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1話 仮免ドライバー

「君たちは、半年後には受験を控えています。いいですか?夏休みに怠けて遊ぶことなんて考えないように!」


はあ・・・ これから大学に入って、就職して、結婚して、死んでいくのか・・・

それに俺ってなにも才能もないよなあ、学力も普通、運動神経も普通、顔も普通だし、趣味って言ってもゲーセンの車のゲームくらいだし、遊びの才能もまったくないなあ はあ・・・なんか才能があったら俺の人生も楽しかったのかなあ。


「では、夏休みの補修で皆さん会いましょう。」


みんなガタガタと席を立って


「○○ちゃん、一緒に帰ろーよー」

「そうだ、モックでハンバーガー食べていこーぜ!」

「今からお前ん家行くわー」 

「えーそれならどっか遊びに行こうぜー」


おいおい、受験生なのになんだこの空気は、まあ夏休み明けには皆見違えるくらい勉強ムードになってるんだろうけど。

「よっちゃーん!帰ろーぜー」

「おう、帰るか。」


と僕は友達の継人つぎとと共に駐輪場に向かった。


「いやー!よっちゃん!聞いてくれよ!うちの親が最近、勉強しろ、勉強しろ、ってうるさくてさ!」

「それはお前が成績悪いからだろ、運動神経だけの脳筋野郎め。」

「キター!よっちゃんの毒舌!惚れちまうぜ!」

「黙れホモ。」

「ガシャン!」

「まあそんなことはいいから早く帰るぞ、継人。」

「へいへい、そういやよっちゃん!夏休みの予定をさぁー」

まあこんな感じで友達にも恵まれて、ダラダラしてたけどまあまあ充実した高校生活だった。大人になるとこんなダラダラ駄弁ってただけの高校生活が一番楽しかったって聞くけど、まだ高校生だしそんなことはわからない。でも大人になって友達に会って酒でも飲みながら高校生の時あんなことやったとか、そんな話で盛り上がるのはとても楽しみだ。


自転車に乗りながら2人で話しているうちに家の近くまで来た。


「じゃあ俺こっちだから。」

「おう!じゃーなーよっちゃん!夏休みの予定、後でLINEで送るから!」

「おう!じゃーな、継人。」


「ただいまー。」

「おかえり。松平」

「母さん、自分の息子を名字で呼ぶのはどうかと思うよ。」

「ふふ、冗談よ吉宗。昼ごはん出来てるから食べなさい。」


昼のバラエティー番組を見ながら馬鹿笑いする母さんを見ながら黙々と僕は昼ごはんの冷やし中華を食べはじめた。


「そういえば、吉宗。」

「ん?」

「あんた、前から車の免許取りたいって言ってたじゃない?だから合宿免許予約しといたわよ。どーせ夏休みなのに勉強もしないでダラダラしてるんだから行ってきなさい。」

「え!合宿!免許って3日くらいでとれるもんじゃないの!?」

「それは原付とかでしょ。」

「まあいいや、それでいつからだよ?」

「明日から15日間。」

「はぁ!?15日間!?しかも終わるの補修の前日じゃねーかよ!」

「そうよ?ちょうど良いと思って。」

「めんどくさいから行きたくないんだけど。」

「行くわよね?」←鬼の形相

「イ・・イエス、マァム」

さらば、俺の有意義な夏休み 泣



「電車で2時間とか遠すぎかよ。」

「まあ車のゲーム得意だし、楽勝だろ。」


案の定、教官の人は優しそうな人だ。禿げてるけど。


「松平さんですね?免許が取得できるようしっかりサポートしていこうと思います。」


その人のサポートもあったおかげか俺は無事、普通免許を取得することに成功した。



「はぁ・・・だっるぅ、合宿後に朝から補修て・・・俺はもうここで死ぬかもしれない、ありがとう人生。」

「なにをブツブツ言ってるんだ?松平。」

「先生。」

「そうだ!聞きたかったんだ!藤波が今日補修に来てないんだが、知らないか?」

「藤波辰爾ですか?あのドラゴン・スープレックスの。」

「そうそうそう・・・って違うわ!誰がプロレスラーやねん!」

「冗談ですよ。継人なら沖縄のトライアスロンに出場しに行くって言ってましたよ。」

「あいつは受験を控えているのになにをやっているんだ・・・ うん。情報提供ありがとう。松平」

 

3時までの地獄の補修が終わり、俺は家に向かっていた。


暇だしコンビニ寄ってくか。


いつもと進行方向を変え、家を通り過ぎ、俺はコンビニに向かった。

5分ほど自転車をこぐと、少し店のある通りへと出た。


「お願いします。もらってください。ほかに当てがないんです。お金は要りませんから。」

「うちはもういつ潰れてもおかしくないんだよ。それにそんな20年も前の車、今じゃパーツも少なくて高いし、メンテナンスも大変だから、売り出しても、買う人なんてこの町にはいないよ。」

「悪いけど帰ってくれ。」


山崎モータースと書かれた看板の前で、禿げ散らかした中年男性に、若い20代後半くらいの眼鏡の男性が頼み込んでいて若い男性の後ろには、少し古くさい白い車が停めてあった。


あれはMR2だな。確か前期型初期仕様のバンパー・スポイラーはブラックアウトされてるって聞いたことがあるけど、あのMR2はバンパー・スポイラーがボディと同色だな。ってことは MR2 AW11型の後期型 か。




MR2 AW11型


日本向けモデルでは、MR2の名称をW10型とW20型までで、W30は別名称のMR-Sを用いている。

日本国外向けモデルでは、W10型~W30型まですべてMR2で統一されている。

MR2の名称の由来は、MR(ミッドシップ・ラナバウト=小型ミッドシップカー)2シーターからきている。


安価で量産性を高めるため、足回りとエンジン、トランスミッションは既存の前輪駆動車(E80型カローラ)を流用し生産された。


1986年にはビッグマイナーチェンジを行い、内外装がブラッシュアップされ、スーパーチャージャーやTバールーフの装備車が設定された。


1988年の一部改良で電動格納ドアミラーの設定、内装生地の変更、ハイマウントストップランプの設定が行われ、SW20型に入れ替わるかたちで生産を終了した(通称最終型)。AW型は全グレードにおいてパワーステアリングの設定は一切なかった。


(Wikipedia参照)




「あ・・あの! その車俺が貰ってもいいですか?」










松平 吉宗 (まつだいら よしむね)

今年受験を控えている高校三年生。

どこにでもいる平凡な少年、だが後に秘められたドライビングテクニックを見せ成長していく。



藤波 継人 (ふじなみ つぎと)

主人公と同じ高校三年生の筋肉馬鹿。

主人公の親友で、頭は悪いがいろいろな才能を持っている。

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