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プロローグ


「美紅、あんまり深いとこまで行くなよ?」


「うん!」


虫達の大合唱が聞こえる森の中。

そして透き通るような綺麗な小川。

日差しが乱反射して輝く水面。

俺達は田舎の親戚の家に遊びに来ていた。


「お兄ちゃん、これなんておさかな?」


「うーん…なんだろ」


「たべれるの?」


「わかんない。 よし、捕まえてみるか」


水の中に手を入れると、その小さな魚はサーっと逃げてしまう。


「あ…逃げちゃった」


「くそー……」


妹の前でカッコつけたのはいいが、魚を素手で捕まえるのは到底無理だった。


「おまえが急に近づくからだぞ」


「美紅のせいじゃないよ!お兄ちゃんがヘタクソだから」


「このっ」


ぽかっと美紅の頭を叩いてしまった。


「いたっ…うわあああああん!」


泣き出した。

叩いたら泣いてしまうのがわかっててやった。


子供なんてこんなものだ。

やっていい事と悪い事の区別などあるわけもなく、我が儘で、実直。


美紅がわんわん泣いているのを見て、罪悪感こそあるものの、こいつは一度泣き出すとなかなか泣き止まない。

宥めるのが面倒で、俺は視線を小川に向けて歩き出した。


よく見ると綺麗な石がたくさん落ちている。

俺は夢中になってそれを拾い始めた。

美紅が泣いているのも忘れて、宝探しに没頭していた。





どれくらい時間が経っただろう。

ふと辺りを見回すと、森の中が不気味なくらい静寂に包まれていた。

鳥の鳴き声がかすかに聞こえる。

以前にもこの景色を見たような気がする。

懐かしいような、不思議な感覚に襲われた。


気が付くと美紅はいなくなっていた。


まるで神隠しにでも遭ったように、忽然と姿を消していた。

始めからそこには俺一人だったかのように。


「美紅…?」


俺は小川を川上に向かって歩き出した。


あいつどこにいったんだろう?

それとも始めからここには俺しかいなかったのか?

人が消えるなんてあり得ない。


「もしかして夢かな」


そう、俺は気が付いた。

これは夢だ。

けど、この景色に見覚えはある。

それに美紅と小川で遊んだのも覚えてるけど、今俺は夢の中にいる。

それをはっきりと認識した。





十話くらいで終わる予定です。

どうか温かく見守ってやってください。


あと、感想など頂けるとありがたいです!


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