第黒話
気づいたら外は真っ暗になっていた。それからどんだけ泣いたのだろうか。もう涙は出なかった。だけど目はまだじんじんして涙を排出する行為を続けている。その間ずっとピコとアピニスがオロオロしていた。ピコなんか外にある花を摘んできてくれた。ネズミのアピニスさんは終始、浮かない表情をしていた。迷惑をかけているのはいくら私でも分かっている。涙を止めようと思ってはいてもどうしても止まらないのだ。
何故なら私以外人間はもう死んでこの世にはいないからだ。これを考えると、とても寂しくて悲しくてどうしようも無かった。自分はこれからどうやって生きて行けばいいのか分からなくなったのだ。私はベッドの枕に顔を埋めながらずっと泣いていた。泣き疲れていた。そして眠った。
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カシャンッ、という乾いた音で目が覚めた時、一つしか無い白い部屋がドアが開いていた。開いたドアの先には、ところどころタキシードが汚れたアピニスと、足下にこの部屋の鍵を置いたピコが立っていた。
「めそめそしてんじゃねえよ!さぁ、出発するぞ!」
ピコはそう言った。
「ハァハァ・・・とりあえず我々の村に行きましょうか。それから後のことは考えましょう。では姫。私共にエスコートさせてはいただけませんか?」
疲弊した様子のアピニスもそう言った。お辞儀もした。
私は訳も分からず呆然としていたが、この場所から出られる喜びと二人(正確には1羽と1匹だが)が頑張って私を閉じ込めていたドアを開けてくれたことに、心から感謝した。枯れたはずの涙がまたこぼれた。
「ありがとう」
それしか言えなかった。それしか思いつかなかった。ただ、純粋に感謝の言葉を何度も何度も繰り返す事しか出来なかった。




