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第三十六話:どうしようもない彼は、意外と上から目線のロックンローラー



とにもかくにも、優しいご主人様との落としどころを探るやりとりだったわけですが。

なんとはなしに私は、ギャラリーが二人そこにいたのを失念していたようです。




「おおぃっ! 滅多なことを言うもんじゃねーぞっ。だったらそもそも死に戻りしてんのはあたしだろうがっ。バツならあたしが受けるかんなっ!」


何だか自分からお仕置きを受けたがっているように見えなくもない、そんなルプレの言葉。


ツンツンと見せかけてどМな所でもあるんでしょうかね。

その辺りの危うい思想にツッコミたい気持ちはありましたが。

そもそものところルプレ……【リアル・プレイヤー】のギフトは、私のギフト、【スターダスターマイン】により原始(子)へ還ろうとするものを半ば強引に時を戻し、あるいは世界線を変えてまでやり直しをする、奇跡といってもいい力であって。

罰になるどころか、ルプレがいなければそれこそ全てが終わってしまうわけでなのです。

 


そこを考えれば常に讃えられるべきが彼女ルプレなのですが。

それを口にすれば一方的に悪いのが私になってしまいますので、自分可愛さにその辺りの事は口にはしませんでした。

 



「そんな、ダメだよおのっちゃん! エッチなのはいけないと思います(テンプレ)っ! こんなちっちゃな娘を毒牙にかけるくらいなら他にふさわし……ふきゃっ」



恐らく、ルプレもなにか勘違いをして、自分が一方的に悪いなどと思っているのでしょう。


だったら半分こですね。

なんてアイコンタクトを送っていると、何故だか顔を真っ赤にして最後までなにか言いかけて。

のっちゃんにペちんと額をいい音で叩かれてその先を失うマナがそこにいました。


勘違いと言うか、悪乗りして(その割には自分で言いかけておきながら照れていますが)、場を和ませようと言うか、うやむやにしようとしたのでしょうが。

それは全てが結実するよりも早く、まさかののっちゃんの手で止められてしまったようです。

(失礼ですが、実に軽くて小気味よい音だったと思います)


その際、のっちゃんから出た星屑も明るい色合いで、その様をよくよく表していました。



マナもルプレも私も固まったように止まってしまったのは。

まさかのっちゃんが、気安いマナにとはいえ、手を出す(とは言ってもツッコミレベルですが)とは思わなかったからです。


……いえ、よく考えればこちらに来てからはさりげなく似たようなことはあったかもしれませんが。

向こう(のっちゃんの故郷にしてゴール地点)ではどうしたってツッコミ役と言うより、聞いているのかいないのか分からないスルー役が多かったので、びっくりしてしまったのもあるでしょう。




「……罰だかなんだかそんなのは知らん。おれはただ理由が知りたいだけなんだ。どうせそれらしい理由があるんだろう? もやもやするからさっさとおれを納得させてくれ」



それは、横道にそれがちだったかしまし三人娘に対する、空気が読めないといってもいいど正論でした。

だけどどこか、ハードなロックの詩みたいな感じなのは何故なのでしょう。

下手に出てそうに見せかけて、やっぱり堂々上から目線だからなのでしょうか。




「と、のっちゃんがぶったーっ!」


言葉の割によほど心を許してなければしないだろう行動だと言うのがマナにも分かったのか。

何だかとても嬉しげにその手を掴もうとして、弾かれるように離されて返り討ちに合うマナ。


そんなマナにざまぁとばかりに大笑いしているルプレ。

きっとそのうち鬼ごっこが始まるのでしょう。


私はその隙に元よりそのつもりだったのに随分話が逸れてしまった……

のっちゃんの言うところの、思わず死に戻りを誘発してしまったわけを話す事にしました。




「もうここまで来たら洗いざらい話しますけど、一番の理由はやっぱりルプレのように表に出てくるのが恥ずかしかったからですわ。……本当はただのギフトとして以上には、表に出たくなかったのです。違うようでいわたくしとご主人様は同一のものですからね。裏の顔……と言うわけでもありませんが、正直気持ちいいものではないでしょう?」

「……うーん。分かるような分からないような。だけど何となく相手の考えている事が分かるって事か?」

「そうですわね。申し訳ないですけれど、わたくしやルプレはどうしてもある程度はご主人様の考えそうな事は分かってしまいますね」

「そっか。……うん。昔なら何か嫌だなぁって思ってたかもだけど」



そう言って案の定追いかけっこを楽しんでいるルプレとマナ……どちらかというとマナの方を見ているのっちゃん。



「ああ、彼女ならば……理想の相手はそんなあけすけな人です、くらい言いそうですわね」

「自分めちゃくちゃ好きそうだもんなぁ。中々おれには理解が及ばん。……いや、ああ。そう言う事か。

だから君……マインは出たがらなかったのか」



故に、無理やり暴かれる前になんとかしたかったわけですが。

結局こうして出てきてしまっているわけで。


それでもまぁ、イレギュラーがあったとはいえ、結果としてはそんなに悪くない方向に転がったのかもしれませんね。


やり直しの死に戻りの頭から、こうして出てくる事ができたのですから……。



 

         (第37話につづく)








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