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Dropbehind  作者: ziure
第二章 合宿編
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第四十四話 事情聴取

開いてくださりありがとうございます。


誤字脱字あったら報告お願いします。

「近くから聞こえた叫び声を聞きつけて、あなたたちは助けに行った。そこにいたのがフェンリルでそこにいる人たちを助けるために、やむを得ずして戦闘。で倒したと思って油断して飛びかかった時に私がかけつけたと」

「はい、そんな感じです」


 話を聞き終えた照沢先生は、事のなり行きを整理して、俺らに確認してくる。特に間違っているところもなかったので、俺はそれに頷いた。照沢先生は平然と頷いて見せたことにため息を一つ。そして呆れたような視線を向けながら言ってくる。


「……あなたたちの話を聞いてみて改めて思ったんですけど、本当に運が良かったですね……あそこで私が助けに来なかったら恐らく死んでいましたよ」

「はい、すいません……」


 その先生からの一言に悔しさが溢れて出てくる。それと共に申し訳なさも出てきたので、俺はその感情をそのままに謝罪の言葉を先生に述べ、俺以外の三人のメンバーも同じように照沢先生に頭を下げた。


「分かってくれればいいんですよ。結果的にはあなたたち全員が無事だったですしね」


 照沢先生は俺らのそんな様子を見て、安心させるようなほほえみを浮かべてそう言った。そして続けざまに言葉をつないでいく。


「それに話を聞く限りでは、あなたたちのおかげで助かった人たちがいるのも事実です。油断したことは反省しなければいけないことですが、あのように助けるための行動をした判断は私個人が思うに間違ってはいないと思いますよ」


 照沢先生からの励ましの言葉は、俺らのなんとも言えない心の中のモヤモヤを取っ払ってくれるだけの力があった。そのおかげかその言葉を聞いたことによって、みんなの表情はどこか明るいものになっていた。


「だけど覚えておきなさい」


 そんな風に穏やかな空気になりかけていたところに、照沢先生は厳を効かした言葉を投げかけてくる。

 俺らはその先生からの言葉をしっかりと受け取るために悪くなりかけていた姿勢をきちんとしたものにする。先生は俺らが聞く態度になったことを確認して、それじゃ一つ目、と言い忠告のような言葉を俺らに話しだす。


「今回の経験で分かったと思いますが魔物を相手にしたときは、どんな有利な状況でも、どんなに相手が弱そうな見た目をしていたとしても、あの場でも言った通り魔物の息の根を止めるまでは油断してはダメよ。それはある種の自殺行為ですからね」


 先生は二つ目、と言って話を続ける。


「自分の力量では敵わないと思ったら、逃げるという選択肢を取れるようにしなさい。今回は油断していなければ倒せる相手でしたけど、フェンリルより強い魔物なんてたくさんいます。フェンリルにましてや子供に勝ったからと言って傲慢にはならないで頂戴ね」

「え? あれで子供なんですか!?」


 先生から言われた言葉に美佳はいち早く反応する。俺もそれは気になったところではあったので尋ねようと思ったのだが、先に美佳が反応したようだ。


「見る限り二メートルとちょっと程度の体長だったわ。あれくらいならまだまだ子供よ。完璧に成長した大人のフェンリルなら余裕で五メートル、本当にでかいのだと7メートルはあるわよ」

「マジかよ……」


 新谷は先生から告げられた内容に驚きの声が漏れていた。


「とにかく、そういうことだからフェンリルの一匹、それも子供を倒しかけた程度で傲慢に成らないでね? 自分の力量を正しく測り、相手のも同じように測れるようになることは、生きていく上でとても大切になることよ。今私が言ったこと、ちゃんと覚えておきなさい」

「「「「はい」」」」


 先生が忠告をしっかりと受け取ったことを分かるように、俺たちは大きく返事をした。


「これでおしまいよ。話してくれてありがとね」


 先生はそう言って立ち上がり、俺らから空になったお茶の入れ物を回収する。


「あっ! ちょっといいかしら?」

「なんですか?」


 先生にお茶の入れ物を渡した後、立ちあがってドアに手をかけたところで、先生は何かを思い出したように俺らに声をかけてきた。美佳はそれに反応して振り返り先生に尋ねる。


「事情聴取のついでに知らせておこうとしてたこと、というよりは、伝えておけって言われていたことがあったのよ」

「一体誰からですか?」

「……岡嶋先生よ」


 俺はその伝えられる情報の主について聞いてみると、なんとなくは予想していたのだが、嫌な予感をヒシヒシと与えてくる人物の名前が照沢先生の口から告げられた。


「ちなみにどういう内容ですか?」

「今日のレクリエーション――山菜集めの景品についてよ」

「ってことは?」


 俺が続けて内容について質問し、照沢先生はそれに答え、新谷はそれによって何かを期待するように声をあげる。


「あなたの思っている通り、今回のレクリエーションはあなたたちのグループが優勝したわよ」


 先生がそう告げたことにより、葵はやったーとガッツポーズを決め、喜びを露にしていた。他の二人も葵ほど大きくはないが嬉しそうにしている。俺もつられるように喜ぼうとしたが、なぜか困ったような表情をしている照沢先生を見て、素直に喜ぶことが出来なくなった。他の二人も先生の様子を確認したようで、喜びから束の間、すぐに聞く構えをとっていた。


「それで景品というのは?」


 葵は先生の様子があまり良いものではないことに気づくこともなく、期待したような眼差しを向けて、先生に尋ねる。


「それはね……」


 照沢先生が自分の視線を受けて答えずらそうにしたことで、新谷はようやくこれから告げられることが、いい情報ではないだろうということに気づく。



 先生は俺らの気構えが出来たことを確認した後、その口から景品の内容を告げた。



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