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Dropbehind  作者: ziure
第二章 合宿編
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第四十六話 朝食

開いてくださりありがとうございます。


誤字脱字あったら報告お願いします。

「あれ、哲也?」


 宿に戻り、入ってすぐの所に設置されているトイレで用をたした後、自分の部屋に戻ろうとそっちに足を向けると、後ろから声をかけられた。

 声音で誰かは予想がついたので、声をかけられた方に振り返り勘違いではないかを確かめる。


「どうしたの? こんな朝早くから」

 

 その人物は俺の予想通りの人物だった。そいつは俺が振り向くと、質問を投げ掛けてくる。


「美佳こそずいぶん早起きじゃないか」

「私は朝型だからね」


 俺はその人物――美佳から投げ掛けられた質問にはには応えず、逆に質問を投げ返すと、美佳は俺がちゃんと答えなかったことを気にした様子はなくそれに答える。


「朝型だからって普通こんなに早くは起きないだろ。朝食までまだ五十分はあるぞ?」

「んー、なんか外の空気が吸いたくてね」


 美佳は少し考えてから、そう言ってきた。美佳が纏ってる雰囲気から、なんとなくだが考え事でもあったんじゃないかなと思った。

 だから俺は特にそれ以降は追求することなどはせずに話題を変えることにした。


「そういえば、美佳はどう思ってる?」

「えっ?」

「今日やるって言われた『あれ』」

「あー『あれ』ね……」


俺が言ったことを美佳はすぐに理解してくれたようだ。


「それで、どう思ってるって?」

「そのまんまの意味だけど……」

「うーん、どうって言われてもね……私は別にいいやって開き直ってる感じ。哲也は?」

「ぶっちゃけ面倒くさい。まぁやれって言われた以上ちゃんとやるけどな」

「ホントにちゃんとやるのかしら」


俺の本音を聞いて美佳はそう言って苦笑いを浮かべた。


「それじゃ、部屋に戻るわ」

「うん、また後でね」




 俺は部屋に戻ると、適当に時間を潰してから、朝食まで後二十分を切ったところくらいの時間でみんなを起こし始めた。


「まだ寝むいよ……」

「何でこんなに朝早くから起きなくちゃいけないんだよ……」


 優太は眠たげに目を擦りながら、陵は愚痴めいた言葉をぶつぶつと吐きながらも起き上がり洗面所へと向かっていった。


「おい、朝翔」


 意外にもすんなりと起きた廉は、再び寝入ろうとした朝翔を咎める声をかけていた。


「トシ起きろー」


 最後にトシを起こそうとしていたのだが、後十分だけ……とかほざいた後、布団を自分の体に巻きつけて再び寝入る。用は全く起きようとする気配はない。


「いいか?」

「……やれ」


 俺はため息をついた後、後ろで表情は笑顔、やる気満々で体勢を構えて、そう聞いてきた奴に、許可を出した。

 ドカッ、ズカッ、バスッ、ズドォォォォン、という音がすぐ近くで聞こえてきたが……まぁ、いっか。


「……おはよう」

「ああ、おはよう」


 涙目ながらにそう言ってきたぼろぼろのトシを見て、これで明日からはこんな面倒くさいことをしないで済むだろうと俺は思い、俺は爽やかに挨拶を返した。





 朝食の時間。

 第五学園と第六学園の生徒全員が食堂に入って朝食を食べている。生徒全員が入っているだけあってとても広い。

 ちなみに朝食はバイキング形式である。

 昨日の夕食とは違い、自分たちで作ることはなく、この宿の人たちが料理を作ってくれている。

 野外炊飯は一日目の夕食だけで、もうすることはない。楽しいっちゃ楽しかったけど、結構大変だったのでもうしばらくはしなくていいと俺は思っていたので、正直ありがたいと思っている。

 美佳の包丁さばきはホントにやばかった。自分の言うことを聞くことがないので、何回命を落としそうになったことか……まぁ関係ないことをやらせとけば大丈夫なのだろうけど。

 それは置いておくとして。

 俺は宿泊班のメンバーと席を共にして朝食を食べている。

 バイキングにあるのは、俺らが採ってきた山菜がメインとなっているメニューが多かった。


「おお、うめー」

 

 トシは煮物のタケノコを齧り、飲み込んだ後そう感想を零し、自分の手元にあるタケノコを次々と頬張っていく。


「それ俺らが採ったものかもな」


 俺が笑いながら言った言葉にトシは「そうかもな」と笑って返してくれた。


「え、お前らタケノコなんて採ったのか!?」

「あ、ああ」


 陵は驚きながら、身を乗り出してそう言ってきた。その剣幕にトシは頷くことしかできなかった。その頷きによって陵は乗り出した体を自分の席に戻し、悔しそうな表情を浮かべる。


「俺らも結構採ったと思ったんだけどな」

「もしかして君たちのグループが優勝したの?」

「たぶんな」


 優太が首を傾げながら尋ねてきたので、俺はその言葉に曖昧に頷いた。


「……是非とも『景品』の詳細を」


 そうすると今度はさっきの陵より凄まじい勢いで迫ってくる朝翔。こいつはこういう風なことに関しては、ほんとに関心が強い。


「別に大したこと《・・》じゃなかったし」

「そう言わずに教えてくれたっていいじゃねえか」


 俺はそう流そうとしたのだが、どうやら朝翔だけでなく、他の奴らも『景品』について気になっているようだ。

 俺らがやることについてはその時まで黙っているように言われているので、何とかしようと思い、いい方法がないかを考えていると、


「景品なのに、『もの』ではなく『こと』か……ということは……いやでも……」

「とりあえずこの話は終わりにしよう。どうせ後で分かるからって事で勘弁してくれ。当然追求はなしだからな。しても何も答えないから」


 なんだかどんどんと確信に近づきつつある朝翔に、焦った俺はそう妥協案を出した。

 今の俺の一言でなんとなく予想がついたのだろう、朝翔は満足気に、分かったと一言で了解してくれた。他の面子は俺の言葉に不満げにしていたが。

 この話はそこで終わり、どうでもいいような雑談をしながら食べ続ける。

 ここにいる全員が食べ終わった後、俺らは自分の部屋に戻っていった。




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