第花話
※アピニス視点
もうどれだけ歩いたんでしょうか。足下がおぼつきません。こんなに一本の木が遠いなんて思ってもみませんでした。ピコは良いなー。羽があって。さっき下りてきた時もぜんぜんお疲れで無いご様子。うらやましい。
「私にも羽があれば良いのに。」
つい、口に出てしまいました。
「私たちも飛んでいるんですが、いやはや、やはり鳥には叶いませんな。」
ピエールさんは私の独り言に返してくれました。まったくですね。と言いたかったが、口から発することは無かった。
フラフラになりながらもなんとか柚の木に到着しました。ピコはみかんの木と言っていましたが、この匂いは柚子の香りでした。その木はかなり大きくて、ところどころに柚子の実がなっていました。柚子のすっぱい匂いが私に辿り着いたことを証明してくれました。もうへとへとです。膝が笑い出してます。木のそばに来るやいなや重力に任せて腰を落としました。その刹那、おしりにかみなりの様な激痛が走りました。
「痛ああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」
私の声とは思えない声を上げて飛び跳ねました。疲れていてぼやっとしていた私の意識がはっきりしました。腰を落ち着けようとした位置を見ると、そこにはなにかが埋まっていて少し地面から飛び出して鋭い突起物になっていました。私はこんなちょっとした角にあんな大きな声を上げさせられたことに腹が立ってその角に怒りをぶつけていました。
「これって箱なんじゃ無いですか?なにかの入れ物かも知れませんよ?」
ピエールさんは私に気にせずそうおっしゃりました。その言葉に興奮していたのですが、冷静になった。そうでした・・・。この入れ物がもしかしたら鍵が入って居るかも知れない。そう言われてみんなが角に集まりその周りを掘り出しました。掘り出すこと一刻、そこには綺麗なバラが等間隔に彩られた直方体の箱が現れた。鍵も掛かっていませんでした。
私たちはその箱をおそるおそる開けた。




