58、刑天退治(儒教ファンタジー)
1
白。何もない。
白が力を溜めて、中。中は、気が動き出す前の準備。
そして、発。宇宙が気で濁る。
白中発。
柳葉刀を持つ十八人と、棒使いの男が対峙していた。
「気を操り、理を捕まえ、内気、外気で強くしなる」
棒使いの男は十八人を一人で倒した。
「お強いですな」
「たいしたことはない」
「それだけ強いなら、この国に棲む刑天を倒してください。圧政と悪政で、刑天は罪もない者に罰を与えられています」
「引き受けよう。至誠にして動かざるは勇なきなり」
「刑天を倒すために立ち上がったものには、全員にラーメン一杯」
「美味い。刑天はどこだ。崑崙山か、蓬莱か」
「落都です」
2
八卦門を裏鬼門から入って、六合(前後左右頂底)を底へ。
地下室へ降りる。
再び門を雑卦に入って、武宮に出る。
刑天がいた。
棒使いは、小陰から入って太陽に出る。小陽から入って太陰に出る。
気の流動は、清流から濁流。濁流から清流。
陰陽反転して、砕けて消える。
万物はすべて形而下の「気」という根源粒子によってできていて、万物はすべて形而上の「理」という原理によって動く。
しかし、刑天の鉄球が飛んでくる。
刑天の鉄球が、地脈を打ち、地震が起きる。
さらに天脈を打つ。天上から地底まで振動する。
最後に、刑天は鉄球で棒使いの体を打ち、人体の経脈が震える。
「究理」
棒使いは、天脈を確認する。
刑天も造物主によって作られた造物であるから、気を通わせられないはずはない。
五行の相克、相生。木火土金水。勝てないはずはない。
「反克」
五行が逆転する。まわりが歪んで見える。
棒使いが刑天を打つ。そこで、さらに、
「究理」
刑天の体をとらえる。体内の気を制御することを内気といい、体外の気を制御することを外気という。内気も外気の会得している刑天は、この宇宙と融合している。その刑天を天脈から索敵していく。
刑天の鉄球が再び棒使いの体を打つ。
四神。青龍、朱雀、白虎、玄武。
八徳。孟徳、玄徳、翼徳、豪徳、仁徳、崇徳、万徳、不徳。
太極図解を老解する。老解とは老子道徳経の注釈である。
そして、太極図解を老喩する。老喩とは老子道徳経を比喩で語ることである。
棒使いの知力では、刑天を流動できない。
究理とは、物理法則の探究のことだ。
「酔拳」
棒使いは死力を尽くして戦う。
「陰酒、陽酒で、太極酒」
刑天を翻弄する。
ようやく、棒使いの理性が刑天をとらえる。
「究理」
万極をとらえる。
一撃。
棒使いは、とうとう刑天を倒した。
落都から故郷へ帰ると、村長がいった。
「よくやった。おまえが死ぬまでの幸せを約束しよう」
そして、棒使いは幸せに生きた。
めでたし、めでたし。
完。




