第三話 学園長
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俺は今校門の前に立っている。
こうやってじっくり見てみるとなんというか……めっちゃでかい。その大きさに俺は圧倒されていた。お口あんぐりとは今の俺の顔のことなのだろう……そんなことを思いつつ俺はもう一度その学園の校門に書かれているこの学園の名前を改めて確認する。
―――王立第六魔法学園―――
最低でもこんなのが後五つもこの国にはあるということを考えるとこの国の広さが分かる気がする……
今これ以上こんな余計な事を考えても仕方ないと思い、俺は思考するのをやめ、校門をくぐり抜け学園内へと入っていった……
そして姉さんの言う通りにまずは学園長に会うために学園長室に向かった。いや、向かおうとした。考えてみれば場所が分からないのだ。下手に探してもこの無駄に広い学園迷ってしまう可能性も高い。
とりあえずは案内板を見つけるか、この学園関係の人を誰かしら見つけて聞いてみようと思いつつ冷静に周りを見渡したら……すぐ近くそれはあった。
なぜすぐに気付かなかった、と考えたが、俺は自分が思っていた以上に緊張してたことに今ようやく気付いた。
それも仕方がないことだろう。こんな落ちこぼれだった人間が、こんな立派な学園に来て緊張しないわけがないし、そもそも一般的な生徒でもここに入るときには緊張することだろう。それだけの迫力がこの学園にはある。
俺はこの緊張の面持ちのままで、そのまままっすぐに『学園長室』と書かれたプレートがある扉の前に立ちコンコンと二回ノックをして中からの返事を待つ。
中から「どうぞ~」というなんとも学園長に似合わない(自分の脳内イメージだが)なんともおっとりとしたかわいらしい声が聞こえてきた。もしかしたら秘書とかそういう類かと考えながら、
「失礼します」
と礼儀に反さないようしっかりとした声をかけ、扉を開く。
「どうぞどうぞー。とりあえずそこに座って。お茶を用意するからちょっと待っててね。お話はそれからでいいわよね?」
自分の視線の前にいる人から声がかかる。この部屋の中に他に人がいないところを見ると、この人が学園長なのだろうか……
「はい、わかりました」
いや学園長がこんなにちっちゃくて可愛い人なわけがない。自分の想像だとめっちゃ怖い人だと思ってたし……
ちなみにこの人の容姿は、目測だが140あるかどうかぐらいの身長で、体型は……まるで幼い子供のよう。顔はどう見ても綺麗とかよりは可愛いといわれるだろう。髪は腰まで届く金髪をツインテールにしている。みんなから可愛がられてそうな雰囲気だ。
俺はこの人がどんな人なのか考え観察しながら、言われた通りに部屋の中にあるソファーに座る。そんな俺からの視線を感じ取っているのかいないのか、なんともかわいらしいしぐさを見せつけるように俺の向かい側に座る。
「まずは自己紹介ね。私がこの学園の学園長の佐伯舞。よろしくね。見た目はちっちゃいけどちゃんと学園長です。まだこの職に就いて二年目だけどそこら辺は気にしないでおいてください。それでここに来た用件はこの学校に入りたいって事でいいのかしら?」
自分がちっちゃいのはあっさり認めて、ちゃっかり学園長アピール。ってこの人が学園長なのか……でもどこから見ても、そうは見えない。そんな驚愕の事実(俺からしたら)をあっさりと言われてしまった。
人は自分のイメージからかけ離れすぎているとそれを事実としてうまく受け入れることができないというが、それを身をもって思い知らされてしまった。しかしここで受け入れていかないと先が思いやられるのでなんとかその事実を受け入れる。
てかこの人、俺が来ることを最初から予想していたような対応の仕方だ。俺の歳では、ここに来る理由としてはイレギュラーなはずなのに……一つ考えられる答えが出てきたがそれを聞くのはいつでもできると思い、さっき聞かれた問いに答える。
「はい。僕を育ててくれた人に、ここに来るよう言われてやって来ました。後をこれどうぞ」
俺は姉さんからもらった封筒を自分の鞄から取り出し学園長に渡す。
「じゃあ、拝見しますね……」
学園長は俺から封筒を受け取りそこから手紙を取り出すしてそれを読み始めた。さっきの雰囲気から一転し、真剣な眼差しに変わり目だけを動かし文字を読んでいるのが判る。
そんな沈黙が流れる中数分が経ち、学園長は手紙を読み終えたようでテーブルの上に手紙を置き俺に目線を移す。
「内容は分かりました。実力的に問題なさそうなので第二部からの入学を許可します。試験とかは主に私がめんどくさいので試験とかはなしとします」
なんか当たり前のように言っているが、学園長としてあるまじき発言しているような……
「それでいいんですか?」
「あなたが楠木香織に手紙通りの手ほどきをうけたなら問題ないでしょう。別の意味で問題があるかもしれませんが……あ、悪い意味ではないから安心してください。それじゃあ、これからこの学園について説明したいと思いますが構いませんか?」
この人姉さんを知っているっぽい……少し気にはなるが今は聞く場ではないと思い、学園長の問いに答える。
「はい。大丈夫です」
俺の返事を聞き、学園長は説明を始めた。
「じゃあ大体は知っていることを前提で話すけど、ここは学園名の通り王国が建てた六つ目の魔法学園です。魔法を使う人たちは、若いこの学生時代が一番伸びる時期と言われています。そのために生徒達が良い環境の下で、生徒同士で切磋琢磨しあって、成長していく場。そんな環境を作るために建てられました。騎士になるにしても、ギルドに入るにしても魔法は、その人の個人の強さを決めると言っても過言ではないステータスになります。そんなわけでこの学園では、主に魔法の理論や構造を知り、実際に魔法を使ったり、生徒同士の模擬戦を行ったり……要するに魔法を常に軸として教育していきます。でも魔法だけではなく、普通の学校としての教育もしっかりと受けて学んでもらいます。当然友達と仲間とクラスメートと過ごす日々の楽しさなども。要点だけいうとこんな感じです。なにか分からないこととか、知りたいこととかないですか?」
一通り決まったような説明を言ってもらった。話す姿はさすがいちようは学園長という感じだった。最初の会話でいい加減そうな感じの人かと思ったが、それはあの人の性格上仕方ないこと(それでいいのかは考えないでおく)で学園長としての公と私の区別はしっかりついているみたいだった。
それはともかく、疑問に思っていることがあったのでそれを聞いてみることにした。
「じゃあ二つほどお願いします。一つは、僕のクラスはどこになるんでしょうか? もう一つは、ここって寮生活って聞いたんですけど……どこにその寮があってどの部屋に入ればいいんでしょうか? というか今日から使うことは可能なんでしょうか?」
クラスについては後で答えてもらっても構わないけど、寮については答えによって今日の過ごし方が変わるのでぜひとも答えてもらいたいところだった。
「クラスについては明日職員室に来てもらって、その時にあなたの担任の先生に説明してもらいます。寮の部屋についてはA~F楝ありますがその中のC楝の215号室に行ってください。その部屋はすでにあなたの部屋とされています。これがその部屋のルームキーです。なくさないでくださいね? 場所については校門を出て、周りを見渡せば6つ寮という感じの建物が並んでいるのですぐに分かると思います」
「分かりました。ご説明ありがとうございます。では失礼します」
今の説明で困ることはとりあえずなさそうだったので、差し出されたカードキーを受け取る。そして座っていた席から立ち上がり、学園長に一礼しそのまま学園長室を後にした……
とりあえず校門を抜けて辺りを見渡すと、明らかに寮という感じのやつが5つほど並んでいるのをを見つけたのでそちらを目指して歩き出す。
寮の入口に『C』と大きく書かれた看板がかかっていたのでそこに入った。そして入ったところに部屋の位置が書いてある案内板があったのでそれを確認したところ、二階ということだったので階段を上り二階に行く。
「212、3、4……お、あったあった。ここか」
ドアに『215』と書かれた自分の部屋と言われた部屋を見つける。しっかりと横にあるプレートに『楠木哲也』と書かれているので間違いないのだろう。
俺は鍵を開けるためカードキーを通しロックを解除して、ドアノブに手をかけ、そして押す。その瞬間……
「てーつちゃん」
とてもとてもかわいらしい学園長が俺の部屋(のはずなのだが少し心配になってきた)のベットに座りながら俺の名前をしかもあだ名で呼んできたのだった……