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38、浦島太郎と亀と宇宙

 むかしむかし、あるところに漁師の浦島太郎がいた。帝釈天と阿修羅が天界から浦島太郎を見ていった。

「あの男、亀を助けるだろうか」

 帝釈天がいった。

「ふん。漁師などにそんな義理があるものか。見捨てるだろうな」

 阿修羅がいう。

「よし、ならば、この帝釈天、あの男が亀を助ける方に百億年の寿命を賭けるぞ。一匹の亀を助ける。そういうところから地球外生命体との和平交渉は始まるのだ。あの男が亀を助けるなら、宇宙人との和平交渉役に使ってもいい。宇宙外交に必要なのは、宇宙征服などではなく、ひたすら宇宙和平交渉なのだからな。亀を助けるなら合格。亀を見捨てたら不合格だ」

「面白い」

 そして、浦島太郎は海辺で亀がいじめられている場面に出くわした。亀が七人の男たちにいじめられている。一対七。勝てる戦いではない。

「やめないか。亀をいじめてどうする。亀がかわいそうだろ」

 浦島太郎は亀をかばった。

「おい、おまえ、おれたちの遊びに手を出すなら代わりにやっちまうぞ」

「なんだと。おれは亀の味方だ。やってやろうじゃないか」

 浦島太郎は喧嘩を受けてたった。

 そして、浦島太郎は七人の男にぼこぼこにされた。痛く、血がにじんだ。後遺症がでないか心配だ。

「おい、おまえも亀をいじめろよ。そしたら今日のところは見逃してやる」

 いじめっ子たちはいった。

「わたしはただの十分亀です。寿命が十分しかない亀です。どうせもうすぐ死ぬのですから、どうかわたしをいじめてあなただけでも救われてください」

 亀はいった。

 浦島太郎は迷った。十分しか寿命のない亀だと。それならもうすぐ死ぬではないか。むしろ、いまだに生きているのが不思議だ。なら、この亀をいじめておれも助かろうか。いや、そんなことでいじめっ子たちがおれを見逃すわけはない。抵抗しなければやられつづけるだけだ。

「おうおう、この浦島、十分亀の十分の人生のために命を賭けて戦うからよ」

「ほう。怖くないのか」

 怖い。怖いさ。浦島太郎だって怖い。もちろん。だが、ここで引くつもりはない。

 浦島太郎と七人の男は戦い、浦島太郎はぼこぼこになった。七人の男は帰っていった。

 亀は助かった。

 海から波がざぶんざぶんと押し寄せては帰っていった。

「浦島さん、助けてくれてありがとうございます。実はわたしは十分亀ではなく、億年亀なのです。浦島さんに一億年の寿命をあげましょう。ついて来てください。わたしの背中に乗って。人類の終末まで遊び暮らせるという楽園「竜宮」に連れて行ってあげましょう」

 そして、浦島太郎は、亀の背中にのって竜宮まで行った。竜宮で数百年遊び暮らした。乙姫という娘と仲良くなり、共に長寿を得て遊び暮らした。

 億年亀はいった。

「実はこの竜宮は、宇宙人との和平交渉の連絡基地なんです。浦島さんと乙姫さんは、宇宙人と和平交渉をして生きていってください。わたしは一億年生きている亀です。ちょっとは宇宙人について詳しいんです。作戦は、ひたすら宇宙和平交渉です。戦いはぜんぶ避け、ひたすら和平交渉をしてください」

 浦島太郎は、一億年を生きて宇宙人と和平交渉をした。地球は太陽の膨張で海が蒸発し始めた。地球は滅び、宇宙船「竜宮」は人類を乗せて宇宙を回遊した。浦島太郎はひたすら宇宙人と和平交渉をした。

 浦島太郎は、一億年では死ななかった。百億年生きた。

 大銀河があった。大宇宙があった。異次元宇宙があった。至高神に会った。亀を助けただけでそれだけがあった。


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