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Dropbehind  作者: ziure
第一章 入学編
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第七話 再会

開いてくださりありがとうございます。


誤字脱字あったら報告お願いします。

 朝。

 今日も鍛練のために早くに目を覚ます。

 いくら毎日やっているとはいえ誰しも眠い時くらいはある。今日はそんな日だったので、とりあえずいつものように洗面所で顔を洗う。冷たい水は俺の意識をほどよく覚醒させた。用意していたタオルで顔を拭き、着替えて部屋から出てリンディル広場へと向かった。




 俺は今リンディル広場に向かっている。しかし、なにやら後ろから気配を感じたので足を止めた。

 俺はこの気配に驚きと疑問を持った。驚きはこんな早朝なのにすでに起きている生徒がいたこと。疑問はまるで自分に気付けとでも言うように気配を発しているのにあっちから出向いてこないことだ。俺はとりあえず気配を感じる後ろに振り返ってみた。

 俺が振り向いたことで木の陰から人が出てくる。そこには力強い瞳をしたショットカットの赤髪の美少女――入学式の時に挨拶をしていた学年主席だった。しかも振り向いた俺の顔を見て少しうれしそうな顔をしている。本日二度目のしかも連続の驚き。

 あちらからは声をかけて来なさそうだったので、俺から話しかけてみた。


「えーと、おはようございます。学年主席さんは朝は早いんですね」

「………」


 そう言ったら主席さんは嬉しそうな顔から一転、沈黙して(もともとだが)少し複雑そうな顔をした。


「えっと……」

「………」

「あの……」

「………」

「俺ちょっと用事があるんで。さよなら!」


 俺は主席さんの沈黙で見てくる視線に耐えることが出来なくなったので、そう言って回れ右をしてこの場を走り去ろうとした。


「ちょっと!」


 そこで主席さんがようやく口を開いて俺を呼びとめる。呼びかけられて無視するわけにもいかないので、もう一度回れ右をして振り向いた。


「分からないの?」

「主席さんでしょ?」


俺はそんなの当たり前じゃんとばかりに答えた。が、その答えに主席さんは不服だったようで、


「違うわよ!! ホントに分からないの!?」


 そう言われましても……主席さんと言うことは違ったみたいだし……もしかして自分が美少女と言うことか? そのルックスを褒めてほしいと。違うと思うけどおもしろそ――ではなくて少しの可能性にかけてみて聞いてみた。


「あんたが可愛いということか? それなら見れば分かるぞ」


 そう言われた主席さんはだんだんと顔が赤くなっていく。そして顔を真っ赤にした状態で、


「そう言うことを聞いてるんじゃない!! ふざけるのもいい加減にしてよ、哲也!」


 と言ってきた。俺は不思議に思った。


「あれ? なんで俺の名前を知っているんだ? 名乗った覚えもないし、あんたみたいな美少女と知り合いな覚えもないぞ?」


 そう、なんで主席さんは俺の名前を知っているんだろうか。


「私はあなたのことをよく知っているのよ」


 俺はその答えにひとつの考えが脳裏に浮かぶ。


「もしかして……」


 そう言った時主席さんは期待をする視線で俺を見てきた。俺はその期待に、


「ストーカーなのか!?」


 答えられそうもない答えを返した。でもゼロじゃないぞ。昨日もこの時間で鍛錬してたら視線を感じたわけだし……まぁ当っている確率は、ほぼゼロだろうけどね。


「そんなわけないでしょ!!」


 やはり違っていたらしい。いやー、反応がおもしろくてついついやっちゃうんだよね。この感覚はなんか懐かしい気がする。

 そんな俺の感情とは別に、主席さんは一回ため息をついてからボソボソと何かを言いだした。


「ホントは哲也から気付いてほしかったんだけどな……まぁ髪型も変えたし、しかも哲也だし仕方ないのか……」

「……ボソボソと何言ってるんだ?なんか怖いですよ?」


 いや冗談抜きでこれがなかなか怖い。何言っているか分からないから余計に。主席さんは俺の言葉を軽く無視してさっきよりも大きいため息をついてから言ってきた。


「私はあなたの双子の妹の……哲也の妹の火神美佳かがみみかよ」


 ん? 今なんとおっしゃった? 俺に妹なんていたっけ? 名前は火神美佳って言ってたけど……火神美佳……かがみみか……かがみ……火神!?

 今言われたことが衝撃的すぎて驚きを隠せない。てか実際に驚きすぎて混乱してる。

 それが収まると不思議と、美佳のこと――昔のことを思い出してきた。通りであんなにいじりたくなるわけだ。

 それに言われてみるとその顔には昔の美佳の面影がある。


「本当にあの美佳なのか?」


 一応確認のために聞いてみた。


「そうよ。まさか最後まで気付かないとはね……私は一目見て気付いたっていうのに……さすがは哲也だね」


 主席さん――美佳は俺の言葉に頷いてから、俺のことを馬鹿にするように褒めてきた。てか褒めてないね。


「でも一目でよく俺って分かったな」

「そりゃ分るよ。哲也全然変わってないんだもん」

「そうなのか……」


 俺は軽く苦笑いを浮かべる。美佳は俺に向かって微笑んできた。


「それにしても美佳ってどんな髪型でも可愛いんだな」

「えっ?」


 俺がそう言うと美佳の顔はさっきと同じように赤くなっていく。


「だって昔はロングヘアーだったのに今はショートカットじゃん。ロングも可愛いと思ってたけど、ショートもなんというかこうやって見ると似合ってるな」


 俺は思ったことを口にしているが、こんな言葉が違和感なくヒョイヒョイ出てくる自分はいろいろとまずいと思ったが気にしない。なにせ相手が美佳だからだ。


「あ、ありがとう……」


 言われた美佳はというと顔を真っ赤にしてうつ向いてしまう。この反応は予想外だったので少々困ってしまった。


 沈黙した空気が少し続いたが、美佳がようやく落ち着いたようで俺に質問してきた。


「なんで出ていったの?」


 恐らくこの質問は、美佳が一番聞きたかったことだろう。


「……自分の意志だ」

「そんなの嘘に決まってる!!」


 美佳には悪いが俺は嘘をつくことにしたのだが、瞬間的に否定されてしまった。


「お姉ちゃんに聞いても分からないようだったし、事情を一番知ってそうな父さんに哲也の行方を聞いても『勝手に出ていった』とか『あいつの意志だ』とか言ってくるし……でも私はそんなの信じられない! あの時の哲也がそんなことするはずがないもの! さぁ、本当のことを話して!!」


 ここは正直に答えるべきなのだろうか……もう一度考える、悩む、考えて悩む。


「……とうさn、いや……美佳の父さんに出ていくように言われたが、最終的には自分の意志で出ていった……」


 そして俺は事実を、起きた出来事の必要な部分だけ言うことにした。


「それって……本当なの?」


 俺の言ったことが信じられないのか美佳は困惑しているようだった。


「事実だ」


 そんな美佳に構わず俺はきっぱりと答えた。


「そう、なんだ……」


 まだ事実を受けきれないようだった。まぁこの短時間では無理だろう……

 なんだか空気がだんだん悪くなってきたし、聞きたいことがあったのでとりあえず話を変えることにした。


「そういえばさ、なんで俺がこの時間に起きてること知ってたん?」

「……えっとね、友達に聞いたの。早朝に赤髪の転校生と思われる男の子がリンディル広場で面白いことしてるってね。それに哲也の顔は入学式に日に見たし、恐らくそれは哲也かなと思ったの」

「……なるほど」


 そんな情報だけでそれが俺って当てるなんて女の勘ってすげえと思った。てかあの時に感じた視線は気のせいじゃなかったんだな……一体誰なんだろうか?


「じゃあ、俺寮戻るわ」


 話しているうちに結構時間が経ってしまったいたので、今日は鍛錬をしないことにした。


「また後でね」

「おう。そういえば言い忘れたけど、俺が『火神家』の生まれって事、誰にも言うなよ」

「姉さんには?」


 俺がそう忠告すると美佳はちょっと悲しそうな瞳を向けて聞いてきた。


「もしあっちが俺に気付いたら説明するさ。基本的に言う気はない。だから誰にも言うなよ?」

「でも!? ……わかったわよ……」


 俺が目で訴えかけると美佳はあまり納得はできていないようだったが、渋々と頷いた。


「それじゃ」

「うん」


 俺は自分の言いたいことは伝えれたので部屋へと戻っていった。




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