第五十一話 企み
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レクリエーションが終わり、昼食。
当たり前と言えば当たり前だが、朝食を食べたところと同じ食堂で飯を食べる。
バイキング方式というのも朝食と変わらないが、置かれているメニューはかなり変わっていた。いろんな味を楽しめるのは個人的にとても嬉しいことなので、美味しく食べさせてもらってる。同じメニューでも美味しいものは美味しいので、文句などないが。
飯を食べ終えて、会話を楽しんでいると、ドヤドヤと人波がやって来た。おそらく、ではなく確実に先程のレクリエーションでやられた補習組だろう。
入ってくる人達からは明らかな疲れが見てとれる。地獄というのも名ばかりではなかったということが予測される。
あれだけの疲れ……一体どんなことをしていたのだろうという好奇心が出てくる。思い立ったが否や、誰かに聞いて見ることにしよう。
「おーい、陵」
丁度いいことに通りかかる人のなかに陵を見つけたので、呼び掛ける。
「おお、てつy――わるい、後でな」
陵は疲れきった目をこちらに向け返事をする最中――なにかを見つけた瞬間、ビビったように反応し、断りをいれてから人混みのなかに戻っていった。
俺たちは一斉にその対象である、なにかに目を向けた。
その多数の視線を向けられた本人は、空中に視線を迷わせてからもとの位置に視線を戻すが、いまだに見つめてくる視線とバッチリと合い、「うぅ……」と視線をしたに向ける。
「……なによ、なんなのよ。言いたいことがあるならはっきり言いなさいよ」
「いやー、それはですね、一体どんなことをしたのかなーと思いまして」
美佳が開き直ったように自棄になって言ってきたので、俺はみんなが思っているだろうことを代表して聞いてみる。
「あの場でも言ったけどストレスのままに暴れまわっただけよ」
「あの場ではストレスなんて単語、一回も出さなかったと思うんだが……」
「今はそんな細かいこと気にしなくていいんじゃない。それで暴れまわることになったストレスの原因は?」
俺が呆れたように言うと、朱里が原因となった根本を尋ねる。
「貴族連中よ。全く、今思い出してもほんとにムシャクシャするわ。お金を渡すからどうとかこうとかで宝の中身を奪おうとしてたのよ? それだけでムカつくじゃない? 当然言われた人たちは断ってたんだけど、そしたら暴力で奪い取ろうとして……!」
「なら貴族連中だけきれいにぶっ倒せばよかったんじゃないのか?」
「そのはずだったんだけど、なんか巻き込んだ形になっちゃったのよ。怒りのあまり周りに目が行きとどかなくて……貴族じゃない方の人たちは、一応ストック三回分全部を削ることはしなかったんだけど、結構な規模の魔法を食らってるわけだから……ね」
「確かに、それはビビるわな」
「それに一回だけならまだよかったんだけど、何件もそんな現場を目撃しちゃって……」
「気付いたらめちゃめちゃに倒していたと」
納得とした言わんばかりに新谷は頷いた。
確かにそれならあまり乗り気ではなかった美佳が、暴れまわった理由になる気がする。
「でもそれが本当なら、美佳ちゃんのことをヒーローのように見ている人もいるんじゃないかな? 実際助けられた形になってるわけだし」
「あり得なくはないかもねー」
葵が言った言葉に美波は笑顔で同意の声をあげる。
「逆に貴族の反感はかなり買ってるかもだけどな」
「そりゃあしょうがないことだな。とはいっても美佳相手に喧嘩売るバカは、そうそういないだろうけどな。そんなことしたら死の道に一歩近づくだけだし。てか下手したら死ぬかもな」
新谷からの貴族の思考を予測する言葉に、俺は心配する必要はそこまでないだろうと思ってそう言った。
トシは美佳に挑んで無惨にやられる貴族を想像したのか、軽い苦笑いを浮かべている。
「私はそんなことしないわよ!」
当然のごとく俺の言ったことに美佳が黙っているはずもなく、テーブルを叩き否定の言葉を叫ぶ。
「まぁ、状況にもよると思うけど……」
付け足すように言われたその言葉は、もしやり返しに来る貴族がいたら、ぶっとばすだろうという予感を抱かせるものだった。
俺はこの言葉を聞いたとき、ついついやり過ぎて、大きな事件にならないようにすることを祈っていた。
――――――――――
昼食後、合同授業が行われた。
合同授業と俺らがいつも受けている授業と、どこが違ったかと言われたら、まず最初に上がるのは、文字通りなのであまりいう必要もないと思われるが、第五と第六学園が合同で授業を行うこと。次に部屋の大きさが教室より広く、普段よりは多い人数で行われたこと。それにともなって教師が二人で教えてくれたこと。ちなみに、第五と第六はこの時期に合同授業をやる関係で、教えてる内容は一致してるといってもいいくらい、ほとんど同じところとなっていた。
分けかたとしてはグループごとにくじを引いてかかれた数字の部屋に入るという方式をとっていた。
普段の授業とまた違った形だったし、先生もいつもと比べて盛り上げる授業方針をとっていたのでとても楽しくやることが出来た。
とまあ、こんな感じで午後は過ぎていき、ただいま夕食を終え、部屋に戻ろうとしているところである。
一緒にいるのは、トシ、陵、優太、朝翔、廉である。要は宿泊のメンバーだ。
「――でさ、あの先生がいきなり叫びだしたんよ」
「あれはビックリしたよね~」
「俺もビビった。すると今度はさ――」
話の中心となっている陵の午後の授業を話題とした話に、優太が相づちを打つ。
それ以外のメンバーもまたその話に乗り、会話を弾ませながら、自分達の部屋へと戻っていく。そして自分達の部屋につく手前のところで、廉が何かお思いだしたかのように、あっと声をあげる。
「どうしたんだ?」
「ちょいと用事があるのを忘れててね。朝翔、ついてきてくんね?」
「……構わないよ」
「ってことで先戻っててくれ」
それだけ言い残して、二人は俺らと逆の方向に歩き出した。
部屋についてから、俺は二人の行動の意図が気になった。
明らかに何か隠している感じがあった。そういえば昨日も二人で何かをしていた気がするし……
朝翔に至っては何か意味深の言葉を残してきたし。確かロマンがどうとかこうとか。どうせなら何をしに行ったのか、探してみるか。
そう思い至った俺は、部屋を出ることにする。
「どうしたんだ、哲也?」
「トイレ」
「あ、なら俺も行く」
座っていた状態から立ち上がったことで、部屋を出るということを感じ取ったのか、トシが俺の行くところを尋ねてきた。
丁度行きたくなってきていたので、トイレと答えると、トシは、俺も行くと言ってきた。断るのもおかしいので、どうせなら一緒でいいかと思い、トシと外に出た。
「前回は場所が悪かっただけだ」
「でもよ……」
「どうした? お前はここで捨ててしまうのか? 夢を、ロマンを」
「そういう訳じゃないんだけどよ……」
トイレの中に入ると一ヶ所だけ鍵が閉められている大便をするところから、二人の話し声が聞こえてきた。言わずともわかる通り、廉と朝翔だろう。
他に人がいる気配もなかったので、俺はそこに向かって話しかける。
「朝翔、用事があったんじゃないのか?」
「「っ!」」
すると二人からビックリしたような気配を感じ取れた。
てか、俺らが入ってきたことに気がつかなかなったのかな……
「……おい、どうすんだ?」
「……どうせなら、巻き込んじまうか?」
ボソボソと話す声が二人から聞こえてきた、と思ったらすぐにでてきた。
「お前らも物好きだな」
「……ほんとだな」
「一体お前らは何をしようとしてるんだ?」
俺は単刀直入に二人に尋ねる。
「男の夢であり、ロマンである。そして修学旅行というときにしか出来ないことをしようとしている」
それに答えたのは朝翔だった。いつもよりハキハキとしゃべっているように見えるのは俺の気のせいではないだろう。
「つまり何をしようとしているんだ?」
「それは、つまり――」
今度はトシがその答えを求めるために質問をする。
朝翔はどこにも悪びれた様子もなく答える。
「――覗きだ!」
俺はその答えを聞いて数秒間動けずに固まってしまった。