迷子
「今日どうだった?あきほとわかなに会ってみて。ここでやれそう?」
「どうかな…でも仲良くなりたいし、頑張ろうとは思ってるよ。」
「まぁ、1回会っただけじゃ分からないよね。これから企画を一緒にやっていく中で徐々に打ち解けられるといいかな。でも、変に遠慮しないで思うところがあったら言っていいからね。1人で違う環境に入っていくのって大変だと思うけど、私たちも寧々ちゃんと、違う劇場のやり方っていうのを知っていきたいからさ。」
「うん、ありがとう。でもみんな優しそうで良かったよ。」
「みんな素直でいい子だからね。今日はお疲れ様。26~27日の親子キャンプ来るんだよね?」
「うん、よろしくお願いします。」
「じゃあまたね。」
「じゃあまた。」
いつもの電車に乗る。学校と家の間に他の劇場がないか探したら、あったから行ってみたんだよ。緊張したけど、今もしてるけど、私はここで仲間を見つけていこうと思う。もうあの事務所へは行かないつもり。あのね、夏海とナツに謝ったんだ。関係ないけど、石井にも謝ったんだよ。付き合ってた時のこと私もきっと悪かったと思うからさ。同窓会で会うまで忘れたいとしか思わなかったけど。あなたに怒られて、いろいろ向き合ってなかった人がいた気がしたから。いてもたってもいられなくなったんだ。二次会来てないから知らないよね…って言ってもそんな大袈裟にじゃないよ。ちゃんと二人になったときに話したの。そしたらね、私のこと好きだったよって。付き合ってたら当たり前だけどさ。好きでいてくれたんだなって。凄く嬉しかった。あ…そもそも、付き合ってたこと知らないか。
要するに、私の中ではもう出来る限りのことはしたつもりなんだよ。お互いを認めろって言われてもさ、分からないよ。
ナツはね、私がいなくてポッカリ穴が開いたみたいって、こんなに寧々の存在って私の中で大きかったんだなって言ってくれた。ナツをずっと悲しませてることが辛いよ。そして、ナツに私は会いたい。どんな顔して行けばいいか分からないけど。
夏海は繋がってるって言ってくれた。劇場がなくても今話したい、会いたいって。これでいいんだって。でもやっぱり傍にいてくれるわけじゃないから辛いよ。信じるのってこんな苦しいことだったっけ。
いつも自分で考えろって放って置かれるけど、教えてくれないか。これだけは何が何でも知りたいんだ。教えてくれないか。