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Dropbehind  作者: ziure
第三章 魔法大会編
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第七十一話 遊び?

開いてくださりありがとうございます。


誤字脱字あったら報告お願いします。

 大会二日目。

 昨日と変わらない熱気が会場を包む中、今日も競技の始まりを迎えようとしていた。


「あちぃよー、マジであちぃよ」

「うるさい。わかったから一回黙らんかい」


 その暑さのためにだれているトシを鬱陶しく感じるのはしょうがないと思う。


「ならよ、氷をくれよー」

「そんなんあったら自分に使ってるから」


 適当にあしらう俺が気にくわないのか、睨むように俺を見てくる。

 俺だって暑いということを忘れないでもらいたいものだ。


『これより、ブレイクボール、決勝トーナメントを始めます』


 そんな中にアナウンスがかかった。どうやら、ようやく始まるようだ。

 わーっと盛り上がる会場。

 この暑さの中でも変わらない声援を送る人たちには感心する。

 

『一回戦第一試合は第六学園、火神優奈。第四学園、有沢牡丹の試合です」


 そのアナウンスがかかると、選手二人が入場してくる。

 そういえばトーナメントは対戦型だったな。いったいどんな戦いになるのか楽しみだ。

 決勝トーナメントに入ったからか、昨日にも増して大きな声援がかかる。

 選手の二人は別々の入り口からやって来て、その声援を受けながら、競技の場に向かって歩いていく。

 優姉は予選と変わらず、余裕の表情で声援に対して、律儀に手を振ってみせる。

 対する相手は、表情が乏しいのか、無表情に近い感じだった。でも緊張しているという感じはなかった。

 二人の様子を観察しいているうちに、二人は向かい合い、握手を交わしていた。うん、フェアプレー精神ってかんじだな。

 お互いに準備ができているのを確認したのか、アナウンスが流れる。


『決勝トーナメント、第一回戦、第一試合、開始!』


 開始の合図が流れて数秒後、発射台のランプが点滅し、球が発射する。

 玉の色は青だ。

 短い詠唱の後、お互いに魔法を放った。

 片や火の玉、片や水の球が、青い球に向かう。

 どちらが先に当たるのかと、見ていたが、お互いの魔法が接触して爆発が起こる。青い球はそのまま放物線を描き、欄外へと落ちていった。

 どうやら相手は魔法の詠唱のスピードが早いようだ。

 お互いの魔法の接触するという光景が三連続ほど続く。


「優奈ったら……遊んでるみたいね」


 そんな風なため息混じりの声が不意に耳に届いた。振り向けば、すぐ近くに夏目さんの姿があった。

 いきなり振り向いた俺が気になったのか夏目さんはこちらに視線を移し、どうしたの? と尋ねるように首をかしげる。


「遊んでるってどういうことですか?」

「言葉の通りですよ。余裕があるから、遊んでるんです」


 その会話の間にも、魔法の接触が起きている。


「よく見れば遊んでいるのがわかりますよ」


 俺は言われた通りに、優姉をよく観察することにする。

 発射台のライトが点滅し、球が発射される。球は赤だ。

 両者とも魔法を放つ。

 だがさっきまでとは、少し違った。

 火の玉と水の球が放たれているのは同じだ。

 違うのは数。

 得点となる球は一つなのに、火の玉は二つ放たれ、それぞれが別々の軌道を描く。

 一つの火の玉と水の球は、赤の球目指して伸びていき、お互いに接触し、爆発を起こす。その後、取り逃がした赤い球を、もう一つの火の玉が捉えた。

 なるほど、遊んでいるとはそういうことか。

 優姉はさっきまで一度も球を狙うことはしていなかった。球を狙う相手の魔法を狙っていたのだ。

 魔法を放つタイミングをコンマ数秒ほど遅らして、その間に相手の魔法の軌道を見切り、相手の魔法に向かって自分の魔法を放ち破壊する。

 こういう風に説明するのは楽だが、実行となるとかなり難しい。言うは易し行うは難しというやつだ。

 しかもそれを連続して行っていた優姉は、さすがは六家といったところ。

 確かに遊んでいるのかもしれないが、かなり高度な遊びだと俺は思う。

 一見して、互角の勝負をしているかのように見えたが、それは大きな勘違いだったようだ。

 相手はきっと精神的に来るものがあることだろう。特に今のように魔法は破壊され、得点のための球までやられてしまっては。

 連続して球が放たれる時でも、的確に魔法共々撃ち抜いていく優姉。

 相手が魔法の威力を強めたり、タイミングを早めたりしても、優姉はそれを確実に破壊する。たとえ、相手の魔法が球に当たらない軌道を描いてたとしても。


『勝者、火神優奈』


 完膚無きまで実力差を見せつけられた相手は、試合終了と同時に崩れ落ちてしまった。

 

「え、えげつねぇ……」


 勝者宣告と共に盛り上がる会場の中で誰かがそう呟くのが聞こえた気がした。

 うん、俺もそう思ったよ。

感想評価いただけたら嬉しいです。

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