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Dropbehind  作者: ziure
第三章 魔法大会編
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第六十一話 編成

開いてくださりありがとうございます。


誤字脱字あったら報告お願いします。

「それで、どうしますか?」


 私は目の前に座っている学園長に尋ねる。


「そうだね……確かにそっちの方がポイントを高くとれるんだろうけど……そうしたら不満を募らせる生徒は多いでしょうね……」

「『なんで一年が』ってことですよね?」

「ええ。プライドが許さないと思う」


 無駄にプライドだけ大きい人たちが多いのも、困ったものだ。そのプライドにみあうだけの実力をつければなんてことはないだろうに。

 そんなことを考えながら、彼の身に起きていたことを思い出し、口にする。


「そういえば入学して間もない頃にも、生徒会に入ったということで、何度か潰しに来た人たちがいたって、愚痴をこぼしたりしてました。その後に、心配をかけないようにか『面倒くさいだけで、なんともないですけどね』といってましたけど。まぁ、生徒会に一年を入れるのは、当然のことだから、まだこれくらいで済んでいるだけかもしれないですけど、これは六家以外では今までにないですからね……」

「それだけ一年生と二、三年生の差は大きいものなんですよ。そのために新人戦という一年生同士の場が儲けられている訳ですし。単純に彼が異常なだけです。普通はあんな風になるもんじゃないもの」

「それで結局はどうしますか?」


 学園長の言葉に含みがあるように感じたが、結論を急ぐように尋ねる。


「我が校としては、彼を本戦に出した方がいいんでしょうけど、彼のためにそれはやめておいた方が良いでしょう」


 いつもの学園長ならそんなことは気にしないでやると思ったが、意外にも生徒のことを気にしている。そんな私の考えとは別に、学園長は言葉を続ける。 


「それに他の学園の一年には、結構な手練れも多いようです。彼にはそっちの方で頑張ってもらいましょう」


 確かに今年は美佳以外にも、六家の者が入学していた。学園長は哲也にはあいつと戦ってもらうつもりなのだろう。

 まぁ、それは別に問題はない。だけど気になるのは、学園長の信頼の厚さだ。 


「分かりました。それじゃあ、今年の魔法大会のメンバー編成はこのままということで良いですか?」


 気にはなるが今すぐにというわけではないので、私が口にしたのは今回の件の確認。

 私の言葉に、学園長は然りと頷いた。



――――side out――――



 俺は いつものように朝早く起きて、美月さんとの鍛練をこなしている。これもいつも通り、美月さんの姿は闇の隠蔽魔法によって見えない。

 一ヶ月近くやりあっているのに、未だその姿をとらえることができないのは、俺だけではなく美月さんも、鍛練によって成長しているからだろう。

 

「はぁっ!」


 後ろから気合いのこもった声が聞こえてきた。俺はその声に反応して後ろを振り替える。そこには美月さんの姿はない。

 だけど、それは予測済み。後ろを向いたのは一瞬。引っ掛かった振りをして美月さんが次に転じることを誘うための罠。俺はすぐに正面を向いて地面を蹴る。


「くっ!」


 美月さんは間に合わないと悟ったのか、放とうとしていた魔法の詠唱をやめて、すぐに行使できる別の魔法を苦し紛れに放ってくる。

 現れたのは三つの闇の球。

 動きは直線的で、追尾機能みたいなものもなかったので、苦もなくかわして、勢いを減少させないまま間合いに入り、目の前に拳を突き出し、寸でのところで止める。


「……参ったわ」


 美月さんの降参の言葉を聞き、俺は拳を下ろした。


「……もう少し余裕があれば、哲也くんを倒せる魔法を放てたのになぁ。よく正面ってすぐに気づいたね」

「実際のところ勘ですけどね。我ながら上手くいったものだと思いましたよ」


 俺は自重するようにそう口にする。まぁ、本当に勘だったんだけど。

 ちなみに後ろから声がしたのは、美月さんの闇魔法の幻術魔法のひとつで、相手の聴覚を紛らわす魔法である。少し技術がいるらしいけど、所詮は少しであり、使用する魔力はとても微量。美月さんが隠蔽魔法中に併用して使える唯一の魔法らしい。さらに言うと、これは鍛練を重ねるうちにできるようになったことである。

 

「どの口がそれを言うんだか」


 美月さんからのすねるような言葉に、苦笑いを浮かべるしかなかった。というのも、ここ最近はこの鍛練での勝負で、俺が連勝中なのだ。美月さんがすねるのも無理はないだろう。


「これでも二年の中では実力ある方だと思ってるんだけどな……ちょっと自信なくしちゃうかも」

「そんなことないです。美月さんは普通に強いと思いますよ」

「それに勝つ自分はもっと強いって言いたいのかな?」

「そういうつもりじゃないですよ……」

「あはは。わかってるよ。哲也くんはそういう人じゃないってね。ちょっとからかいたくなっただけよ」

「なら良いですけど……」


 そう言われて少しほっとした。本当にそう思われたらどうしようかと思った。


「でも、哲也くんくらい力があれば、一年生でも本戦に出れるんじゃないかな」

「どういうことですか?」

「ああ、そっか。哲也くんは詳しく知らないんだよね」


 俺が疑問を漏らすと、美月さんはそういえばといった感じで、説明を始めてくれる。


「この魔法大会は、一年生と二、三年生っていう風に区切りを入れて戦うのよ」

「どうしてですか?」

「魔法を使える人たちが一番成長する時期って、私たち学生の世代でしょ? だから、学年ごとで結構な力の差があるのよ。要は一年生が三年と勝負をするってなると、てんで話しにならないっていうのが普通なの」


 意外な事実が組み込まれる話だが、最後まで黙って聞くことにする。


「だけど、それじゃあ一年生の参加の場が異常に減っちゃうからね。この大会は生徒の成長を促すことが目的の一つになってる。けど、一年生がほとんど出れないのってもったいないって、どこかのお偉いさんが言い出してね。それによってできたのが一年生同士が戦う枠。本戦とは別に行われる新人戦ってわけ」

「ということは、さっき美月さんが言ったのは、俺は新人戦じゃなくて本戦で出るかもっていうことですか?」

「そういうこと。ま、所詮は可能性だけどね。メンバーをどうするか決めるのは会長と学園長だし。私からどうこう言える問題じゃないもの」


 どうせやるなら、強い人とやりたいと思うけど、こういう時はある意味新人戦に出る方が良いのかもしれない。新人戦の方なら葵と戦えるかもしれないし、葵の他にも同年代でそういった戦いが出来るのであれば文句は全くない。先輩からの話によると、選ばれた人同士でやるそうだから、きっと悪いことにはならないだろう。

 自分自身で結論が出たところで、話はそこまでにして、俺と美月さんは各自での鍛錬に移った。




なんか最近、ではなくだいぶ前からなんですけど、良いサブタイが思いつかない……



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