第19話 激動の一日 後編
クラウンは俺の思考を読んでいる。
とは言っても話していてわかったが、クラウンは俺の考えている事を全てわかっているわけではなさそうだ。
ということは、おそらく俺の思考を直接読んでいるのではなく、俺の目や表情から判断しているのだろう。
俺もポーカーフェイスをしているつもりだったが、すくなからず表情に出てしまっている部分もあるようだしな。
そして先程、雰囲気の変わってきたクラウンからは殺気が漂ってきた。
随分色々と教えてくれるとは思っていたが、やはり最初から俺達を生かして帰す気はなかったようだ。
それに関してはこちらも同じ事!
最初から生かして帰す気はない!
やつの殺気がどんどんでかくなる。
正直これほどかと思った。
クラウンの力を侮っていたのかもしれない。
しかし、そんな事はどうでもいい。
やるべき事は決まっている。
こいつを倒し情報を奪う事、もし奪えないのであれば即座に殺す事。
ただ第一優先はユーリの奪回であるから、万が一のときはユーリをタマモとリーエに預け一緒に脱出してもらうだけだ。
ガブリエルに関しては攻撃される可能性を考慮して、この部屋の外に待機させている。
それは正解だったと思った。
「タマモ、リーエ。即座に最大の威力で魔法を仕掛けろ」
「でもユーリさんも近くに・・・」
俺が小声で二人に攻撃を仕掛けるようにつぶやく。
ユーリを心配したリーエがそれに躊躇する。
「大丈夫だ。俺を信じろ!ただし・・・」
俺を信じろという言葉で二人とも納得し、即座に攻撃態勢に入る。
タマモは狐火に最大の妖力を注ぎ込む。
リーエは何やら詠唱を始めると、リーエの頭上に稲妻で出来た龍を作り出す。
「やれ!」
「うん!食らえええええ!」
「はい!食らいなさい!雷龍の一撃」
二人同時に最大の威力をこめた魔法を放つ。
目にも留まらぬ速さで打ち抜かれた二人の魔法は、クラウンが避ける間もなく同時に到達する。
その当たる瞬間に、俺は魔法を発動させる。
シールドとアンチマジックシールドを複合させた多重結界を、ユーリ・タマモ・リーエ・俺、そしてクラウンの周りにも瞬時に張った。
避け切れなかったクラウンに直撃した瞬間、ものすごい爆発を起こし、さらに電流による光を放った。
本来であればこの洞窟ごと壊れ、俺達も生き埋めになっているはずだろう。
しかしそうはならない。
俺達に張った多重結界は、身体・精神に害を及ぼす物を遮る。
という事は内側からでも同じ事なのだ。
クラウンの周りにも張った多重結界のおかげで、結界の外には魔法の威力が漏れていない。
さらに言えば、本来なら外に広がっていき拡散されていくはずの魔力が、結界内に押し込まれているのだから、通常の威力よりもさらに高まっているはずだ。
ただ風で怪我をするわけではないので、爆発の余波による爆風だけは防げなく、俺達は風にあおられる事になった。
飛んでくる石などは俺の多重結界に防がれるので心配はない。
思っていた以上に上手くいった。
ただ魔力をかなり消費してしまっている。
この感覚だとおそらく、後2、3発のでかい魔法を撃てば魔力が尽きてしまいそうだ。
クラウンに張った結界内が、徐々に治まりを見せてくる。
俺達に張った多重結界は、収縮させ体に纏わせるようにし、そのまま体を守るようにした。
そしてクラウンの結界を解除する。
すると結界のドーム状に発生していた砂塵が散り始め、段々中の様子が見えてくる。
一応、反撃がくる事を想定し身構え警戒しながら、奴の姿を確認する。
すると反撃は来なく、奴が方膝をついている姿がうっすらと見えてきた。
「・・・ふっ、ふふふふふ。まさかこれほどの威力があろうとは」
「!!」
完全に砂塵が晴れて、クラウンの姿をはっきりと確認できると俺は驚愕した。
さすがに死ぬ事はないだろうと予想してはいたが、服が多少ぼろぼろになっており頭から少し血が垂れ、体に多少のやけどがあるとはいえ、体そのものは無事だったのだ。
「いやはや、結界にあのような使い方があるとは驚きました。我々の常識では考えられない。さすがは異世界人といったところでしょうか。ただ、そこの妖狐はまだ妖力が完全ではないようですね。もし完全で他の妖術だったら危なかったですね。それとそこのエルフに精霊魔法を使われても危なかったです」
こいつはどこまで所か、ほとんど知ってやがるのか・・
と、クラウンの強さだけでなく、組織の情報収集能力にも嘆くしかなかった。
そう本来なら、タマモもリーエもさらに上の魔法を使える事は知っていたのだが、俺が使わないように指示した。
最大の威力の魔法を使えと。
極大魔法とか最大級の魔法とは言っていない。
そして付け加えたのが、「ただし手の内を決して見せるな」だ。
というのも得体のしれない相手に、手の内を全て晒す事を嫌ったからだ。
二人とも俺の考えを即座に理解し行動してくれたのだ。
そしてその考えは間違っていなかったのだと、ペラペラ喋るこいつの言葉から確信している。
危なかった、と。
死んでいたとか殺されていたとは言わなかった。
ということは、それは例え二人が極大魔法を使ったとしても殺されることはない、何かしらの防ぐ手段があると言っているも同然。
現にクラウンの傷はすでになくなっている。
回復魔法もお手の物といったように涼しい顔をして使って治したのだ。
俺は今までの相手とは強さの次元が違いすぎる事に、少しだけ驚嘆しながらも次の行動へと移す。
「タマモ、リーエ!お前達は下がれ!そして隙を見てユーリを救い出せ!」
俺は二人に小声でありながらも、しっかりとした口調で指示をした。
「あたしも戦うよ!」
「そうです、三人で戦えば・・・」
自分達も一緒にクラウンを倒すと言い張る二人。
「いいから、言う事を聞け!あいつは俺が一人で倒す!」
「・・・わかったよ」
「・・・わかりました」
俺が強い口調で言うと、渋々引き下がった。
「そうはさせませんよ?」
クラウンはそう言うや否や、懐から何か石の様なものを取り出した。
すると石が赤く光りだした。
「「あ、あれは!!」」
タマモとリーエにはそれが何か気づいたようだ。
その石の光が、俺達を包み込み少しして収束し始める。
俺は何が起こるかわからず身構えていたのだが、特に何も変化は見られなかった。
「!!・・・やっかいですね。結界のせいで効きませんでしたか」
タマモとリーエが言うには、どうやらあれが皆を眠らせた石のようだ。
俺達は先ほど張った結界のおかげで効かなかったらしい。
「それは一体なんだ!?」
「・・・これは魔石ですよ。素晴らしい品物で、詠唱も動作も必要なく魔力をこめるだけで発動できます。さらにある程度の力を持った相手にも通用するのです」
わざわざ丁寧に教えてくれるクラウンを訝しげにしていたが、今はそんな事よりもする事がある。
「そうか、わかった。何にしろお前は危険だということだな」
俺が持っているアイテムバッグに似せた普通のバッグに手を入れ、ストレージから出した剣を右手に持ち鞘から抜いて無形の位でクラウンへと体を向ける。
それを見てクラウンも剣を抜いて構える。
その剣はぱっと見てもわかるほどの業物だった。
対し、俺はずっと初心者用の剣を使っている。
もちろん相手をバカにしているわけではなく、剣に魔力を纏わせる事によって切れ味が増し、刃こぼれをおこす事もなくなり愛着があった。
それに弱い武器で強くなるのも面白いな、と考えていたからだ。
しかしクラウンと相対してみると、正直こいつ相手には初心者用の剣だと心もとない。
持っている剣もそうなのだが、こいつの構えには隙がない。
良い剣を持っているだけ、というわけではないようだ。
これだけの相手に、俺の持っている剣が耐えられるかどうか・・・
まあ、やってみない事にはわからない、そう思い即座に行動に移す。
クラウンはまだこちらの出方を伺っている。
俺は地を蹴り、瞬間的に間合いを詰め、下げていた剣の柄に左手も添えてしっかり握り、そのまま右下から左上へと払いあげる。
クラウンはそれに反応し、大きく後ろに下がり避ける。
俺は避けられた事に対し別に驚きもせずに、さらに一歩を踏み出し上げていた剣を振り下ろす。
クラウンは振り下ろされた剣を今度は避けきれずに、それを剣で受け止める。
受け止められた剣を力で押し切ろうと思ったが、それもかなわず俺は自ら後ろに下がる。
下がった瞬間にその力を利用し、足に力をこめてクラウンへと突進し横薙ぎに剣を払う。
その剣はクラウンに当たることなく、体を横にしてかわされる。
そしてクラウンはかわしたと同時に、突進の勢いでクラウンに対し無防備になっている俺の背中へと剣を振り下ろす。
しかしそれを感知している俺は、その剣を後ろも見ずに体を少しねじり剣で振り払う。
そのまま突進の勢いを殺して、振り返りクラウンの方へ向きなおる。
しかし奴の姿が見えなかった。
その瞬間後ろから殺気を感じた。
後ろからクラウンが剣を振り下ろしているのを察知し、振り返るのと同時に剣で受け止める。
するとその剣は見事に真っ二つにされてしまった。
奴の剣はそのままの勢いで頭を目がけて振り下ろされている。
間一髪でなんとかかわし、後ろへ下がる。
ちっ!
やはり奴も武器に魔力を這わせてやがる。
そして思っていた通り剣にまで届きやがった。
すぐに割り切り即座に愛着のあった剣を捨て、バッグに手を入れてストレージから双剣を出す。
「ふぅ、やはりさすがにやりますね。それに今度は双剣ですか?貴方は中々おもしろいですね」
クラウンは自分が負けるとは心底思っていないのだろう。
純粋に戦いを楽しんでいるという感じだ。
もう少し、もう少しだ・・・
俺はその間、別の事を考えていた。
「俺は別に面白くはねえな。時間が勿体無いし第二ラウンド始めるぞ」
正直、俺は今まで生きてきた中で負けた事がなかった。
その俺が勝てないかもしれないと思った相手は初めてだ。
今のやり取りでわかったが、明らかにクラウンの方が実力は上だ。
まあ、地球にいた時に負けた事なくても、こっちでは何の自慢にもならないだろう。
常に生き死にの戦いをしているこっちの人間と比べると、明らかに地球の人間のほうが弱いからだ。
それに魔法を使われる時点で、こっちの人間のほうがいくらでも強くなれるのだから。
俺は双剣を順手に持ち無行の位でクラウンに向き合っている。
なぜ俺はさっきから無行の位をとっているのかというと、その方が色々な事に対応が出来るからだ。
構えを取るのは攻撃に特化させる場合、防御に特化させる場合、はたまた防御と攻撃を切り替えやすくするためである。
無行の位はそのどれにも当てはまらない。
というのも、防御をする為でも攻撃をする為など、何かをする為の型ではないのだ。
置かれた場の状況は常に変化をする。
その変化の流れに身を委ねることが無行の位である。
変幻自在に対応する、それは先の先を取ることも出来るし、後の先を取ることも可能なのだ。
しかしそれは諸刃の剣でもある。
構えを取らないため一歩間違えば遅れをとり、やられる危険性もあるからだ。
対してクラウンは常に正眼で構えている。
奴は俺の動きを見てからでも余裕があるということなのだろう。
ならば・・・
俺は身体能力強化の魔法を使い、縮地にてクラウンの後ろへ回る。
それと同時に右手で胴を横薙ぎに払う。
とったと思った次の瞬間には、奴はその場から消え少し離れた俺の真正面に現れ構えている。
間髪いれず俺は追撃をする為に突進し、今度は左手でなぎ払う。
クラウンは俺の剣に合わせ剣を振る。
俺の左手の剣はそのまま真っ二つにされた。
それに構わず右手の剣も下から上になぎ払う。
さらにそれに対しても剣を振り俺の剣を真っ二つにする。
くそっ!
予想していたとは言え、かなりきついな・・・
俺は即座に下がりバッグ (ストレージ)からダガーを取り出す。
本当ならこのダガーを使わずに終わらせたかったのだが、そうは言ってもいられない。
それと、とりあえずはなんとか俺の目的は果たせそうだ。
そう、俺が考えていたのは、ユーリから距離を離すこと。
奴の動きからすると、近くにいてはユーリを助け出す事が出来なさそうだったからだ。
ある程度の距離を稼ぐ事ができた為、クラウンからは目を離さず魔力感知で探ると、タマモとリーエはユーリの近くまで行ってくれていた様だ。
特に結界や罠などは仕掛けられていないようで助け出せそうだ。
「・・・なるほど、そう簡単にはいかせませんよ」
クラウンはそう言うや否や、俺の目の前から消えた。
くそったれ!
やはり俺の狙いがばれていたか!
だが、やらせるかよ!
奴が消えた瞬間に俺も縮地で回り込む。
奴が剣を振り下ろされる前に、魔力で刀身を伸ばしたダガーで受け止める。
さすがにこのダガーは切られる事はなかった。
剣を振り下ろされそうになった先には、ユーリとそれを庇おうとしているタマモとリーエの姿がある。
「ほう?・・・貴方それはどこで・・・いや、それはまあいいでしょう。それよりも私のビジネスの邪魔はさせませんよ」
「うるせえよ、てめえは黙ってろ!」
俺は左手をクラウンの腹の辺りに向けて、圧縮した空気の球を打ち込む。
クラウンはそれを受けて後方へと吹っ飛ばされ、一回転しながら着地する。
その着地と同時に俺は切り込む。
クラウンもそろそろ遊んではいられないとばかりに、俺に剣を打ち込んでくる。
俺もそれを受けては切り込み、奴も受けては切り込みの応酬を繰り返す。
互角に見える戦いも、徐々に変わりつつある。
俺の顔や腕、体などが浅く切られ、血が滲み始めてきた。
俺の多重結界を越えてくるか・・・
クラウンにも切り傷が所々見えるが、俺ほどはついていない。
もう何十合目の打ち合いになるのだろう。
永遠に撃ち続けているように感じている時間も、実際にはほんの1,2分程度。
俺は捌ききれず目の上を切ってしまい、流れた血が目に入ってしまう。
その一瞬に、腹にものすごい衝撃をくらった。
そのまま後ろに吹っ飛ばされてしまう。
腹を押さえながら一回転して着地し、膝を突きながら奴を睨む。
クラウンは右足を真っ直ぐ前に伸ばした状態で止まったまま俺を見ている。
俺はどうやら蹴りを食らってしまったようだ。
多重結界を越えた上にこの威力とは・・・
「もういい加減諦めたらどうですか?貴方では私に勝てませんよ?そして誰も守れません」
「ごほっ!ごほっ!・・ふ、ふざけたこと・・ぬかしてんじゃねえ!」
クラウンが色々と情報をさらしたのは、俺達をいつでも殺す事が出来る力を持っていたからだと気づいた。
ユーリはすでにタマモとリーエが保護してくれているようだ。
吹っ飛ばされた俺に気づき、こちらを心配そうに見ている。
「ふっ、まだまだ楽しませてくれそうだし、本来なら楽しみたいのもやまやまですが、こちらにも都合がございますからね」
「こ、こちとら最初から・・楽しませる気はねえし・・お前を好き勝手にさせる気はねえよ!」
「強がりいうのも程ほどにしておく事ですね。彼女達も逃がすつもりはありませんし、貴方もここで終りです。貴方のような面白そうなサンプルを殺すのは勿体無い事ですが」
「・・・あいつらに手は出させねえ!」
「ふっ、ではそこまで言うのであれば、最後の悪あがきでも見せてくださいね」
クラウンがそう言った直後、膝をついたままだった俺の腹に、またも衝撃を受けた。
「ぐはっ!」
腹を蹴られ吹っ飛ばされた俺は、一回転して着地したのだが、今度は背中に強い衝撃を受けた。
背中を蹴られた俺は、そのまま前のめりに倒れる。
倒れた俺の背中に、クラウンはさらに追い討ちをかけるようにかなりの力で何度も踏みつける。
「ぐっ!がはっ!ごほっ!・・・」
「「きょうや (さん)!!」」
タマモとリーエが俺の方へ駆け出そうとしたところを目で制す。
一歩踏み出したところで、俺の目の圧に押されそこで止める。
二人とも泣き出しそうな顔をしながら、意を決してユーリを連れ出そうとする。
「そんなに心配しなくても、ユリエス王女以外は皆、すぐに同じところへ行けますよ」
「ふ・・・ふざ・・けるな!」
俺は残っている魔力の大半を使って、クラウンの上に放電球を作り出す。
残りは自分に魔法防御膜を張る。
「食らいやがれ・・放電球」
クラウンに気づかれないように放電球を落とした。
奴が放電球に気づいたときにはもう遅い!
俺ごと放電球が飲み込む。
俺は全力で魔法防御膜に魔力を注ぎ込む。
中では放電の嵐が吹き荒れている。
少しでも気を抜けば俺自身やられそうなほどだ。
しばらくすると、自然に放電球が散っていった。
俺はやったかと、奴を見上げる。
しかしクラウンはそこに立っていた。
服のあちこちが焦げて煙をだし、体のあちこちに火傷を負っていたが、ただそれだけだった。
・・まじかよ!!
俺はさすがに驚愕した。
しかし驚愕したのは奴も同じ事だったようだ。
「いやはや、驚きました。情報は受け取っていましたが、まさかこれほどとは。それにこの魔法を使うだけの魔力が残っていたとは」
「・・くそが!・・・効かなければ・・・意味ねえだろが・・・」
俺の魔力はほぼ尽きてしまった。
俺はクラウンを下から睨みつける。
「さすがにもう余り力は残っていないようですね。これ以上やって貴方が気を失ってもつまらないですし、そこで彼女達の最期を見ていなさい。その絶望の後に朽ち果てなさい」
「・・・そ・・そんなこと・・・させるかよ!」
俺はそういいながらクラウンの脚を掴んだ。
俺にはまだ最期に残された手段があったからだ。
足を掴んだ瞬間、『吸収』をする。
・・・
しかし何も起こらない・・・
なぜだ!!
「貴方も往生際が悪いですね。そんな無様な格好で足を掴むだけなんて、格好悪いにもほどがありますよ?」
俺のこの力がばれているわけではなさそうだ。
・・なのになぜ!
『称号:堕ちかけた者によるスキル制限によって、上位者相手に吸収のスキルは使用できません』
称号やスキルを獲得した時のように、頭の中に言葉が流れた。
くそっ!
ここに来て、あの時のつけが回ってきたのか!
・・・これは、俺がルチを・・・ロキを守れなかった事による罰なのか・・・?
・・・ロキを守れなかった、ルチの記憶を奪った俺を、ルチは許さないという事なのか・・・?
・・・俺はこの現実を、そう受け取らなければならないのか・・・?
・・・俺には誰も守れないのか・・・?
・・・俺にはその資格がないのか・・・?
そこに非情にもクラウンの言葉が耳に響き渡る。
「貴方は黙ってそこで見ていなさい。もう一度いいますが、貴方には誰も守れない」
そう言って背を向けるクラウンの足を掴んでいた手は、力なく外されてしまった。
「ま・・まて・・・」
クラウンはその俺の声に耳を傾けず三人へ向かって歩いていく。
ごめんなさい。
本当は今回で激動の一日を終わらせるつもりでしたが
思っていた以上に書くことが増えてしまい終わりませんでした。
無理に終わらせると15000文字くらいになりそうだったので区切って
次回投稿で今度こそは、激動の一日を完結させます。
前編・中編・後編にしたのに終わらず申し訳ございません。




