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Dropbehind  作者: ziure
第三章 魔法大会編
99/128

第九十九話 観察

開いて頂きありがとうございます。


誤字脱字あったら報告お願いします。

 後夜祭は予定通り進んでいった。

 この競技大会のお偉いさんの長い挨拶には真剣に耳を傾け、優勝した学園の学園長である舞さんの挨拶を微笑ましく見つめ、生徒会長である優姉の喜びの言葉には会場から大きな拍手が送られていた。

 さらにギルドの代表としてやってきた土御門さんからの挨拶、そして推薦者の発表。推薦者の発表の時はこのパーティーで初めての静寂が訪れ、これ以上ない盛り上がりもやってきたりもした。

 こうして主催者からの閉会の言葉を最後に学園対抗の魔法競技大会は幕を閉じた。


 


 すべてが終了し、競技者たちに残っているのは共同した仲間との最後の宿泊。楽しかったこととか苦労したこととかを話題に会話を弾ませながら過ごす夜。

 俺は男子一年で集まろうという話や、生徒会の集まり(という名のほぼ女子会)を断って夜の街を放浪していた。放浪しているというよりは目的地を探しながら彷徨っているというところだろうか。

 なんとなくわかっている人も多いと思うが、競技もすべて終了したので、あの時姉さんからもらった地図をもとに、俺が行くべき場所を探しているのだ。


「マジでどこだ?」


 今の俺は絶賛迷子中。帰り道はちゃんと分かるので迷子というのも少し違うかもだが、とりあえず目的地に辿り着かないのだ。

 だが、仕方ないだろう。

 最初は解りやすく地図が書かれていると思った。だが近くになってくると、分かれ道が異常に存在していたのだ。しかし地図には分かれ道の所まで書かれていなかったし、何本目で曲がるといったところまでは書かれていない。「ここ!」という書き残しと共に丸がつけられているだけ。

 適当に曲がってみるも、行き止まりだったり、再び無数の分かれ道だったり。迷いの森に来ている気分だった。

 それにしてもこんなところにこんな複雑な通路を作るものなのだろうか? 

 ほとんど迷路のようなものだし……

 それに結構動いているはずなのに場所が移動した感じがあまりない。


 そこまで考えたところで一つだけ思いついたことがあった。

 美月さんがレースの時に使用した、ないはずのものを視えるようにした幻術魔法だ。

 姉さんが仕掛けた一つの試練として考えれば合点がいく。

 そう自分で結論を出したところで、眼を体氣で強化して辺りを見回してみると、今まで何もなかったはずの通路に目印を見つけることができた。


 目印を元に次々と曲がって進んでいく。

 たまに不意を突くような攻撃が仕掛けられながら進み、ようやく眼を強化してないと視えない『私はここにいます❤』という文字がつけられた扉を見つけた。てか黒く塗りつぶされたハートが妙に怖いです。

 

 そんなことを考えながら、俺は気軽な調子で扉を開ける。

 中は明かりという明かりがなくて、外からの月明かりが中を照らしている程度で、奇妙で不気味な空間だった。

 

「いらっしゃい、哲也」


 そんな空間とは縁が遠いような眩い笑顔で姉さんは俺を迎えてくれる。


「あっちにいろいろと用意してあるから行きましょ?」


 言いたいことはいろいろあったが、姉さんはそれだけ言うとすぐに俺に背を向けて歩き出したので、俺はそれについていくだけだった。

 漆黒で暗い空間の中に今にも闇に呑まれてしまいそうなその背中を見失わないように。

 





――――side ????―――― 



 この七日間の観察は楽しかったなー。

 若い子たちの伸び盛りの力を見るのってホントに面白いよね。

 特に彼の伸び方は尋常じゃなかったし、そんな彼を見ての周りの人たちの反応も面白かった。

 まぁ彼はもともとすごかったから見ている人の反応は最初からおもしろかったけどね。


 でも今回の観察は合宿の時と違って私が観察している意味があったのかって思うんだよね。

 というのも観察を依頼した本人が結局直接見に来てたっていう……

 ただ今回は魔法を使っての観察じゃなくて私自身も同伴できたから、まだ良いんだけどね。

 ちなみになんで私があの人が来ていたことを知っているかというと、さっき手紙が届いてそれに書いてあったからだ。

 内容は主に二つで、一つ目は面白い子を見つけたということ。

 あの人に目をつけられるなんて、可哀そうにとだけ言っておこうかな。あの人からは逃げられないからね。そして一度捕まれば離れることもできない。良い意味でも悪い意味でも。ある種の依存の関係に近いと思う。実際自分もそうだしね。

 あの人からは逃げられない。重要だから二度言っておきます。

 二つ目は彼のこと。手紙の内容はほとんどこれで支配されていたりする。

 気持ち悪いくらいの愛情度だと思う。決して本人には言えたものじゃないけどね。

 前略中略後略をして簡潔にまとめ上げれば、力を少しだけ解放してあげた、後日彼自身が何かを開放するだろうから何かあったらサポートよろしく、という二つのことが記されていた。

 力を解放させたのは対人の試合をした時だろう。誰が見ても今までと動きが違ったし、それに纏う氣の量が明らかに増えていた。

 ていうかこれ以上伸びちゃったら、あの人並みに異常になっちゃうんじゃないかな。強いのは憧れるけど、強すぎるのはね……


 とりあえず読み終えたことだし、私の見たことを書いておこうかな。

 と思って書くものを取りだしたところで肘にでも当たったのか、何かがぴらっと地面に落ちていくのを目の端で捉えた。

 どうやら手紙と一緒に同封されていたもののようである。

 ただ見るだけならただの白紙、だが視れば文字が書いてある手紙。

 その内容は送られてきた手紙よりも簡潔で短いが、何よりも濃かった。

 

『人も物も集まったし、そろそろ始めるかも』



これで第三章は終わりです。

出来れば百話ちょうどで終わらせたかったなーとか思っていたりしますw

それはともかくとして、

読者の皆さま、お付き合い頂きありがとうございました。


次は第四章をよろしくお願いします。

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