言う気分が働いたのでしょう。




『自爆』は先ほどのマナの件ではありませんが、マインにとってそれこそ忘れてしまいたい自傷行為そのものの結果ですね。


ここで注目すべきなのは、のっちゃん自身というかそのギフトによってなされたものがスキル化していると言う点です。

 


自分の能力を自分に使って新たなスキルを得る。

考えようによってはレベリングにおいて大いに幅が広がりそうではありますが。


なまじっか死に戻りなどができるからこそ、際限がなくなってきそうで。


その辺りはのっちゃんと話し合ってとりあえずはあまり考えない事に決めたのでした……。




        (第42話につづく)








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